41 芙蓉(ふよう)橋・比奈橋 渡り初め
昭和39年4月(比奈)
- 写真あり -
( 写真説明 ) 現在の新芙蓉橋は平成3年1月に完成
( 写真説明 ) 稲刈りの休憩中(吉澤さん提供)
- 図表あり -
( 図表説明 ) 地図
橋の近くにあった田んぼで家族と農作業をしていた
吉澤 孝枝(よしざわ たかえ)さん(比奈)
- 写真あり -
工業の発展を見つめてきた橋
現在、工場が立ち並ぶ橋の周辺には、一面に田んぼが広がっていました。比奈橋の近くに我が家の田んぼがあり、大八車(だいはちぐるま)を引く祖父と一緒に、私もよく田んぼと家を往復しました。田植えや稲刈りなど、人手が要るときは、親戚も集まって、それはにぎやかでしたね。秋晴れの空のもと、土手にむしろを敷いて、みんなでお弁当を食べるのが楽しみでした。その味は、格別においしかったですよ。
稲刈りが終わると、稲穂がたくさん積まれた大八車をみんなで押しながら、土手沿いを歩いて家に帰りました。夕暮れどき、あたり一面に、竹ざおにかかった稲干しの列が並んでいました。懐かしい秋の日の光景が、今も目に浮かびます。
春には、土手でヨモギやセリを摘んで帰ると、母が草もちやセリそばをつくってくれました。秋はイナゴを追いかけて走り回って…。遊び道具がなくても、子どもが楽しめる自然があり、季節を感じられる場所でした。富士沼津線が開通してから、工業の発展とともにすっかり景色が変わり、今は工場群の中心ですね。