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【広報ふじ平成22年】平和特集 「お帰り」そう言える日まで 2

戦争/遺骨収集

 第二次世界大戦中・戦後、海外で死亡した日本人は約240万人(概数)と言われています。その遺骨を故郷・日本に帰す活動が遺骨収集活動です。
 厚生労働省は、昭和27年度から南方地域での遺骨収集を開始。また、平成3年度からは旧ソ連地域、平成6年度からはモンゴルでそれぞれ、抑留中の死亡者について遺骨収集が可能になり、活動を開始しました。
 その結果、これまでに約32万柱の遺骨を収集。陸海軍部隊や一般邦人の引き揚げ者が持ち帰ったものを含めると、海外戦没者約240万人のうちの約半数(約126万)が送還されています。
 旧ソ連・モンゴル地域には、第二次世界大戦後に約57万5,000人(推計)が抑留され、約5万5,000人が抑留中に死亡しています。平成21年度末までに2万280柱の遺骨を収集し、モンゴル地域についてはおおむね収集を終えています。

- 図あり -
( 図説明 ) 遺骨が残る主な地域 (厚生労働省発表 平成22年3月31日現在)

「おれだけ帰って済まない 必ず迎えに来るから」

生前、遺骨収集活動に熱心に参加していた望月寅雄さん。それは、自身がシベリアで抑留されていたとき、抑留中に死亡した同僚とのちかいの言葉「必ず迎えに来る」
この約束を果たすため。
これは、故望月寅雄さんの記録

大正15年8月10日 大淵にて出生
昭和16年6月   満州に渡る。「満蒙開拓青少年義勇軍」入隊
昭和20年8月7日  徴兵。部隊入隊
昭和20年8月16日 武装解除。強制労働
昭和24年 帰国
平成3年〜 シベリア遺骨収集・埋葬地調査に参加(計19回)
平成20年10月19日 死去(享年83歳)

 食う物もない、労働はきつい、氷点下30度・40度の寒いところでも仕事をしなきゃなんない。
 奥さんの名前を呼び、息子の名前を呼びみんな倒れていった。私はこうして帰って来たが、いまだに帰れない同僚がソ連の凍土の中に埋められている。私はソ連から生きて帰って来た者の使命として、遺骨調査・遺骨収集に参加している。
 みんな祖国のために連れて行かれたのだから…

- 写真あり -
( 写真説明 ) 故望月寅雄さん
1_「早く見つけるよ」約束が今果たされる
2_「やっと迎えに来れたよ。日本に帰ろう」かたい大地で待ち続けた57年前の若い将兵に語りかける
3_「風がどの方向に吹いていても、煙は必ず日本にたどり着く」そう信じて焼骨する 
(1、3 平成6年7月26〜8月9日 2 平成15年10月6日〜20日 遠藤尚次さん撮影)

「ここに存在している私たちを、戦争の真実を知ってくれ」 そう語りかけているようでした。

 私が初めて遺骨収集に参加した2006年8月の活動は、夏にもかかわらず氷点下、雪の中での作業でした。厳冬期には氷点下60度にもなる収容所で、極寒・飢餓・重労働の末に無念にも亡くなった兵士の亡きがらは、戦争の悲惨さ、愚かさを私に訴えていました。
 政府が派遣している遺骨収集は、抑留経験者本人または遺族のみが参加できます。そのどちらにも当てはまらない私が参加できるのは、仲間との約束を果たすため、遺骨収集を続けた望月寅雄さんのおかげです。
 日本を思い、日の丸を背負って戦った望月さん。「ふるさとに帰りたい」そう思いながらシベリアの凍土に眠った仲間たちとの最期の約束は「絶対ふるさとに帰してやる」。その約束を果たすため、「お帰り」そう言える日まで、かたくなに仲間を探し出す人でした。
 戦争を知る人はわずかとなりました。望月さんも一昨年亡くなりましたが、望月さんのご遺志を引き継ぎ、無念に散った兵士たちの願いをかなえる手伝いをしたいと思い活動しています。
 また、戦争体験者が語る戦争を「口述記録」として残し、体験者の思い、戦争の姿を後世に伝えています。戦争体験者の口述記録は戦争の歴史を語る平和・友好の第一歩です。
 常に思うのです「戦争は二度としてはいけない」。世界の平和を願っています。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 望月寅雄さんの遺志を継ぎ、遺骨収集活動に参加。現地を調査し、戦争体験者の口述記録をとり続ける
辻俊行さん(伝法)

平和/だから伝えたい戦争

●7月27日(火曜日)から歴史民俗資料館に「戦争とくらし」コーナーを常設
 戦争の歴史的経過、戦争と人々の暮らし、戦争と子どもたちをテーマとした実物資料などを展示するほか、企画展示、子ども向けの戦争関連の書籍コーナーを配置します。
開館時間/
4月〜10月:9時〜17時
11月〜3月:9時〜16時30分
休館日/月曜日(祝日を除く)、祝日の翌日
問い合わせ/市立博物館 電話 21-3380

●2010 平和のための富士戦争展
 今回紹介したシベリア抑留・遺骨収集の展示のほか、実物資料や遺品などを通して、平和の大切さ、命のとうとさを訴えます。
とき/8月10日(火曜日)〜15日(日曜日)
ところ/ロゼシアター展示室
問い合わせ/
核兵器廃絶平和富士市民の会または平和のための富士戦争展実行委員会(富士市職員組合内) 電話 55-2893

●ミニミニ原爆展
 被爆した広島・長崎の様子を写真ポスターで紹介します。
とき/8月9日(月曜日)〜25日(水曜日)閉庁日を除く
ところ/市役所2階市民ホール
問い合わせ/広報広聴課 電話 55-2700

●通貨・証券などを返還しています
 外地から引き揚げてきた皆さんが、税関などに預けた通貨や証券を返還しています。
問い合わせ/清水税関支署田子の浦出張所 電話 33-2791

●視聴覚資料を貸し出しています
 「火の海・大阪」「100ばんめのサル」(ともにDVD:共和教育映画社)が新しく加わりました。
問い合わせ/広報広聴課 電話 55-2700
帰る場所がある
待っている人がいる
「ただいま」 
それは「平和の言葉」なのかもしれません
添付ファイル
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
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