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【広報ふじ平成18年】ふじ3(サン)ハートリンク 知っていますか?我がまち、隣のまちの伝説・伝統

 このコーナーでは、富士地域二市一町(富士市・富士宮市・芝川町)にかかわりのある広範な情報をお知らせします。
 ここ富士地域には、伝説や伝統が数多くあります。今回は、それぞれの土地に住み、伝説や伝統に詳しい人にお話を伺いました。

 富士市 鎧ヶ渕(よろいがふち)の主

 原田地区を流れる滝川に「鎧ヶ渕」と呼ばれる場所があります。この鎧ヶ渕に伝わるお話を、地元の郷土史研究家、神尾稔(みのる)さんに伺いました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 現在は「鎧ヶ渕親水公園」として整備され、夏にはホタルが飛び交う清流は、市民の憩いの場となっています。

 昔々、永明寺(ようめいじ)の和尚(おしょう)さんが、小坊主に「鎧ヶ渕に木が覆いかぶさっているので枝を切りなさい」と命じました。翌日、小坊主が山刀(やまがたな)で枝を切っている最中、山刀をふちに落としてしまいました。和尚さんは、小坊主に「ふちに潜って、拾ってきなさい」と言いました。
 鎧ヶ渕はとても深く、冷たい水が渦を巻いているいる上、主が住んでいると言われていたので、とても潜る気にはなれません。困っていると、何と水面に山刀が…。小坊主はふちに飛び込みました。
 ところが、これは幻で、そのまま潜ってみると、ふちの底には立派な御殿があり、奥で美しい女の人が機を織っていました。小坊主が近づくと、「私のことはだれにもしゃべるでないぞ。私はこのふちの主だが、山刀で織物がこんなに切れてしまった。今度落としたら、許さないぞ」と言い、山刀を返してくれました。小坊主はお寺に帰ると、和尚さんに「3年もの間、おまえはどこへ行っていた」としかられました。(広報広聴課発行『ふるさとの昔話(2)』より)

駿河郷土史研究会に所属し、幅広い知識を生かして市の観光ボランティアガイドとしても活躍している
神尾 稔さん(富士市原田)
- 写真あり -

 「私が小さいころ、この鎧ヶ渕は、滝のように勢いよく水が流れ落ち、川底もとても深かったのです。言い伝えどおり『主』がいてもおかしくない雰囲気でしたよ。
 原田地区には、ほかにも『かがみ石』や『いぼとり不動』など、歴史的に興味深いところがたくさんあります。ぜひ散策に訪れてください」と、神尾さんは話してくれました。

問い合わせ 広報広聴課
電話 55-2700 ファクス 51-1456

 芝川町 大嵐(おおあらし)の薬師堂

 芝川町からは、内房(うつぶさ)地区大嵐(おおららし)の薬師堂にまつわるお話を、大嵐町内会長で薬師如来の御開帳式典にご尽力された、風岡克紀(かざおかかつのり)さんに伺いました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 建て替えられたばかりで白木が美しい「薬師堂さん(医王殿梅旭庵(いおうでんばいきょくあん))」。中には33年に一度しか見られない「薬師如来(やくしにょらい)」が安置されています。

 芝川町の内房地区にある「大嵐」という集落の小高い場所に、薬師堂さん(正式名 医王殿梅旭庵)と呼ばれるお堂があります。中には漆塗りの厨子(ずし)があり、本尊の「薬師如来」が安置されています。この「薬師如来」は、「目の神様」として、また大嵐地区の守り神として地元の信仰を集めています。
 この厨子は、33年に一度しか開帳されません。その御開帳が、ことしの3月11日・12日の2日間行われました。今度「薬師如来」を見られるのは、33年後の2039年になります。33年に一度しか開帳されないということで、これにまつわる話が伝えられています。
 厨子を33年経たずに途中で開帳すると、集落の名が「大嵐」という名にあるように、『大嵐が来て、山崩れが起こる』とか『大きな災害が起こる』など、恐ろしい災いが起こると言われています。

大嵐町の町内会長で、薬師如来の御開帳式典に尽力された
風岡 克紀さん(芝川町内房)
- 写真あり -

 「大嵐に住んでいる人々は、薬師如来さんを大切にお守りし、33年に一度の御開帳のときには、集落を挙げておまつりをします。
 残念ながら、今回の御開帳は終わってしまいました。しかし、400年前に建てられたカヤぶきのお堂を建て直しましたので、この機会に参拝してみてはいかがですか。新しいきれいなお堂でお参りできます。きっと御利益がありますよ」と、風岡さんは話してくれました。

問い合わせ 芝川町総務課広報広聴係
電話 0544-65-2802

 富士宮市 火伏念仏(ひぶせねんぶつ)

 富士宮市の内野(うつの)地域と足形(あしがた)地域では、火災防除の祈りを込めた「火伏念仏(ひぶせねんぶつ)」が今も続けられています。
「六斎衆(ろくざいしゅう)」と呼ばれる念仏講の一員として、伝統を受け継いできた伊藤信夫さんにお話を伺いました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 手前に大きく下がっているのが「大注連(だいちゅうれん)」、天井に密集しているのが「おんべ飾り」。「六斎衆(ろくざいしゅう)」が念仏を唱え、火災防除を祈ります。

 この念仏は、江戸時代に地域全体が大火で焼失したことから、当時の村人たちが火災防除の法を伝え聞き、在家信仰の行事として行ってきたものです。
 当日、「当家(とうや)(頭屋)」と呼ばれる、新築または改築した家の客間に祭場を設け、部屋の中央には天井から「大注連」と呼ばれる御幣をつるし、そこから四方八方に細かく色紙を切り刻んでつくられた「おんべ飾り」を張りめぐらします。
 唱える念仏は「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」。「六斎衆」が太鼓とかねを打ち鳴らし、「ナマミダァ、ナマミダァ…」と独特の節回しで、三時間余りにわたり念仏を唱え続けます。太鼓の音がひときわ高くテンポが速くなると、集まっていた人たちが一斉に「大注連」めがけて飛びつき、それを奪い合います。
 念仏行事のなかで「火伏せ(防火)」を祈願したものは全国的にも珍しいと言われます。地域に残る貴重な民俗芸能行事である「火伏念仏」は、富士宮市の無形民俗文化財に指定されています。

地域に伝わる伝統行事「火伏念仏」を受け継ぐ「六斎衆」の一員
伊藤 信夫さん(富士宮市内野)
- 写真あり -

 「『六斎衆』は、現在九人で、念仏唱和の節回しやリズムは地域の先輩から教わりました。今後は、この伝統をどう継承していくかが課題です」と、伊藤さんは話してくれました。

問い合わせ 富士宮市秘書広報課
電話 0544-22-1119
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