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【広報ふじ平成15年】富士のふもとの紙の街・リサイクルの街

 初めまして!僕は富士市で生まれた再生紙だよ。
 みんなは、富士市が紙の街ってことは知ってるよね。でも、再生紙の生産が盛んなことは知ってたかな?
 富士市では、不要になった古紙に命を吹き込んで、再び新しい紙としてよみがえらせる再生紙産業が盛んなんだ。みんなの家で不要になった新聞紙や牛乳パックなどは、ここ富士市で生き返り、さまざまな形でみんなの生活の中に戻っているんだ。
 紙の街・富士市は、リサイクルの街。今回は、僕と一緒に、富士市の再生紙についてちょっと勉強してみよう。

●紙の街 富士市
 紙には、みんながよく使うノートやコピー用紙、段ボール、毎日使うティッシュペーパーやトイレットペーパーなど、いろんな種類があるよ。
 富士市で一番多く生産されているのは、段ボール原紙や印刷・情報用紙。また、トイレットペーパーや白板紙の生産量は、全国の生産量の3〜4割を占めているんだ。
 トイレットペーパーで言うと、日本じゅうのトイレットペーパーの3個に1個は富士市でつくられたものなんだ。すごいね!
- 図表あり -
( 図表説明 ) 富士市の紙生産量と全国比率


●製紙業を支える産業
 製紙会社は、文字どおり「紙をつくる会社」。市内には、平成15年4月現在で、製紙会社が72社(84工場)もあるんだ。
 でも、紙製品がみんなの家庭に届くまでには、さまざまな職業の人たちがかかわっているんだよ。
 だから、紙の街・富士市には、製紙の関連企業もいっぱいあるんだ。
 こういう意味でも、富士市は紙の街って言えるね。
- 図表あり -
( 図表説明 ) ※数字は「平成14年版静岡の紙・パルプ」に掲載されている市内の会社数

※ほかにも、紙販売業、古紙回収業、紙加工業など、さまざまな企業があるよ。


●100パーセントパルプ紙と再生紙
 紙には、100パーセントパルプ紙と再生紙があるよね。
 100パーセントパルプ紙は、木材から取り出した天然パルプだけでつくる紙。再生紙は、古紙パルプを原料にしてつくる、リサイクルされた紙なんだ。
 製紙技術の進んだ現在では、ほとんどの紙製品に再生紙が使われているんだよ。再生紙のトイレットペーパーやティッシュぺーパーも、その品質は100パーセントパルプ紙とほとんど変わらないんだ。


●市内外から集められた古紙を再生紙に
 富士市は、紙を大量に消費する首都圏に近いため、首都圏からの古紙をたくさん受け入れているんだよ。
 これらを原料にして、板紙やトイレットペーパーなどの再生紙製品を生産し、全国に届けているんだ。
 富士市で生まれた再生紙が、全国のいろんなところで活躍しているんだね!


●古紙からつくられる紙製品
 古紙は、その種類によってそれぞれ違う製品に生まれ変わるんだ。だから、きちんと分別されていないと、再利用することができなくなってしまうんだ。
 富士市では、古紙を大きく分けて四種類に分別して回収しているよ。一枚でも多くの紙が再生紙として生まれ変われるように、分別はしっかりしようね。
- 図表あり -

新しい命が吹き込まれ、紙は生まれ変わります「再生」

富士南中学校PTA 環境整備部長
山田美恵子さん(森島)
- 写真あり -
●大勢で協力し合い、回収作業をしています
 PTAでの古紙回収は、長年続けている活動の一つです。富士南地区は人口が多いので、集まる古紙の量はとても多いですね。作業は重労働ですが、毎回、中学生も含め、大勢の人が手分けして行っています。
 古紙回収は、学校や地域ぐるみでの作業ですので、この活動を通して、地域の子どもたちと大人とのかかわりが生まれたり、物を大切にする気持ちを持ち、リサイクルへの意識を高めていけたりするといいですね。

《参加した中学生の声》
 こんなにたくさんの古紙が集まるとは思わなかったです。作業は大変だったけど、こうして集めた紙が、再生紙としてまた生き返るのはうれしいです。紙をごみとして簡単に捨ててしまわないようにしようと思います。
- 写真あり -


くすの木学園支援員
山本 行信さん
- 写真あり -
●よい製品づくりを心がけています
 くすの木学園(知的障害者授産施設)では、製紙会社からトイレットペーパーの原紙を購入し、裁断から包装、箱詰、販売までを行っています。昨年度は73万ロールを出荷しました。ここでつくられた製品は、市内の公共施設や個人のお客さんに販売しているほか、富士宮市などの近隣市町村をはじめ、静岡市や伊豆長岡町などへも販売をしています。
 よい製品をつくろうと、みんなで協力しながら作業をしていますよ。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 市内の公共施設ではおなじみのトイレットペーパー「くすの木」


静岡県家庭紙工業組合副理事長
井出 清章(きよあき)さん(右)
村中 正明さん(左)
- 写真あり -
●エネルギーもコストも少なくて済む、環境に優しい再生紙
 再生紙は古紙を原料としているため、木材から紙をつくる場合に比べ、作業工程や設備などが少なくて済みます。また、消費エネルギーも100パーセントパルプ紙の25パーセント〜30パーセント程度で済むなど、とても環境に優しいものです。
 現在、古紙の約60パーセントが再利用されていますが、焼却処分される紙もまだ多くあります。ごみの減量のためにも、紙のリサイクルはより一層進めていかなければなりませんね。
●再生紙の積極的な利用は富士市の活性化にも
 家庭紙工業組合では、組合の統一ブランドとして、「ふじのかみ」という再生紙100パーセントの家庭紙をつくっています。現在は注文販売を行っていますが(8ページ参照)、近い将来、スーパーなどで皆さんが気軽に購入できるようになるよう、準備を進めています。
 再生紙の積極的な利用は、富士市の産業の活性化にもつながります。ぜひ、地元で生産された商品を皆さんに愛用していただき、再生紙への理解を深めていただきたいですね。

- 図表あり -
( 図表説明 ) 紙が生まれかわるまで
 紙の再生は1回きりじゃないんだ。再利用の度に繊維は弱くなるけれど、およそ5回くらいは再利用が可能なんだよ。
 毎回、用途に合わせていろんな紙に生まれ変わるんだ。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 古紙回収では、家庭にある新聞紙や段ボールなどが集められます
(富士南中学校PTAによる古紙回収)
( 写真説明 ) くすの木学園でのトイレットペーパーの加工作業

ごみまでもリサイクル! ゼロ・エミッションを目指して 「工夫」

※ゼロ・エミッション
生産の過程で生じる排出物を、再利用により限りなくゼロに近づけること

 再生紙をつくるときにどうしても出てきてしまうもの…それは、「ペーパースラッジ」と言われる製紙かすや、古紙に含まれているごみ。
 昔から製紙業の盛んな富士市は、何十年もの間、紙をつくるとともに、このペーパースラッジやごみを処理しているんだ。

●再利用はするのだけれど…
 ペーパースラッジ(以下PS)とは、古紙に含まれる細かい繊維や粘土分が廃棄物として出された物。これを焼却処理して残った物をPS灰って言うんだ。
 富士市では、年間約17万トンものPS灰が発生しているんだ。約8割は再利用されているけれど、残りの約3万トンは富士山のふもとの処分場に埋められているんだよ。その処分場も、今はもういっぱいになってきているんだ。

●古紙と一緒にごみまでも…
 みんなは、ビニールやホッチキスの針がついたままの紙を、古紙回収に出しちゃってない?こういうごみは、再生紙をつくるときに邪魔になるので、全部取り除かなくちゃいけないんだ。富士市は全国から古紙を集めているから、もともと富士市になかったはずのごみが、古紙と一緒に集まってしまうんだ。
- 図表あり -


 これまでも、セメント材料などに再利用されてきたPS灰。最近では、さらに別のものに再利用できないかと、さまざまな研究が進んでいるんだ。
 PS灰を、埋め立てることなく100パーセント再利用できるようになってこそ、本当の「リサイクルの街」だね!

- 写真あり -
( 写真説明 ) PS灰を再利用したブロックでつくられた歩道。市立富士体育館西側のみゆき通り(写真)のほか、市役所周辺の歩道などにも使われています。
( 写真説明 ) 県富士工業技術センターで試作された、PS灰をまぜてつくった紙。印刷にも使えることが確認されています。
( 写真説明 ) PS灰を乾燥させて菌をまぜることで、肥料などとしても再利用されています。


県富士工業技術センター
紙リサイクルプロジェクトスタッフ
村松 重緒(しげお)さん
- 写真あり -
●PS灰の有効利用のため研究を重ねています
 PSの再利用に関する研究は、昭和40年代から行われています。平成13年度からは、PS灰を製紙原料として紙に再利用する研究に、本格的に取り組んでいます。PSを構成する物はもともと紙の中に含まれていたものですから、もう一度紙に戻すことはできないかという発想から、この研究が始まりました。
 この研究では、試験的な製造を行いましたが、PS灰を填(てん)料や顔料として使用しても問題なく紙をつくることができ、製紙機械にも影響を与えないということを確認しました。今後はこの研究を生かし、インクジェット紙などの、質がよく利用価値の高い紙をつくる研究を進めていきたいと思っています。

●技術を生かし、よりよい富士市の環境を
 PSの問題だけでなく、富士市での製紙業による煙突の煙や悪臭、排水などは、昔に比べてよくなってきているとはいえ、まだまだ改善できるところはあると思います。当センターで開発された技術が生かされ、富士市の環境がよくなっていくといいですね。


富士製紙株式会社 常務取締役
土屋 寛(ひろし)さん
- 写真あり -
●コストを考慮し、効率のよい利用方法を
 当社では現在、PS灰の中に含まれる、紙の原料の1つである顔料を、もう一度原料として使用する試みを、県富士工業技術センターの協力を得て、実用化を目指して行っています。しかし、顔料を分離するためのプラントをつくるにはとてもコストがかかりますので、実用化は今はまだ少し難しいですね。いかに効率よく、コストも抑えてPS灰の再利用ができるかが、現在の大きな課題です。

●PS灰やごみを積極的に活用していきたい
 これまでも、PS灰はセメント原料やブロックなどに再利用してきましたが、まだ再利用されている量は多くありません。しかし、これからさらに研究を重ね、積極的に利用していくことで、PS灰は今よりももっと再利用されるようになると思います。
 また、古紙に含まれるフィルムやビニールなどのプラスチックごみを、燃料として再利用することにも力を入れています。廃棄物を積極的に活用し、これまで以上に「ゼロ・エミッション」を進めていきたいですね。

再生紙をむだなく使い、リサイクルの輪を回そう「使う」

 再生紙の製品がつくられても、使わなければ製品は余ってしまうばかり。どうせ紙を使うなら、再生紙製品を積極的に使わなくっちゃ。(でも、むだ遣いはよくないよっ!)
 特に、トイレットペーパーやティッシュペーパーは、一度使ったら二度と再利用ができない物。こういう物こそ、再生紙を使わなきゃね。

●古紙回収と同じくらい、再生紙の利用にも関心を持って
 平成13年に行った世論調査では、再生紙のトイレットペーパーを購入する人は約39パーセント。また、47パーセントの人は「特にこだわりはない」って答えているんだ(右図)。もし、この47パーセントの皆さんが意識して再生紙を利用してくれたら、再生紙の利用率はぐんとよくなるね!
 再生紙は、使ってこそリサイクル。古紙回収や、牛乳パックの回収を積極的に行ってくれる皆さんが多いのと同じように、再生紙製品を積極的に使ってくれる人が多くなるとうれしいな。
- 図表あり -


富士市からPR!「再生紙を使おう」
◆新富士駅や公共施設などで再生紙の利用促進をアピール
 富士地域の製紙会社、古紙業者、富士市消費者運動連絡会、商工団体や行政などで構成される「富士地域再生家庭紙利用促進協議会」では、新富士駅やロゼシアター、公民館などのトイレに下のようなステッカーを張り、「紙の街・富士市」と「再生紙の利用促進」のPRをしています。
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◆贈り物などに「ふじのかみ」を
 県家庭紙工業組合では、組合のブランド商品「ふじのかみ」の注文販売を受け付けています。申込書は、富士商工会議所や市工業振興課などの窓口にありますのでご利用ください(県家庭紙工業組合ホームページからダウンロードもできます)。
◎ホームページ
http://www.sitia.or.jp
- 写真あり -


富士市消費者運動連絡会
代表 片岡 英子さん(中丸)
- 写真あり -
●富士市でつくられた再生紙を積極的に使いたい
 消費者運動連絡会では、「富士地域再生家庭紙利用促進協議会」に所属するなど、市内外で再生紙の利用促進についてPR活動などを行っています。
 「紙のリサイクル」というと、新聞紙や牛乳パックを集めることだけで終わりだと思われがちですが、それだけではリサイクルとは言えません。再生紙製品が使われることで、初めて紙のリサイクルの輪がつながります。せっかく、この富士市の空気や水を使ってつくられる再生紙ですから、富士市民に限らず、全国の皆さんにも、ぜひ再生紙を積極的に使ってほしいですね。
 しかし残念なことに、お店の売り場では、どれが再生紙製品であるかがわかりにくく、なかなか消費者の目にとまりません。多くの人が再生紙を使うことで、再生紙製品の品質がさらによくなったり、価格が下がったりして、買いやすくなると思います。再生紙をつくっている富士市だからこそ、お店では、一目で再生紙製品がわかり、買いやすくなるような工夫があるとうれしいですね。

平成15年度紙モニター
吉川 光義さん(宮島)
- 写真あり -
●紙をごみとして出さない工夫をしています
 紙製品を購入するときには、意識して再生紙製品を選んでいます。再生紙を使うことは、森林資源の保護だけでなく、ごみの減量にもつながりますからね。
 家庭では、紙をごみとして出さないよう、種類ごとに分別して集めています。また、きれいな包装紙を再利用したり、包装紙やチラシなどで封筒をつくって使ったりなど、家の中でも工夫して紙の再利用をしています。
 今、家庭から出るごみの中には、紙が非常に多いですね。新聞紙や雑誌などは古紙回収として出されますが、それ以外の紙くずなどは、ごみとして出されてしまいます。
 富士市は、全国的にもすばらしい紙の街です。だからこそ、市民一人一人が紙を大切にし、紙に対する関心を高めていけるといいですね。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 吉川さんが包装紙やチラシを使ってつくった封筒


 今回の特集はどうだった?知らなかったこともたくさんあったかもしれないね。
 紙のリサイクルの輪を回すのは皆さん。大切なのは、紙を捨てずに古紙として分別回収に出すことと、再生紙製品を選んでむだなく使うこと。そうすることで、富士市の産業もぐんと元気になるよ。
 決して難しいことじゃないよ。まずは、できることから始めてみよう!

●問い合わせ●
富士市の紙産業については
 工業振興課 電話 55-2779
「ふじのかみ」については
 県家庭紙工業組合 電話 35-5061
添付ファイル
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
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メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp
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