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【広報ふじ平成26年】戦争と平和〜戻ってきた日章旗〜

特集 戦争と平和〜戻ってきた日章旗〜

終戦から69年が経過した今、戦争体験者は年々減り、人々の戦争の記憶も薄れています。
そのような中、勝亦百合子(ゆりこ)さん(中野)宅に、太平洋戦争に出征し、無事帰還した夫の故・藤作(とうさく)さんの名が記された日章旗が戻ってきました。
今回は、この日章旗返還の経緯とともに、戦時中や戦後の暮らしなどを、百合子さんに伺いました。

- 写真あり -
( 写真説明 )戻ってきた日章旗と、日章旗の持ち主の藤作さんの妻百合子さん[右]とその長男の妻里子(さとこ)さん

■返還された日章旗
この日章旗は、アメリカ合衆国カリフォルニア州で発見されました。最初に見つけたのは、そこに在住する日本人女性です。元米兵だったという義理の祖父の遺品を整理していたときに、寄せ書きされた日章旗3枚を見つけました。女性は「遺族に返還したい」との思いから、知人である日蓮宗日本山妙法寺(にっぽんざんみょうほうじ)(東京都)の住職に託しました。住職がその中の1枚に、「富士郡大渕村役場」の文字を見つけ、日章旗は、富士市に届けられました。
その後の調べにより、1枚は福島県南会津(あいづ)郡下郷町(しもごうまち)に住む家族に送られ、「大渕村」の記載のあった1枚が、ことし4月、勝亦さんに手渡されました。もう1枚は、未だに持ち主がわかっていません。

■多くの思いと祈りを込めた日章旗
寄せ書きされた日章旗は、召集令状が届き、戦地に赴く兵士を見送る際に、個人や集団に贈られました。出征式に合わせ、家族や近所の人が集まり、戦争の勝利だけではなく、戦地へ赴く兵士の健康や無事への願いを込めて、「祈健康」や「武運長久(ぶうんきゅう)」(※)など、多くの言葉が書き込まれました。
※「武運長久」…出征した兵士がいつまでも無事であること。

- 写真あり -
( 写真説明 )日章旗

百合子さんの記憶

■生きている間に見せたかった
ことし4月、市から連絡を受けたとき、旗の存在と、旗が残っていたことに驚きました。実際に手にしてみると、旗には夫の名前があり、すぐに夫のものだとわかりました。
夫は、昭和15年に21歳で出征し、南太平洋のガダルカナル島などで戦争を経験しました。この旗は、そのときに贈られたものだと思います。旗には、夫の無事を願う言葉がたくさん書かれていました。こんなにきれいな状態で残っているなんて…。この旗を見ると、戦時中の貧しい暮らしなどを思い出します。10年前に夫は亡くなりましたが、生きている間に一目見せてあげたかったです。
- 写真あり -
( 写真説明 )戦時中の藤作さん

■戦争の記憶と戦後の暮らし
私が旧清水市の尋常小学校に通っていた昭和10年ごろ、兵士の出征や帰還の日には、必ず見送りや出迎えをしたのを覚えています。私の兄が出征したときも、無事を祈って、日章旗に寄せ書きをして見送りました。
昭和19年ごろ、見舞いを頼まれて行った静岡市の陸軍病院で、戦地から戻り、入院中の夫に出会いました。昭和20年に終戦を迎え、すぐに結婚し、現在住んでいる中野に嫁いできました。畑で米や野菜をつくり、山でタケノコやミカンをとるなど、自給自足の生活でした。
夫の子どもたちへの口癖は、「好き嫌いをするな。もったいない。兵士のことを考えろ」でした。戦地では、食糧調達に苦労し、1日の食糧は一握り程度の麦だけだったと聞いています。そのため、食糧がないときには、カエルやトカゲ、ヘビなどで食いつないでいたそうです。
また、水が貴重だったため、多くの人は、濁った雨水を飲んでいました。私はそれが嫌で、1日おきに近くの川に湧き水をくみに行きました。昼間は畑仕事で忙しく、夜おそくなってから行っていましたよ。当時は、自動車が普及していなかったため、自分の足だけが頼りでした。
戦争は、多くの人の命を奪い、私たちの生活にも大きな影響を与えました。

- 写真あり -
( 写真説明 )亡き夫にかわり日章旗を受け取った勝亦 百合子さん

歴史民俗資料館(市立博物館別館)「戦争とくらし」コーナーをごらんください

歴史民俗資料館の2階には、「戦争とくらし」コーナーがあり、常時、戦争に関する展示をしています。
- 写真あり -
( 写真説明 )展示コーナー内

開館時間/9〜17時(4〜10月) 9時〜16時30分(11〜3月)
休館日/月曜日(祝日の場合は火曜日)、祝日の翌日、年末年始
入館料/無料

- 図表あり -
(図表説明)歴史民俗資料館地図
- 写真あり -
( 写真説明 )資料館外観

★「戦争とくらし」コーナー★
戦争関係の資料を展示し、当時の暮らしや、戦争が人々にもたらした影響などを年表や実物資料で紹介しています。
【展示内容】
・戦争と人々の暮らし
・戦争と子どもたち
・「平和のための富士戦争展」の会による展示(現在は、「シベリア抑留」をテーマに、写真や関連資料などを展示)など

- 写真あり -
( 写真説明 )特攻隊員に支給された航空被服
( 写真説明 )防空頭巾
( 写真説明 )兵士の装備品

【問い合わせ】
市立博物館 電話:21-3380
添付ファイル
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