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【広報ふじ平成18年】あなたに語り継ぎたい 戦争を知り、平和を知る

 皆さんは、「戦争」と聞いて何を思いますか?終戦から61年。戦争体験を持つ人は減り、戦争を知らない世代が多い時代となりました。
 今回は、市内に住むお二人の戦争体験を紹介します。

戦争当時、満州(現在の中国東北部)にいた
大芝昇(のぼる)さん(松岡)
- 写真あり -


いつ死んでもおかしくない日々を過ごした
自分の命を捨てて、相手の戦車に飛び込む訓練
 私は18歳のとき、現役兵として、満州の北部、ロシアとの国境近くに配備させられました。
 終戦間近になり、首に爆薬を巻いて、ロシアの戦車に飛び込む訓練をしました。自分の命を捨てて、敵と戦う作戦です。
 出撃するため満州とロシアの国境へ向かいましたが、ロシア軍との力の差は歴然で、鉄砲の玉が飛び交う中、撤退しました。
日本人とわかれば殺される
 そのときから約2年半の満州放浪の旅が始まりました。撤退する列から離れ、とにかく南へ向かおうとひたすら進みました。
 終戦前まで、日本人は満州人を差別し、不合理なことも強いてきました。そんなこともあり、日本人とわかれば殺されてしまいます。集団でいれば大丈夫ですが、少しでも一人でいるとすぐ殺されてしまうのです。日本兵と悟られないために、軍服を捨て、麻袋に頭と手の穴をあけて着たり、満州人の習慣や行動をまねたりもしました。生きるために、思いつく限りのことをしました。
 放浪する途中などで、日本から満州に渡った開拓団と幾度も出会いました。子どもは連れて行けず、満州人に預けたり、殺したりしなければならない状況でした。人として正しく生きたいけれど、それができない状況でした。地獄のような光景を見てきましたね。
 私の話は、戦争を知らない若い人にしてみたら、信じられない嘘のような話でしょうね。

フィリピンに出兵した
佐藤清(きよし)さん(今泉)
- 写真あり -


「戦争はしちゃいけない」と、心から感じてほしい
ジャングルの中を、当てもなく逃げ回りました
 私は、21歳でフィリピンに出兵しました。マニラに着いたとき、戦況は悪化していました。
 爆撃されそうになると場所を転々とし、最後の命令は「北を向いて歩け」というものでした。
 私は、ジャングルの中をひたすら歩きました。自分がどこにいるのか、何日過ぎたのかさえわからず、命令と言えども実際は、逃げ回っている状態でした。
何人もの遺体を見てきた
 ジャングルには、日本兵を捕まえようとする原住民の兵隊がいました。見つかれば彼らに殺されると思い、毎日神経を張りめぐらしていました。一緒に行動していた仲間が撃たれ、亡くなったこともありました。私も足や尻を撃たれて負傷しました。
 当時、フィリピンに出兵した人は63万人で、その約3分の2が亡くなったと聞いています。死因のほとんどは餓死でしょう。食糧も水もなく、つらかったですね。生えている草や葉をかみ、泥水をすすって過ごしました。実際に、亡くなっている人を何人も見ました。餓死の場合、目を見開いたまま亡くなります。大声で呼んでも頬を叩いても反応がなかったとき、亡くなっていることに気づくのです。戦争は本当に哀れですね。
 戦争はしちゃいけない。戦争を経験していない世代も、頭ではわかっていると思います。でも、頭ではなく、心の底から感じてほしいですね。まず、戦争の悲惨さを知ってください。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 上段右:農作業に動員されて働く吉原高等女学校生
( 写真説明 ) 上段中:銃剣訓練をした後の記念撮影
( 写真説明 ) 上段左:もんぺをはいて登校する子どもたち
( 写真説明 ) 下段右:食糧増産のため、運動場で田植えを行う国民学校生
( 写真説明 ) 下段左:出兵する兵隊を祝い、見送る人たち
( 写真説明 ) (写真提供:市立博物館)

 「戦争は恐ろしい」と感じるものの、身近ではなくどこか遠い世界の話のように感じている人も多いのではないでしょうか。
 しかし、自分の耳で聞き、自分の目で見たことは、あなたの心に深く刻まれ、平和のありがたさを知るきっかけとなるはずです。
 ことしの夏、戦争や平和について考える機会をつくってみませんか。


戦争を知り、平和を知る
あなたにしてほしいこと。それは、戦争の実態を知ることです。

1.富士の語りべの会
 戦争体験を語り継ぎ、それを記録に残しておこうと平成元年に発足した会です。
 現在は、2か月に1度、吉原公民館で定例会を行い、戦争体験を語り合っています。だれでも参加できます。
 希望があれば、出前講座も行っています。
問い合わせ
 橋口 方 電話・ファクス 51-8621
- 写真あり -

2.平和のための富士戦争展
 昭和63年から、毎年8月に開催されている富士戦争展。ことしで19回を数えます。展示のほか戦争体験者の話を聞くことができます。
とき 8月10日(木曜日)〜15日(火曜日) 9時〜17時
ところ ロゼシアター展示室
問い合わせ
 富士市職員組合(市役所1階) 電話 55-2893 ファクス 53-0960
- 写真あり -

3.ビデオや16ミリ映画フィルムを貸し出します
 広報広聴課では、戦争や平和について考える機会を提供するため、視聴覚資料を無料で貸し出しています。保育園や幼稚園、学校などで、平和学習にお役立てください。
問い合わせ
 広報広聴課(市役所8階) 電話 55-2700 ファクス 51-1456
- 写真あり -
添付ファイル
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp
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