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【広報ふじ平成23年】戦争と平和特集 未来への伝言2

橋口 確かに満州へ行った最大の原因は当時の教育にあるけれど、もう一つ理由があります。それは、一人でも家族が減れば、家計が楽になると思ったからなのです。
 そして私は16歳のときに、初めて人を撃つ戦場に行きました。そこは、四方八方で血まみれになった人たちがのたうちまわり、だれしも一秒先の命すらあるかどうかわからない状況でした。遠くで大砲や鉄砲の音が聞こえてくると、怖くて足が震えました。私はそのような戦場に30回以上行きましたが、何回行っても恐怖で足が震えました。それでも銃弾が間近まで飛んでくるようになると、あきらめがついて、足の震えはとまりました。
竹平 どんな人にも家族や友人がいて、だれかにとって大切な人なので、死んでいい人なんていないと思います。それなのに、戦争によって命を奪われてしまうのはよくいないことだと思います。
橋口 人の命を奪うことがよくないことだと皆さん理解してくれていますね。命は国籍に関係なく、どんな人にとってもかけがえのないものだと心にとめておいてください。
 では、9月18日が何の日か知っていますか。
高校生一同 …。(沈黙)
橋口 この日は、満州事変の起きた日です。中国では小さな子どもでも知っている日ですが、日本人は、ほとんど知りません。戦争では、日本の兵隊も一つの街を占領するために、小さな子どもまで殺してきた事実があります。戦争を学ぶときには、日本がされたことだけでなく、したことも含めて、両方から物事を見て、日本の立場を考えてほしいと思います。それが戦争の事実なのです。
 皆さんは自決という言葉を知っていますか。当時、日本人は戦争で、もうだめだ、と思うとみずから命を絶ちました。それを自決と言います。日本人は、戦場に行って死ぬことは名誉であり、絶対に捕虜になってはいけないと教えられていたのです。
山崎 同じ教えにより、沖縄戦でも、親が子どもを殺したり、夫が妻を殺したりと、たくさんの悲劇がありました。
渡邉(安) 当時は、捕虜になるくらいなら死になさい、という考え方が正しかったのかもしれませんが、今の私たちからすると、個人の命が大切にされていないようでひどいと感じました。

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( 写真説明 ) 竹平琴美さん(高校生)
( 写真説明 ) 渡邉安理(あんり)さん(高校生)

★教科書だけではわからなかったこと

戦争の事実を学んで

渡邉(弦) 教科書や授業では、「戦争」という出来事しか習わなかったけれど、僕たちが知っておくべきことは、なぜ戦争が起きてしまったのか、そしてその戦争によって、国内外の人がどのような生活を強いられたのか、という事実なのだということがわかりました。
竹平 戦場以外で、たくさんの人が飢え死にした事実は知りませんでした。食べられなくて苦しんで死ぬことはつらいし、戦争とは無縁な小さな子どもが犠牲になっているということも、教科書だけではわかりませんでした。なぜ戦争中は、そんなに人を殺すことができたのでしょうか。
山崎 戦争中だから平気で人を殺すことができたと考えてしまうかもしれませんが、兵士になるための訓練を受けることで人は人を平気で殺すことができるようになることもあります。感情が麻痺(まひ)して、戦争ロボットになってしまうのです。

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( 写真説明 ) 渡邉弦太(げんた)さん(高校生)

★当たり前の日常を送ることができる幸せ

平和を感じる価値観

片又 戦争体験を聞く前は、好きなことができてみんなと楽しく過ごせることが幸せだと思っていました。でも、今は命を落とす不安がないというだけで幸せを感じられます。
嶋岡 餓死する心配もなく、食べたいときに食べたい物を食べることができ、こうして当たり前の日常を送ることができる毎日がどれだけ幸せなのかを実感しました。
山崎 皆さんが平和だと感じている状態を、どうしたら維持することができるのかを考えてみてください。平和な社会をつくるためには、自分たちがどのような社会に生きているのかを知る必要があります。だからこそ戦争体験者の話を通して、過去に日本がどんなことをしたのか、されたのかという正しい事実を知ることや、みずからのアンテナを高く持って、世界中の情報を得ることで正しく判断できる力を養ってほしいと思います。正しくは判断する力は、皆さんが大人になったときに戦争を防ぐ大きな力になるかもしれませんよ。

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( 写真説明 ) 片又千尋(ちひろ)さん(高校生)
( 写真説明 ) 嶋岡将太(しょうた)さん(高校生)

橋口 兵隊はロボットと同じで、自分の意志で動くことはできませんでした。でも皆さんは違います。これからもし戦争が起きそうになっても、自分で善悪の判断をして嫌なものは嫌だと言ってください。そうしないと、また戦争は繰り返されてしまいます。それだけは絶対に避けたいことなのです。

★命を大切にしたい だから戦争はしたくない

私たちができること

橋口 アンケートの質問にもありましたが、皆さんはこれから平和のためにどんなことをしようと思いますか。
齋藤 たくさんの人が死に、自分の年齢でも兵士にならなければならない戦争は、絶対に繰り返したくないと思いました。僕は、将来自分のことだけを考えて争いの原因をつくるような人間にならないようにしたいです。
嶋岡 きょうはふだん聞くことができない貴重な話を聞くことができて、勉強になりました。僕は、時々ちょっとしたことで腹が立ってしまうことがあるので、そういった一時の感情に流されない穏やかな人間になろうと思います。
渡邉(弦) 今まで戦争はゲームの中の出来事でしたが、きょうの話を聞いて、今までよりも戦争の様子が実感できました。殺したり殺されたりする戦争はとても怖いし、絶対にしてはいけないといつも心にとめておこうと思いました。
渡邉(安) 戦争をしてたくさんの人を殺すと、自分の国では英雄になれるかもしれないけど、それはすごく最低なことだと思います。私は日常で、軽々しく「殺す」とか「死ぬ」とか口にしていましたが、そうした命にかかわる言葉を軽々しく使わないようにしようと思います。
竹平 戦争体験者の話は怖いところもありましたが、その事実をしっかりと受けとめて、「戦争をしない」と勇気を持って人に伝えられるようになりたいです。
片又 人の命を簡単に奪ってしまう戦争はやはりいけないことだと思います。将来子どもができたら、きょう聞いた戦争のことを伝えていきたいと思いました。
山崎 絶対に戦争をしてはいけない、という皆さんの話を聞いて、とても心強く感じました。
橋口 皆さん、戦争に反対だと言ってくれましたね。すごく立派なことだと思います。言葉にして人に伝えることは、とても勇気のいることですが、「私は戦争に反対です」と言える大人になってください。

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( 写真説明 ) 座談会の様子
( 写真説明 ) 富士見大通りにある核兵器廃絶平和宣言塔

戦争の事実を共有するために
核兵器廃絶平和富士市民の会 山崎ひろみさん
 戦後生まれの私が戦争の事実を伝えるようになったきっかけは、広島や長崎、特に沖縄の戦争の現場を訪れたときに、まだまだ戦争の事実が知られていないことに衝撃を受けたからです。
 今は沖縄をはじめ各地の戦跡をめぐり、戦争体験者に直接話を聞き、戦争の事実をたくさんの人に伝えたいと思っています。
 正確な情報を共有するためにも、戦争体験者の話が世代を越えてこれからも伝わっていくといいですね。

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( 写真説明 ) 山崎ひろみさん(川尻)

命ある限り伝えたい
「富士の語り部」の会 橋口 傑さん
 私はことし85歳になりました。戦争体験者は高齢化が進み、次々にこの世を去っていきます。どうやってこの戦争体験を途切れることなく、次世代に引き継いでいけるのか、ということが私の一番の悩みなのです。
 私は、命ある限り戦争体験を語り継いでいきたいと思っています。
 たくさんの人が、平和について考えるようになれば人や地域のために助け合う、争いのない世の中になるのではないでしょうか。

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( 写真説明 ) 橋口 傑さん(今泉)

 大切なことは知識や情報、数字や活字だけではなく、感情がなければ伝わりません。だからこそ、戦争体験者の話は、たくさんの人の心に響き「戦争を繰り返してはいけない」という強い思いを残していきます。
 それは現在から未来へ途絶えることなく続く伝言なのです。


 
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