お正月に食べる料理と言えば「お雑煮」。お雑煮を食べる風習は、室町時代からと言われ、お正月に神様に供える餅や野菜、各地の産物を家族と一緒に食べるものとされています。富士市で昔から伝わる代表的なお雑煮は、角餅に里芋と大根を入れ、汁は削り節(干しイワシ)でだしをとったしょうゆ味(写真)です。しかし長い間に、つくる人が別の食材を入れてアレンジしたり、転入者が出身地である全国各地のお雑煮をつくったりして、今では各家庭でさまざまなお雑煮が食べられるようになりました。今回は、富士市や全国各地のさまざまな「お雑煮」と、世界のお祝い料理を紹介します。
(参考文献「ふるさと・富士の歳時記 年中行事の起源」)
■友好都市 岩手県雫石(しずくいし)町のお雑煮
雫石町の一般的なお雑煮はしょうゆ味で、焼いた角餅を入れるのが特徴です。伝統料理の「重(じゅ)っこ料理」は、山菜や赤飯などを重箱に詰め、みんなで持ち寄って食べます。
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( 写真説明 )雫石町のお雑煮
( 写真説明 )重っこ料理(煮しめ)
( 写真説明 )岩手県雫石町在住 岩手県食の匠(たくみ) 石亀 文子(ふみこ)さん
◎入っている具材
鶏もも肉、ニンジン、タケノコ、大根、生シイタケ、ミツバ、イクラ、ネギ
■東京風 角餅のしょうゆ味(昆布とかつおだし)
鶏の旨味がだしに効いています。お餅は焼かずに煮るタイプです。
富士市に住んで31年ですが、東京の味=母の味で、どうしても東京のお雑煮が食べたくなります。正月三が日の朝に食べますが、東京の味と富士市の味を日によって変えてつくっています。
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( 写真説明 )東京風雑煮
( 写真説明 )東京都大田区出身 斎藤 京子さん(五貫島)
◎入っている具材
鶏のもも肉、小松菜、なると(かまぼこ)
■京都風 丸餅の白みそ味(昆布だし)
こうじの多い、甘い白みそが特徴です。「角が立たないよう」に野菜は全て面取りします。
元日は男性がお雑煮をつくり、女性は男性よりも高いお膳の上で食べるのが京都の風習です。富士市でつくるときは、京野菜は、市販されているものを代用しますが、白みそは必ず京都のものを使用します。
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( 写真説明 )京都風雑煮
( 写真説明 )京都府京都市出身 海野 典子さん(厚原)
◎入っている具材
ニンジン、ヤツガシラ(里芋)、ねずみ大根(小ぶりの大根)
■広島風 丸餅のすまし味(昆布とかつおだし)
ぷりぷりのカキがポイントです。お餅は焼いて、汁をかけます。
20年以上前から富士市に住んでいます。母、祖母の時代からつくられている我が家の雑煮です。お餅は焼きますが、カキは煮過ぎると固くなるので直前に少し火を通します。カキのエキスも出てとてもおいしいです。
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( 写真説明 )広島風雑煮
( 写真説明 )広島県広島市出身 寿(としなが) 恭子さん(錦町1)
◎入っている具材
ホウレンソウ、カキ、かまぼこ