【広報ふじ平成21年】町内会の未来は… その2
町内会はいらない?
時代とともに変化している生活様式や住民のニーズ。それに伴い、町内会に対する考え方も変化してきています。
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( グラフ説明 ) あなたの世帯は町内会に加入していますか?また、どのように活動していますか?
「参加するのは行事などのときだけ」と答えた人が最も多く、58.8パーセントと過半数を超えています。
また、「加入しているがほとんど参加していない」「加入していない」を合わせると20.1パーセントになり、5人に1人が町内会活動に参加していないようです。
■そもそも町内会って何?
地域住民の自主性に基づいてつくられる任意の団体。それが町内会です。
昔から「向こう三軒両隣り」という言葉があるように、町内会は、あって当然だと思われてきました。地域の結びつきによって生まれた組織で、その活動は半ば義務として、助け合いながら行われてきています。
その歴史は古く、江戸時代の「五人組、十人組」までさかのぼります。
■社会環境の変化
しかし、社会環境の変化や生活様式の多様化によって、町内会に対する意識は変わってきています。
核家族化や共働き世帯の増加などに伴い、ふだん住民同士で顔を合わせる場や機会は少なくなりました。
また、高齢化や少子化、晩婚化が進んだことで、一人暮らしや夫婦だけの世帯がふえました。以前は子どもを通して地域にかかわることで、地域とのつながりを深めることができましたが、それができなくなりつつあります。
昔は近所同士がもっと気軽なつき合いをしていた
よく、役員のなり手がないという話を聞きますね。私の町内でも、その理由から、婦人会は数年前になくなり、青壮年部も現在解消の危機に瀕しています。
近所づき合いに対する価値観も変化していますよね。お互いにプライバシーを侵害してはいけないという意識が強くなり、アパートなどでは「隣の人は何をしているか知らない」という声も聞かれます。昔は、気軽にしょうゆやみそを借りたり、家を行き来したりしていましたよね。
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( 写真説明 ) 加藤昭夫さん(松岡)
組合の人同士、顔を合わせる機会が少なくなった
昔、冠婚葬祭は組合の人同士助け合いながら行ったものです。頼むのも頼まれるのもお互いさまで、手伝うのは当たり前だとだれもが思っていました。
今は自分の家で葬儀をする人は少なくなり、手伝いを必要としなくなりましたね。女性は払いの膳をつくるのに朝早くから支度をしました。それに、建前の投げもちも見かけなくなりましたね。建前のときも組合の人が集まってもちをついたり、5円玉に赤いリボンを通したり。今は人と人のふれあう機会が少なくなり、寂しく感じますね。
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( 写真説明 ) 内田和枝さん(鮫島)
もし、町内会がなかったら…
もし、町内会がなかったら、あなたの住んでいる地域はどうなると思いますか?
・人通りが少なくどこか危険…。
・ごみ集積所はだれがきれいにするの?
・いつも行く近所の公園の掃除はだれがするの?
地域で支え合う仕組みが大切
今、町内会が担う役割
今、生活環境が変わり、昔ほど地域で協力して何かをする機会がなくなってきました。でも、地域で助け合う仕組みは不可欠だと思います。
阪神淡路大震災のとき、建物の倒壊によって多くの人が亡くなりました。災害が起きたとき、家などの下敷きになった負傷者の救助は一刻を争いますが、救助隊はすぐには来てくれません。頼りになるのは隣近所です。もし町内会や自主防災会などがなければ、いざというときほとんど対応できません。
また防犯面でも、隣近所のかかわりは重要です。日ごろから近所づき合いがなければ、不審者がうろうろしても不審者であることがわかりません。子どもや高齢者の安全を守るためには、怪しい人や変な車をおかしいと思う感覚が必要なのです。
最近では、高齢者や子育ての支援などを行っている町内会も出てきました。自分の手で自分たちが住みよいまちづくりを進める基本が町内会です。
少しの時間を地域のために割くのは当然
ひと昔前は、行政に頼めば何でも何とかなる時代がありました。でも今は、そうはいきません。自分たちでできることは自分たちでやらなければなりません。
『空き家の窓が割れ、それをほったらかしておくと、庭が荒れ果てだれも寄りつかなくなる。そこに犯罪者などが入り込むようになる。すさんだ地域からは、次々に人が離れていく』。これは、地域の崩壊は割れ窓から始まるという理論で、最初に窓が割れた段階で何とかしておけば、地域は安全・安心に保てるというものです。では、それをだれがやるのか…。もちろんそれは、そこに住む地域の人たち。自分たちの暮らしを守るために、町内会活動はすごく大切なのです。
富士市は町内会への加入率は高いものの、役員のなり手がないなどという課題があると聞いています。なるべくたくさんの人が活動に参加し、楽しく、継続できるような組織にしていくとよいですね。改めて地域の仕組みを整えていく必要が出てきています。
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( 写真説明 ) 株式会社 地域まちづくり研究所 代表 伊藤光造さん
添付ファイル
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