DMVは、富士駅〜新富士駅間の接続をはじめ、市内東西方向に継ぎ目のない公共交通を構築できる交通システムです。
現在、市はその導入に向けた検討を進めています。
市制施行40周年を迎える今年度、市はDMVのデモ走行を計画しています。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 道路を走るタイヤとレールを走る車輪を両方備えるDMV
DMVって?
DMV(デュアル・モード・ビークル)は、JR北海道が開発している、道路と線路の両方を走ることができる両用車のこと。
車両は、マイクロバスを改造したもので、車体の下から鉄の車輪を出し入れして、道路と線路を自由に行き来できる仕組みになっています。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 道路も線路も走るバス
( 図表説明 ) DMVの予定運行経路図
今、街で何が起きているのか
富士市の現状
(1)高い自動車への依存
富士市は、一世帯当たりの自動車保有台数が全国で20位程度という「自動車の街」です。
(2)公共交通の低迷
路線バスの利用者は、昭和43年をピークに減り続けています。昨年は10年前の40パーセント程度まで減少しました。
(3)分散した街のつくり・構造
富士市は、2市1町が合併した経緯もあり、公共施設や住宅、人が集まる施設などが点在しています。
「交通」と「街づくり」
このままでよいのでしょうか…。皆さんは、車がなければ快適な生活ができないような街をどう思いますか?
市は、高齢者や車を運転できない人たちも、安全で快適に生活できるようにしていくことが大切だと考えます。高齢社会を迎えた今、これまでの自動車中心の交通体系のままでよいのか、見直していく時期に来ています。
「交通」と「街づくり」という、両方の視点が必要となっています。
街づくりの方向性
市は、住みやすい街を目指し、人を中心に、自動車・公共交通・自転車・徒歩など、複数の交通手段を状況に応じて選択できるようなバランスのとれた交通体系をつくります。
(1)自動車依存からの脱却
現在、市民の交通手段は自動車に偏り過ぎています。自動車にかわる交通手段となる公共交通を重視した施策を展開し、自動車依存からの脱却を図ります。
(2)公共交通の利便性の向上
第一段階として、バスの利便性を向上させます。市中心部でのバス路線を充実させるため、この秋から、「中心部循環バス」の運行を行います。その結果を検証した上でDMVを導入し、公共交通をより便利にしていきます。
(3)コンパクトな街づくり
車に依存せざるを得ない、現在の都市構造を少しずつ元に戻そうと考えています。街の中心を魅力的な空間にし、人々が集まるよう、生活するのに便利で安全な「コンパクトな街」をつくります。
コンパクトな街をつくるために、街全体で公共交通を充実させることが、今、強く求められています。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 目指すは30年後のコンパクトな街!
なぜ、DMVなのか
●既存路線の有効活用
市内には、岳南鉄道や貨物用の線路があります。これらを有効活用すれば、多額の費用をかけずにDMVを導入できます。
●乗りかえ不要で利便性が向上
分散している市の中心となる核(吉原・富士・新富士駅周辺)と、岳南鉄道沿線の既成市街地が乗りかえなしでつながることで、利便性が向上します。
●渋滞知らず!
将来、市の拠点は「新富士駅周辺」と位置づけていて、今後はこの拠点に人が多く集まることを想定しています。新富士駅周辺ではDMV専用の道を走ることになり、交通渋滞を避けることができます。
●市の「身の丈」にちょうどよい
富士市は大都市ではありません。
今、話題となっているLRT(*)を導入した場合、専用のレールをつくらなければなりません。また、それほどの需要は見込めません。
DMVは、コスト・輸送量ともに、富士市の「身の丈」に合っています。
●ルート設定が自由
レールの上だけではなく、道路も走れるDMVは、地域に適した利用ができ、柔軟なルート設定が可能です。
*LRT…Light Rail Transitの略で、路面電車を近代化させたもの。
DMV導入をきっかけに、よりよい街をつくりたい
富士市公共交通協議会委員
田中 哲文さん(松岡)
- 写真あり -
市民も、公共交通に関心を持つべきですね
私は、ふだんから、公共交通の不便さを感じていたので、公共交通協議会委員に応募しました。
私はいつも自動車で通勤していますが、会社の近くにバス停がなく、車を利用しないと会社にたどり着くまでかなり時間がかかります。体調が悪くても運転しなければなりません。会社帰りに飲みに行くときや出張するときなどは、どうやって行こうかと考えます。
公共交通が便利になるには、市民が公共交通をもっと利用すればよいのですが、不便さを感じている今、利用する人は少ないですね。行政がいくら公共交通の利用者をふやす仕掛けをしても、家から目的地まで運んでくれる自動車の便利さを捨てられる人は少ないと思います。でも、このままでよいとは思いません。健康や交通事故防止のためにも、公共交通を利用すべきです。
私は、広島や長崎など路面電車のある街が好きです。公共交通が市民の生活の一部になっていて、街を行き交う人も多く、街の温かさを感じます。しかし、富士市はみんな自動車で目的地まで行くせいか、街を歩いている人をほとんど見かけません。
DMVの導入をきっかけに、多くの市民が公共交通に関心を持つようになればと考えます。
都市計画課課長
真野 敏則
- 写真あり -
DMVは、街を変えるための一手段
これから先10年、市の都市計画が目指すものは、だれもが住みやすい街です。そのためには、公共交通も重要な課題となっています。現在、自動車のおかげで、目的地まで自由に行けるようになりました。その一方で、公共交通を利用する人は減り、現状のままでは衰退するばかりです。
10年後、4人に1人は高齢者になります。自分で車を運転できなくなることもあるでしょうし、自動車で送り迎えしてくれる家族がいるとは限りません。そうなったとき、自動車がなくても安心だと思ってもらえる街にしたいと考えています。そのために私たちは、赤字のバス路線を支援するなど、公共交通の維持に力を入れています。
DMVという交通手段を見つけ、富士市の公共交通に明るい光が見えてきたように感じます。DMVが東西方向の交通の軸となり、地域の特性に合う交通手段を組み合わせていけたらと考えています。しかし、DMVを走らせることが最終目的ではありません。DMVはあくまでよりよい街をつくる一手段です。そのことを皆さんにわかっていただきたいですね。年明けには、DMVのデモ走行を行いたいと考えています。富士市を走るDMVの姿が見られるのを楽しみにしていてください。
皆さんも、この機会に公共交通について考えてみませんか?
都市計画課
電話 55-2904 ファクス 53-2773
Eメール toshikei@div.city.fuji.shizuoka.jp