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【広報ふじ平成18年】特集 地域のチカラ求む!!

 地域のチカラとは…。
 それは、自分の住んでいる地域で協力し合い、知恵を出し合い、お互いを助け合うことで生まれる力のこと。
 最近、地域の人と顔を合わせる機会が以前に比べ少なくなっているようです。あなたは、隣近所の人を知っていますか?
 今回の特集は、「地域のチカラ」について取り上げます。
- 写真あり -
( 写真説明 ) *写真はイメージです。


■なぜ、その声は生まれるのか■
 ここでは、皆さんから市に寄せられた意見を紹介します。

 市は「市町への手紙」で、皆さんから市政についての提言や意見をいただいています。
 ここ数年、地域、町内会に関する意見をいただくようになりました。
 また、毎年、市政の参考にするために、市の施策や市民の意識に関する「世論調査」を行っています。
 平成16年度に行った「身近な地域の治安と防犯活動」に対する自由意見で、地域でのつき合いについての意見をいただきました。

*自治会のことを、吉原地区では「町内会」、富士・鷹岡地区では「区」と呼びます。隣保班のことは地域によって、「組」や「班」と呼んでいます。

〈市長への手紙から〉
○私の家は核家族で、小さな子どもが2人います。
 先日、町内のごみ当番で2人の子どもを連れてごみ置き場に1時間立ちました。そのほかにも行事や会合で仕事を休んだり、遅刻したりしなければならないときもあります。
 町内のことを後回しにすると、「出席率が悪い」と言われます。小さな子どもを抱える母親が、どうしてこんな悲しい思いをしなければならないのですか。
 みんなが子どもを産まないのは、社会が子育てに協力的ではないからだと思います。
 このようなことにならないよう、町内会活動への強制を市でやめさせてください。

○先日、新築の家に引っ越しました。そこで、町内に提出する書類を書かされ、勤務先まで記入するよう言われました。
 それっておかしいと思います。プライバシーが保護されていない。近所(同じ組)の家へのあいさつ回りも30軒以上行き、ほぼ強制でした。
 市長から各組長(町内会長)へやめるように言ってください。そんなしきたり、おかしい!

○町内では、運動会や文化祭など、さまざまな行事が行われています。町内の人たちに聞いても、これらの行事に参加する人は少なく、役員になった人は、人数集めにいつも四苦八苦しています。
 昔とは違い、家族構成や生活環境、仕事形態などの変化から、行事への参加は困難になってきています。市民は負担を課せられ迷惑です。廃止の方向で、ぜひ検討してください。

〈世論調査から〉
○近隣とのつき合いが希薄になり、お互い無関心になっている。大人も子どもも、もっと声をかけ合い、あいさつを交わし合い、助け合っていく地域社会ならば、おのずから他人のことにも目が届き治安や防犯につながると思う。
 地域内で犯罪が発生した場合、情報を流し、住民一人一人が注意できるようにしてほしい。(同19件)

○地域で「身近な地域の治安と防犯活動」について話し合いをしたことがない。もっと情報を得て、話し合いをすべき。(同3件)

○近所づき合いや地域のつき合いが少なくなっている地区ほど、犯罪が多くなってきている気がします。子どもへの声かけなど、もっと近所を知ることで地域とつながりを持っていった方がいいと思います。(同3件)

○地域内の建物に、住民として入居し生活していても組に入らず、昼間は表向き静かに見せていても、夜中に動きが激しくなり、近隣に不安感を募らせる住民がいる。
 そういう住民に対して、組として話し合いなど意見交換できる場がないものかと思う。


■地域のチカラは今■
 皆さんに、地域のチカラについてどのように感じているかを聞いてみました

○以前、夫婦2人でアパートに住んでいたころは、休みの日に町内会の清掃活動や地域の行事へ参加するのは面倒でしたね。
 でも、子どもが生まれ、地域とかかわりを持つようになった今は、地域活動は地域に住む人の役割だと思って活動しています。
 子どもがいなかったり、引っ越してきてもともと知り合いがいなかったりすると、地域のきずなの大切さはわからないのではないでしょうか。(30歳代・宮島)

○私の住んでいる地区は、ほとんどの皆さんが協力的で、まとまっていると思います。でも、一部には非協力的な人もいます。ごみ当番が回ってきてもやらなかったり、行事があっても参加しなかったり…。
 人が少ない地区だと、みんな顔見知りで、自分もやらなければという思いも生まれますが、人が多い地区だと、だれかがやってくれるだろうと、人を当てにしてしまう面もあるのではないかと思います。(30歳代・水戸島本町)

○今、両親と生活していて、町内会などの地域のことは親に任せきりです。
 地域のつき合いは大切だと思いますが、私は仕事があって昼間は家にいないので、地域の活動に参加することはないですね。
 小さいころから顔見知りの人はわかりますが、結婚して入ってきたり、新しく引っ越してきたりした人や子どもはわかりませんね。(30歳代・富士見台3)


世代を超えた地域のきずなを大切にしていきたい
平井 重晴(しげはる)さん(天間)
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住民の力で住みやすい環境に
 私が住む天間東は、来年30周年を迎えます。町内会ができたばかりのころ、鷹岡から引っ越してきた私は町内会長を務めました。できたばかりの町内には公園などの施設や行事などの文化がなく、公園をつくったり夏祭りを始めたりと、住民の力で地域を住みやすい環境にしようと協力し合ってきました。
 私は、役員をやることで地域のことを知り、住民の顔を覚えていきました。町内会や子ども会など、地域で組織する団体の役員になるのは、面倒だと思われがちですが、地域の人たちとのきずなを深めるいい機会でした。
若い人たちとも知り合える機会を
 最近は昔に比べ、日ごろ住民同士が顔を合わせる場が少なくなっているかもしれません。近所を散歩していると、同じ世代の皆さんとはよく顔を合わせ、言葉を交わします。たまに若い人たちとすれ違っても、正直、地域の人かどうかわかりません。できれば、若い人たちともお互いに知り合える機会がもっとあるといいですね。今、私が通っている「いきいきサロン」では若い世代と交流ができてとても楽しいです。
 年をとればとるほど、地域にいることが多くなり、地域に対する愛着や安心感は深まります。世代を超えた地域のきずなを大切にしていきたいですね。

 社会環境や生活スタイルの変化により、地域のチカラも変化しているようです。皆さんは、町内会や子ども会の加入状況(左図)を見て、どのように思いますか?
- 図表あり -
( 図表説明 ) 町内会の加入状況(円グラフ)
( 図表説明 ) 子ども会の加入状況(棒グラフ)

社会環境の変化
 核家族化や女性の社会進出などに伴い、ふだん住民同士で顔を合わせる場や機会が少なくなりました。
 また、少子化や晩婚化が進んだことで、一人暮らしや夫婦だけの世帯がふえました。以前は子どもを通して地域へかかわる機会を積み重ね、地域とのつながりを深めることができましたが、それができなくなってしまいました。
 また、価値観も変化しています。お互いにプライバシーを侵害してはいけないという意識が強くなり、アパートなどでは「隣は何をしている人か知らない」という声も聞かれます。

生活スタイルの多様化
 隣近所で力を合わせる大きな場であった冠婚葬祭は、家や地域ではなく専門の式場などで行われるようになり、昔ほど地域で協力して何かをする機会がなくなってきました。
 また、テレビやインターネットなどの普及により、隣近所に頼らなくても自分で情報を得ることができるようになりました。
 車社会の発達も要因の一つに挙げられます。家から直接車で出かけるようになり、住民がふだん地域を歩く機会が減り、お互いに顔を合わせることも少なくなりました。


地域のチカラを高めていくことは必要です
地域安全課課長 後藤 博一
- 写真あり -

行政だけでは困難
 数年前から、市民の皆さんから「煩わしいので町内会を抜けたい」「町内会に入らなくても困らないのでは?」などの問い合わせが来ています。
 町内会はあくまで自主的なもので、市で参加を強制することはできません。しかし行政だけでは、地域の細部にわたって援助したり、地域の隅々まで把握したりすることは困難です。
 そこで町内会には、市の印刷物の配布やごみ収集など、行政と地域を結ぶパイプ役を担っていただいています。
何のために地域活動があるか
 地域では、町内会のほかにさまざまな団体が活動しています。地域活動に参加することを自分の損得で判断するのではなく、何のためにその活動があるかを今一度考えてみてください。日ごろの地域活動は、地震などの災害時をはじめ、地域で起こるさまざまな事態に対し地域の皆さんが協力して問題解決を図るための組織をつくり、住民同士の連携により安全で住みよい街をつくるためのものです。
 常日ごろから、住民が地域のことに関心を持ち、地域課題をみずからの課題としてとらえ、地域で組織として取り組んでいく「地域のチカラ」を高めていくことが必要だと感じています。
 市も、地域のチカラをしっかり応援していきたいと考えています。


■地域のチカラを活用する■
 今、地域のチカラは、さまざまな分野で必要とされています。
 そこで、それぞれの活動を通して地域力を発揮している皆さんをご紹介します。


〈防犯〉
活動を通して、地域の安全・安心を築きたい
「富士南子ども達を守る会」書記広報担当
石川 雅也さん(森島)
- 写真あり -

子どもを被害者にさせない
 平成15年、富士南地区福祉推進会と富士南小学校との懇談の中で、地区で子どもへの犯罪行為が多く発生していることを知り、子どもたちを被害者にも加害者にもさせないようにと、「子ども達を守る会」を発足させました。
できることをできる範囲で
 「目立つことが犯罪の抑止力・防犯の第一歩」と考え、遠くからでもわかるように黄色いベストや腕章などをつけたり、車にマグネットステッカーをつけたりしました。買い物や散歩、通勤などのついでに「見守りと声かけ」を行い、自分の生活に合わせ、できることをできる範囲で行ってきました。今では、「遠くに黄色いベストを見ると安心するよ」と言われるようになりました。また、警察庁の地域安全安心ステーションモデル事業の指定や、34台の青色回転灯搭載車の見守りにより、活動は一層進み、身の回りの安全を見直すいい機会となっています。
 子どもへの見守りや声かけができる地域は、高齢者にも障害者にも優しいまなざしを向けることができる、だれにとっても安全な地域になるように思います。これからも、地域の安全のために頑張りたいと思っています。


〈福祉〉
みんなでわいわい過ごし、笑うことを大切にしたいですね
いきいきサロン「水仙」代表
涌田(わくた) 典子さん(江尾)
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地域に暮らすお年寄りが集まる場
 「水仙」は、月1回、地域に暮らす元気なお年寄りが集まる場です。平成13年に社会福祉協議会や町内会の援助を受け、この活動を始めました。現在、70〜90歳代の25人が参加しています。体操や指遊び、血圧測定などを行い、みんなでおしゃべりをして楽しく過ごしています。また、悪質商法にひっかからないように話をするなど、生活に関する話もすることがあります。
 運営は同じ町内に住む6人で行っています。運営と言っても、お年寄りから教わることも多く、私たちも楽しく過ごしています。
地域でお互いを支え合う
 今は高齢者世帯が多くなり、中には、家に閉じこもってだれとも口をきかない日がある人もいるようです。昔は、町内の組ごとに気軽に集まる機会がありましたが、今はなくなってしまったようです。でも私の組は、みんなで集まって雑談をする場が今も月1回くらいあり、お互いに支え合っています。
 「水仙」に参加している皆さんも、自分たちの地域で支え合わなければならないと感じているようです。私も、日ごろ生活している地域のつき合いを大切にしていきたいと思っています。


〈子育て〉
子育て中の人にとって、心強い存在です
子育てサークル「げんきっず」代表
杉澤 美代(みよ)さん(宇東川東町)
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地域の母親たちで始めた会
 「げんきっず」は未就園児を持つ母親が集う子育てサークルで、毎月第1・第3水曜日に主に原田公民館で活動しています。現在18組の親子が所属し、協力し合って楽しく活動しています。
 この会は、原田公民館の子育て事業「メリーさんのひつじ」に参加していた母親たちが、講座終了後も親子で集まれる場所をつくろうと、平成10年に立ち上げました。
息抜きの場であり、情報交換の場
 私は、2年前に近所の人の紹介でこの会に入会しました。当時、身近に子育ての相談ができる友達がいませんでした。子どもが幼稚園に入るまでは、地域に住む子育て中の人と知り合う機会はなかなかありません。それに、日中ずっと子どもとだけ接していて、息が詰まりそうになったこともありました。
 でも、「げんきっず」に参加し、とても気持ちが楽になりました。身近に集まれる場所や、気軽に相談できる人がいると心強いですね。息抜きの場だけでなく、健診や子育てなどの情報交換の場にもなっています。
 これからもこの活動を大切にしていきたいと思います。


〈防災〉
「地域で地域の安全を守る」という意識を持つべきですね
橋下区自主防災会会長
中司(なかつかさ) 博明さん(松岡)
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人ごとではなく、自分たちの問題
 私が自主防災会の会長になったとき、災害時に自分たちの地域の安全を守れるかどうかを疑問に思いました。当時、「災害なんて起きないから大丈夫」「何か災害が発生したときは、だれかが助けてくれるから大丈夫」と考えていた人が多かったからです。そこで、「防災は人ごとではなく、自分たち地域の問題」ということをいろいろな場所で説明し、話し合い、今の自主防災会の形ができあがってきました。
 阪神淡路大震災が起きたとき、地域のチカラが活躍したと聞いています。そのためには、自分たちでできる範囲のことはやるという意識が必要だと感じています。
地域の一員だという意識
 今では、「災害が起きたときは、みずからの命は自分で守り、次に家族を守る。そして近所で助け合い、地域で地域を守っていこう」と、住民の意識が変わってきました。災害時は、消火隊員・給食給水係・情報連絡係・救急救護係など、少なくとも各世帯一役はついています。これによって、今はみんなに地域の一員だという意識が生まれ、自主防災会として気持ちが一つにまとまりつつあるように思います。


■あなたにできることから始めよう■
 自分が暮らす地域のことは、人ごとではありません。

生活事情はそれぞれ違う
 社会環境の変化などに伴い、生活スタイルが多様化し、生活事情はそれぞれ違います。夫婦とも仕事で地区の会合に参加できなかったり、小さな子どもがいてごみ当番に参加できなかったりと、地域活動ができないときがあるのは仕方がないと思います。でも、事情を知らない人には、非協力的だととらえられてしまうかもしれません。

お互いの事情を知ることから
 今は個人のプライバシーが尊重される時代。しかし、隣近所のつき合いは、また別の問題ではないでしょうか。地域の人同士のコミュニケーションが図れたら、お互いの事情を知り、お互いを気遣うこともできるし、協力し合って地域活動に参加するようにもなるのではないでしょうか。
 地域活動は強制ではありません。でも、ふだんの生活や災害時などを想像してみてください。地域のチカラを必要とする場面はありませんか?
 下のチェックリストで、あなたができることを探してみませんか?
- 図表あり -
( 図表説明 ) できることチェックリスト


「自分は地域に何ができるか」という意識を持てたらいいですね
富士市社会福祉協議会会長
廣瀬 巖(いわお)さん
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隣近所と気取らないつき合いを
 社会環境の変化により、もともと地域や家庭に備わっていた力が失われつつあります。だからこそ今、地域のチカラを見直さなければなりません。そのためには、地域の人とのつながりが大切です。隣近所と気取らないつき合いができるようになるといいですね。
 「地域が自分に何をしてくれるか」という受け身の考え方では、これをしてくれない、あれをしてくれないと、不満が生まれます。また、やらされていると思うと、地域活動に対しマイナスのイメージしかわきません。「自分は地域に何ができるか」という意識を住民みんなが持つべきですね。
地域活動は自分のためになる
 私たちは福祉活動を進める中で「だれもが住みやすいまちづくり」をスローガンに、地域活動を支援し、住民一人一人の意識の高揚を図っています。だれもが住みやすい環境というのは、自分の住みやすさにも通じます。地域活動は自分のためでもあるのです。住みやすいまちづくりのためには、地域の人たちが地域で問題解決できる力を身につけていくことが必要だと感じています。地域福祉活動計画に基づき各地区に設置された「地区福祉推進会」は、町内会や民生委員児童委員、PTAなどさまざまな団体で組織され、自分たちで解決していこうと取り組んでいます。今後は、この会を地域でどう活用していくかがかぎだと思います。

 みんなが地域に関心を持たなくなり、地域のチカラがなくなってしまったら…。
 あなたのチカラが地域を支えます。住みよい街になるかどうかは、住んでいる私たち次第ではないでしょうか。
- 写真あり -
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