【広報ふじ平成25年】富士山 世界文化遺産へ(1)
古代から人々が畏敬(いけい)の念を抱き、愛し続けてきた〜富士山の魅力を紹介〜
富士山の世界文化遺産登録に向け、国や静岡・山梨両県、富士山周辺市町村ではこれまでさまざまな取り組みを進めてきました。
4月にユネスコ世界遺産委員会の諮問機関であるイコモスは、『富士山は世界文化遺産への登録が適当』との勧告をしました。今月下旬に開催される世界遺産委員会で、いよいよ富士山は世界文化遺産へ登録される見込みです。
そこで今回は、富士山ネットワーク会議を構成している4市1町(裾野市、富士宮市、富士市、御殿場市、小山町)にある、富士山の文化的価値を証明する構成資産や文化財を紹介します。
平成19年1月 「富士山」の世界遺産暫定リストへの登載
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平成23年7月 静岡・山梨両県が「推薦書」の原案を文化庁に提出
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平成24年1月 国からユネスコへの世界遺産推薦書の提出
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平成24年8〜9月 ユネスコ諮問機関(イコモス)による現地調査
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平成25年4月 イコモスから「世界文化遺産への登録が適当」との勧告
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平成25年6月 世界遺産委員会での審査
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世界文化遺産登録決定!
富士山の文化的価値
富士山はその荘厳で美しい姿から、信仰の対象になり、さまざまな芸術作品を生み出し、日本と日本文化を象徴する名山としての世界的な地位を確立してきました。このことから、富士山は世界文化遺産にふさわしい価値を持っていると考えられています。
構成資産を紹介
富士山の文化的価値を証明するのが、周囲の神社や登山道、湖など静岡・山梨両県にある25件の構成資産です。これらの資産は、富士山とともに国の文化財に指定され、富士山の世界文化遺産登録における、登録資産になっています。
今回は、富士山ネットワーク会議を構成している市町にある11の構成資産を紹介します。
構成資産(1)〜(5)
(1)山頂の信仰遺跡群
◎木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)をまつる奥宮(おくみや)が鎮座
山頂には、富士山本宮浅間大社奥宮・同東北奥宮(久須志(くすし)神社)や金明水・銀明水などの宗教施設があり、また、地形の中には内院(火口)や安河原(やすかはら)(賽(さい)の河原)などの宗教的な名称がつけられた場所があります。峰々は「八葉(はちよう)」や「八峰(はっぽう)」と総称され、かつて山頂部は曼荼羅(まんだら)世界に擬(なぞら)えて考えられていました。
- 写真あり -
( 写真説明 )山頂の信仰遺跡群
(2)大宮・村山口登山道(現在の富士宮口登山道)
◎曼荼羅図にも描かれたかつての登山道(富士宮市)
富士登山は、平安時代末期から行われるようになり、14世紀初めには山中で修行を行う修験者(しゅげんじゃ)が村山を拠点として集まるようになったと考えられています。中世には、「絹本著色(けんぽんちゃくしょく)富士曼荼羅図(16世紀作)」に道者(どうしゃ)が大宮・村山口から富士山に登る様子が描かれ、修験者・先達(せんだつ)に導かれた道者が数多く登拝するようになったと考えられます。
- 写真あり -
( 写真説明 )大宮・村山口登山道
(3)須山口登山道(現在の御殿場口登山道)
◎富士山への信仰を今に伝える古道(御殿場市印野(いんの))
須山浅間神社を起点に、御殿場市印野・玉穂地先を通り、富士山頂に至る道。修験道の総本山・京都聖護院の道興准后(どうこうじゅごう)も、1486年に須山口から富士の麓に至る際に歌を詠(よ)んでいます。また、富士山を信仰する富士講が広まった江戸時代には多くの人に利用されました。明治時代以降は衰退しましたが、富士山信仰を今に伝える重要な古道です。
- 写真あり -
( 写真説明 )須山口登山道
(4)須走口登山道
◎室町時代から続く登山道(小山町須走)
冨士浅間神社を起点とし、八合目で吉田口登山道と合流して山頂東部に至る登山道です。七合目の沿道から富士山への奉納物として現存最古の記念銘を持つ懸仏(かけぼとけ)が出土しているほか、1500年の『勝山(かつやま)記(年代記)』には本登山道に道者が集中したとの記述が見られます。
1707年の宝永噴火で大被害を受けましたが、翌年には復興を完了しました。
- 写真あり -
( 写真説明 )須走口登山道
(5)富士山本宮浅間大社
◎全国1,300余の浅間神社の総本宮(富士宮市宮町)
浅間神社は富士山を神として祀(まつ)ったもので、富士山本宮浅間大社は最も早く成立し、全国の浅間神社の総本宮とされています。山宮から現在地に移転後、登拝が盛んになるにつれ、村山の興法寺(こうぼうじ)とともに大宮・村山口登拝道の基点になりました。「絹本著色富士曼荼羅図」には、湧玉(わくたま)池で垢離(こり)(禊(みそぎ))をとり、富士山に登る道者の姿が描かれています。
- 写真あり -
( 写真説明 )富士山本宮浅間大社
添付ファイル
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