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【広報ふじ平成26年】特集 工場夜景(1)

特集 工場夜景(1)

まちが寝静まるころ、人知れず輝きを放つ工場の光。
富士市を支える産業の光です。
今、この光が、富士市に新たな希望の光をともそうとしています。

- 写真あり -
( 写真説明 )ふじのくに田子の浦みなと公園からの工場夜景(提供:富士工場夜景倶楽部(くらぶ))
( 写真説明 )昼間は田子の浦港と富士山、市内の街並みを一望できる絶景スポット
※工場夜景の写真は、長時間露光で撮影し、多少の色補正をしています。

■新しい産業観光
 工場夜景は、夜、工場群にともされる光が集まった風景です。近年、臨海に工業地帯がある地域などで、その風景の美しさが注目され、観光資源として、存在が見つめ直されています。
 大規模な工業地帯のある神奈川県川崎市や三重県四日市市などでは、工場夜景スポットをめぐるバスツアーや、海上から眺めるクルーズツアーが行われ、人気を博しています。また、これらの都市では、工場夜景の鑑賞と、食、宿泊などを結びつけ、多くの観光客を集めています。

■「ものづくりのまち」という共通点
 工場夜景を推進している都市の多くは、「工業のまち」「ものづくりのまち」として発展を遂げています。
 そのため、産業で栄えていたころは、観光面の強化は余り必要ないと考えられていました。
 しかし、近年、大手企業の海外進出や業務縮小などにより、都市の活力は低下。工業面だけに依存する都市経営では難しい状況に直面し、新たな都市の方向性が模索されました。
 そこで、焦点を当てられたのが、もともとある工場群を生かした「工場夜景」です。
そして、「紙のまち」として発展を遂げた「工業都市 富士市」でも、現在、「工場夜景」を発信する動きが広がっています。

■全国の工場夜景
- 写真あり -
( 写真説明 )北海道室蘭市(提供:室蘭市)
( 写真説明 )神奈川県川崎市(提供:川崎市)
( 写真説明 )三重県四日市市(提供:四日市市)
( 写真説明 )兵庫県尼崎市(提供:尼崎市)
( 写真説明 )山口県周南市(提供:周南市)
( 写真説明 )福岡県北九州市(提供:北九州市)

工業都市 富士市 その原点は紙から始まった

「紙のまち」として発展し、深刻な公害を乗り越えた歴史。その歴史があるからこそ、今がある。

■製紙業の発展と「工業都市 富士市」の確立
 今から100年以上前の明治時代、富士市では、富士山からの豊富な地下水の恵みを受けて、製紙業が発展しました。大正〜昭和初期には、第一次世界大戦による国内製紙業界の好景気の影響などもあり、地元の中小資本の製紙会社が多数創業。第二次世界大戦後には、岳南鉄道(現在の岳南電車)の開通など、物資や人の輸送路として交通網が整備され、製紙業以外の工場も進出し始めました。
 それに伴い、多くの人が周辺に住むようになり、工業を中心としたまちづくりが進みました。
 昭和30〜40年代の高度経済成長期には、田子の浦港の開港、東名高速道路富士インターチェンジの供用開始など社会基盤が整備され、化学工業や輸送機器関連など、製紙業以外の大手企業が多数操業を開始。「工業都市」としての地位を確立しました。

■公害との戦い
 産業の発展が著しい一方で、環境汚染は深刻化しました。特に、昭和40年代の工場排水による水質汚濁は、田子の浦港のヘドロ問題を発生させ、全国的に大きな社会問題になりました。
 市は県とともに、昭和46年4月〜昭和56年にかけて、ヘドロを富士川河川敷へ埋め立て処分し、ヘドロ問題は解消されました。

■環境に配慮した工場運営
 公害を克服するため、各企業は、排水対策や大気汚染防止の設備を設けました。
 これにより、市内の各工場の煙突から排出される煙は、ほとんどが水蒸気になりました。また、市では現在、法律の規制を上回る厳しい指導方針のもと、各企業が、環境に配慮した工場運営を行っています。

- 写真あり -
( 写真説明 )大正15年 富士製紙第一工場正門(入山瀬)
( 写真説明 )昭和30年代 市内の製紙工場内の様子
( 写真説明 )昭和34〜39年 工場と街並み(今井)
( 写真説明 )昭和45年 田子の浦港のヘドロ
( 写真説明 )昭和48年 広報ふじ

【日本一のシラスを誇れる港に】
田子の浦漁業協同組合
組合長 外山廣文(とやまひろふみ)さん
- 写真あり -
 私は、昭和30年から約40年間、漁業に携わりながら製紙会社に勤めていました。公害が問題化した昭和40年代、工場から茶色の排液がそのまま田子の浦港に流れ込み、シラスは臭くて、とても食べられませんでした。
 漁業関係者と製紙会社との話し合いの後、各会社では、工場排水を浄化してから流すなど、できる限りの対策をしました。どの会社もとても苦労したと思います。おかげで、港は、見違えるようにきれいになりました。
 今では、「田子の浦しらす」といえば、日本一誇れるシラスになっています。
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( 写真説明 )現在の田子の浦港

1枚の写真がまちのストーリーを語る
それが、富士市の工場夜景

- 写真あり -
( 写真説明 )田子の浦港夜景 提供:富士工場夜景倶楽部

■“過去”そして“今”を受けとめ、考えてほしい
 公害問題は、まちの発展の過程で起こった負の歴史かもしれません。しかし、公害を乗り越えるために、多くの人の努力があったからこそ、今の富士市があります。公害の克服は、全国で工場夜景を推進する都市の多くに共通している課題です。
 富士山の麓に煙突や工場のある風景は、深刻だった公害を乗り越え、工業都市として発展を遂げた富士市の今の姿です。過去の事実や今に目を背けず、受けとめてほしいと思います。

■輝きは、まちが生きている証
 工場の明かりのもとには、多くの人たちの姿があります。「紙のまち」として栄えたころから、市の産業の発展に尽くし、公害問題の解決のために奮闘した人たち、そして、今、工場で働く人たちの姿です。そのおかげで、今の営みがあることを、忘れてはなりません。
 工場の輝きーそれは、富士市の産業の発展を照らし、見つめ続けてきた光であるとともに、富士市の産業が生きている証なのです。

■富士市の奥深さを語るもの
 工場夜景は、ただきれいなだけではなく、その景色の背景には、まちの歴史や今を生きている人の姿があります。見えるのは、まちの「奥深さ」なのです。
 富士市の工場夜景を写す1枚の写真は、このまちの100年のストーリーを語ります。

富士工場夜景倶楽部 会長(富士商工会議所青年部地域活性化委員会委員長)
鷲見(わしみ)隆秀さん
- 写真あり -
添付ファイル
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