このコーナーでは、富士地区2市1町(富士市・富士宮市・芝川町)にかかわりのある広範な情報をお知らせします。
ご紹介します
富士市・富士宮市・芝川町には、それぞれの地域の特性を生かし、さまざまな分野で活躍する人がいます。
今回は、富士地域で活動している芸術家および職人を紹介します。
- 図表あり -
富士市
芸術の楽しさを伝える
漆畑勇司さん
- 写真あり -
昨年9月、地域の文化・芸術活動の拠点として、大淵に「富士芸術村」(以下、芸術村)が開村しました。今回は、この初代村長で彫刻家の漆畑勇司(うるしばたゆうじ)さん(柳島)を紹介します。
○彫刻を始めたきっかけは?
高校生のとき、伊豆で偶然見つけた彫刻家のアトリエを訪問したことからです。汗を流して一生懸命に創作をする彫刻家の姿に引かれ、それ以来、彫刻家を目指すようになりました。
彫刻の魅力は、手で直接触れて創作するところです。作品が空間をどう演出するかを考えるのも楽しいですね。
○ご自身の創作活動以外に、市内でさまざまな活動をされていますね。
十数年前、芸術や文化の情報発信の場として、「アートスクランブル」を開設しました。これが芸術村の原点とも言えます。
また、多くの人が気軽に芸術を楽しんでいただけるよう、富士町けやき通りを中心に、芸術家が作品を発表する「アートセッション」を毎年行っています。
○芸術村について教えてください。
芸術村では、展覧会や創作の場の提供、だれもが気軽に創作を楽しめるワークショップなどを行っています。芸術をかた苦しく考えずに、楽しく接し、学び、人々が交流できる場にしたいと考えています。
○最後に、芸術家としての今後の抱負などを教えてください。
作品をつくることは、自分自身と向き合うこと。作品には、そのときの気持ちが正直にあらわれます。これからも、常に作品と向き合うことを大切にしていきたいと思います。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 1〜2月にかけて芸術村で展示された「竹の造形」
*記事に関する問い合わせ
広報広聴課 電話 55-2700
◇富士芸術村◇
大淵1516 電話 090-2342-7754
富士宮市
匠(たくみ)の技(わざ)の伝承人
坪井正さん
- 写真あり -
富士宮市内の神社仏閣などの本堂や山門では、龍や牡丹(ぼたん)、蓮(はす)の花などの芸術的な彫り物を見ることができます。これらの彫り物のほとんどを手がけた、この道72年の木彫刻師、坪井正(つぼいまさし)さん(富士宮市宮原)を紹介します。
○ことし85歳の高齢ながら、今も現役でノミを握る坪井さんに、木彫り職人となったころの様子を伺いました。
「尋常小学校を卒業すると、周りの人の勧めがあって、富士の板倉聖峯(せいほう)という彫刻師に弟子入りして、8年間の修行を積みました。」
厳しい修行の時期を終え、21歳で年期が明けたころには、支那事変や太平洋戦争など時代の流れに翻弄(ほんろう)されながらも、木彫り職人として独立したそうです。
○これまでに制作された中で思い出に残る仕事は?
「地域の山車(だし)に彫刻を施したこと。中でも、千葉県松戸市の瑞雲寺(ずいうんじ)の本堂や山門などに、龍や麒麟(きりん)(*1)、獏(ばく)(*2)などを、一世一代の作として、息子と一緒に苦心の末に彫り上げたことが思い出に残っています」と、当時の様子を話してくれました。
○長い間、木彫り職人を続けてこられた坪井さんにとって、この仕事に対する思いは?
「若いころにこの世界に入って、苦労して技を身につけてきました。だからこそ一生の仕事として、細く長くの気持ちで続けていきたいと思います。」
*1、2 古代中国で創作された、想像上の生き物
*記事に関する問い合わせ
富士宮市役所秘書広報課 電話 0544-22-1119
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( 写真説明 ) 富士市新追町の山車に彫られた龍(平成12年に完成)
芝川町
駿河柚野紙(するがゆのかみ)(手すき和紙)
内藤恒雄さん
- 写真あり -
日ごろ何気なく使っている紙。いろいろある紙の中に、和紙があります。そのほとんどが、手すきではなく機械ですかれたものだということをご存じでしたか。昔ながらの味わいと伝統を持つ手すきの和紙は、1,300年の歴史があり、欧米では、もちがよく丈夫な紙として大変人気があるそうです。
今回、芝川町上柚野(かみゆの)で手すき和紙を仕事としている内藤恒雄(ないとうつねお)さんを紹介します。
○この仕事を始めたきっかけは?
学生のとき、カナダに旅行に行ったことから、世界に誇れる日本独自の手仕事にあこがれを持ち、書道などを通じてかかわりのあった手すき和紙を始めました。水がきれいで富士山の見えるこの地で30年前に独立したんですよ。
○苦労したことは何ですか?
仕事を始めたころは、和紙をつくっても売る手段がなかったので、画家や書道家をめぐり、試し書きをしてもらい販売経路を広げていったことです。
○和紙はどのようにしてつくられますか?
自分の栽培しているコウゾ、ミツマタなども使い、原料の加工から1枚1枚すいて天日で乾かすまでに8つの工程があります。
また、ワサビの葉を入れた抗菌作用のある紙や、コデマリの花をすき込んだ紙などもあるんですよ。
○これからの目標は?
作家の皆さんの作品意欲がわくような紙をすきたいですね。
柚野手漉(ゆのてすき)和紙工房
ホームページ http://www.plaza.across.or.jp/~yunotesukiwashi
*記事に関する問い合わせ
芝川町役場みらい課 電話 0544-65-2802