生活や生産に使われた汚れた水を浄化し、きれいで安全な水にしてから川や海へ戻す作業をしている「下水道」。
今回は、この「水のリサイクル」を行っている下水道の現状についてお知らせします。
●下水道って何?
水と私たちの生活
富士山や愛鷹山から流れ出る湧水の街、富士。
私たちは生活していく上で、あらゆる場面において、水の恵みを受けています。
しかし、『私たちの生活=水を汚す』ということを考えたことがありますか。生活する上で出た汚れた水をそのまま川や海に流すと、水が汚染されます。汚れた水には蚊やハエが発生するなどし、悪臭の発生源にもなります。また、川や海にいる魚や水草などにも悪い影響を及ぼします。
下水道を使える人、使っている人
市では、きれいな水と快適な水辺環境のために、公共下水道の整備を積極的に進めています。
下水道を使える人の割合(下水道普及率)は、平成14年度末現在、64.3%で、昨年度に比べ、1.5%上がりました。
しかし、下水道を利用できるようになった人のうち、実際に使っている人の割合(水洗化率)は85.9%。この数値は、家の前に下水道管が通っても、家庭の排水を下水道管につなぐ排水設備工事をしていない人が約7人に1人いることを意味します。下水道が利用できるようになった家庭のうち、排水設備工事をしていない約8,500世帯分の生活排水が、毎日川や側溝に流されていることになります。
きれいな水を未来へ
一昔前は、水を買うことなど考えもしなかった時代でした。それが今では、スーパーやコンビニなど、どこでも水を売っています。それだけ水に対する意識が変わってきています。
豊富な水資源は永遠であると言うことはできません。私たちは自分自身のためにも、責任を持って汚れた水をきれいにしなければなりません。
未来もきれいな水であってほしいとだれもが思うはず。しかし、そのような思いだけで何もしなければ、水は確実に汚れていきます。それを防ぐために下水道へ接続することは、未来の水を守る第一歩なのです。
下水道が通ったら、1年以内に接続するようお願いします。
●下水道財政事情
皆さんは、汚れた水をきれいによみがえらせるために、どれだけの費用がかかるのか知っていますか。次に下水道の財政事情についてお知らせします。
下水道は特別会計
下水道事業は、経営状況が明らかになるように、市の一般会計とは別に「下水道事業特別会計」を設けています。
そして、下水道事業費には「雨水公費・汚水私費」という原則があります。自然現象により発生する水の処理は、市税などの公費で賄います。一方、家庭や事業所から出る汚れた水の処理は、利用者が支払う下水道使用料で賄います。(下図参照)
- 図表あり -
下水道使用料とは
下水道管につなぎ、下水道を使用すると、下水道使用料がかかります。
使用料は、流された水をきれいに処理したり、下水道管の維持管理をしたりするために必要です。言いかえれば、私たちが使って汚した水をリサイクルするため、環境を守るためにかかるお金です。
汚水管理費とは
さらに、下水道事業費のうち汚水管理費(汚水処理に係る経費)について詳しく見てみましょう。
- 図表あり -
汚水私費の原則?
平成13年度における汚水を1立方メートル処理するための経費は、245.4円です。これに対し、下水道使用料で賄っているのは約40%に当たるわずか101.1円です。
本来であれば、下水道使用者がすべて負担すべきなのですが、下水道使用料では足りない約60%の144.3円を市税など公費で負担しています。
このように、不足分を公費で補てんしている理由として、次の二つが挙げられます。1つ目は、下水道事業が整備途上にあるため、下水処理場の建設など、今後利用者となる人たちのために整備を行っている部分が多くあるということ。2つ目は、汚水をきれいにすることにより水質保全や環境保全につながるという理由があります。
厳しい財政事情
補てんされた公費のほとんどは、元利償還金に充てています。この返済は、平成18年度にピークを見込んでいるため、このままだと公費からの負担は年々ふえ続け、市の一般会計を圧迫する大きな要因となってしまいます。
下水道事業の現状は汚水管理費の41.2%の収入しか得られていない、非常に厳しい財政状況となっています。
こうしたことから、今後、下水道使用料の値上げについて検討せざるを得ない状況になってきています。
下水道豆知識−その1−
市の下水道管の総延長はどのくらいでしょうか。
答えは611キロメートル。JR路線の長さで比較すると東京〜新富士間を2往復する距離になります。
下水道豆知識−その2−
下水処理場では何を使って水の汚れを取り除いていると思いますか。薬?ろ過紙?
答えは、微生物です。微生物が水を浄化してくれます。
下水道豆知識−その3−
水洗便所融資あっ旋(せん)制度
100万円まで無利子でお貸しします。
○対象
下水道の本管が整備されてから3年以内の住宅の排水設備改造工事。新築や増改築の場合や店舗・事務所などは対象外です
○必要書類
申請書(工事事業者または下水道部管理課にあります)工事の請求書申請者と連帯保証人の印鑑証明と市税の完納証明
○申請の方法
工事が終了したら、必要書類をそろえて下水道部管理課へ提出してください
問い合わせ
下水道部管理課 電話 55-2800
ホームページ http://www.city.fuji.shizuoka.jp/cityhall/gesui-b/