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【広報ふじ平成15年】富士市の商業の将来像を描く 商業振興ビジョンを策定しました

平成15年3月に完成した「商業振興ビジョン」を紹介します

●商業振興ビジョンの目的
 日常生活における自動車の普及などに伴う市民生活の変化や市民ニーズの多様化、ロードサイド型(自動車利用に対応した形態)をはじめとする新たな商業核の形成や大型店の進出などにより、富士市の商業を取り巻く環境は大きく変化しています。
 この影響を受け、既存の商店街は厳しい状況に置かれています。
 一方で、少子高齢社会が到来した現在、身近な商業機能の整備は、市民生活を快適に維持するために必要不可欠なことと考えられます。
 国においても、中心市街地活性化法をはじめ、都市計画法(改正)や大店立地法(大規模小売店舗立地法)のいわゆる「まちづくり三法」を定め、総合的なまちづくりの視点からの商業活性化への支援を進めています。
 このような状況のもと、市では、既存商業地などの活性化を進めるために「中心市街地活性化基本計画」を平成15年度に策定します。それに先立ち、市全体の商業のあり方や商業振興策に関する「商業振興ビジョン」を策定しました。


●ビジョン策定の基本的な考え方
 本ビジョンの策定に当たり、「商業振興の主役は商業者と市民であって、行政はそのきっかけづくりと適切な支援を行う」ということを基本的な考え方としました。 
 そのため、市民が求めている商業の姿を把握するとともに、商業者と市民が共同で理想の商業像を描き出す場を設けるなど、これまでとは違う方法で、実行性が高く、実施効果の高い構想づくりを試みました。
 また、このような取り組みを進めることで、商業者と市民とのコミュニケーションの機会を提供し、商業まちづくりの担い手となる人材の発掘・育成にもつながることを期待しています。


●ビジョン策定の経緯と方法
 市では、平成15年度に「中心市街地活性化基本計画」を策定するため、平成13年度・14年度の2か年で、市民の意見を十分に聞き、市全体の商業の将来像を見定めることを目的とし、「商業振興ビジョン」を策定しました。
 平成13年度には、富士市の商業に関する特性や課題を整理し、商業振興の基本的な考え方を整理しました。
 平成14年度は、みずから商業まちづくり構想の策定作業に取り組む商業地区を公募し、応募のあった4つの商業地区(富士駅北地区、富士駅南地区、吉原地区、鷹岡地区)について、商業者と市民によって商業まちづくり構想が作成されました。(4・5ページ)
 本ビジョンにおいては、商業者と市民が協力して作成した成果を最大限に尊重し、該当地区の商業まちづくり構想についてはできるだけ原型のまま掲載しました。 
 今後は、この構想に沿った各地区の自発的な商業振興への取り組みに対し、行政として適切な支援のあり方を検討していきます。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 商業者・市民のアイデアやニーズを取り入れるために、商業まちづくり懇談会などを開催しました


●商業まちづくりの推進体制とスケジュール
◇平成15年度
 「商業振興ビジョン」で示した商業まちづくり構想(4・5ページ)が実現できるよう、今後各地区でまちづくりに取り組む組織に働きかけなどして、地域住民と商業者が主体となる商業まちづくりを支援していきます。
 また、本ビジョンで地区構想の対象となった4地区のうちの中心市街地に該当する地区について、地区構想実現への支援を「中心市街地活性化基本計画」で位置づけます。

◇平成16年度以降
 「中心市街地活性化基本計画」策定後、計画に沿って事業を行います。
 特に商業活性化に関する事業については「TMO(Town Management Organization)」の設置を目指し、それを事業推進組織とすることを想定しています。
※商工会議所・商店街・市民・行政などにより構成され、中心市街地活性化基本計画を具体的に推進する機関

- 図表あり -
( 図表説明 ) 商業まちづくりの推進体制とスケジュールを図解

商業者・市民が作成した主要商業地区の商業まちづくり構想

富士駅北地区
◆富士山と文化を生かした商店街
 富士山を正面に望む商店街として、富士山の景観を生かしたまちづくりを進めるとともに、従来より行っている文化活動への取り組みと合わせ、独自の文化を発信するまちづくりを進めます。
◆個性を大切にする商店街
 各店舗の品ぞろえに特徴を持たせ、それを消費者にアピールする「オンリーワンのまち」を目指します。
◆人に優しい商店街
 すべての人に優しく、歩いて楽しい街、消費者の暮らしや健康をサポートする街、また富士山を望む商店街として、ごみがなく環境に優しいきれいな街を目指します。

◎富士山の景観を生かした街並み形成
 ・富士山の景観の確保
 ・本町通り商店街のアーケードの取り扱い
 ・統一された街並み形成、外観の整備などの検討
◎文化創造・発信拠点の整備
 ・空き店舗や撤去が予定されている富士市民センター跡地などを活用した市民の文化活動拠点の整備
 ・アート(美術)イベントの拡充
◎「健康」をテーマにしたまちづくり
 ・各店舗で「健康」をテーマにした商品の導入、開発(安全・安心な食材、自然素材の衣料、各種の健康関連商品など)
 ・健康づくりに関する定期講習会を空き店舗などで実施
- 写真あり -


富士駅南地区
◆清潔感のある商店街
 すべての人がどんなときでも楽しむことができる、明るくきれいなまちづくりを進めます。
◆人と人を結ぶ商店街
 消費者と商業者、また商業者同士を結びつけるような取り組みを進めるとともに、地域住民(子どもから高齢者まで)が商店街を舞台にさまざまな活動を行う機会を提供することで、地域社会の活性化を図ります。
◆安心してお買い物ができる商店街
 公共交通網の充実を図り、自動車を利用しなくても買い物ができる街を目指します。高齢者や小さな子どもが安心して歩けるよう街路環境などを改善します。

◎季節ごとの植栽・イルミネーション(明かり)の実施
 ・花のプランター設置を中心とした季節ごとの植栽
 ・駅前広場と街並みにイルミネーション整備
 ・地域住民の参加・協力により地域の統一感と清潔感の演出、地域社会形成の促進
◎交流スペースの整備と高齢者サービスの展開
 ・地域住民の交流拠点となるよう空き店舗などを整備(「たまり場」としての利用、高齢者を講師とする講座の開催など)
 ・高齢者に対するご用聞きや宅配などのサービスを検討、実施
 ・「高齢者に優しい商店街」としてアピール
◎身延線の延伸による富士駅〜新富士駅のアクセス整備
 ・身延線を新富士駅まで延伸し、富士駅〜新富士駅を結ぶ軌道系のアクセス整備を要望
- 写真あり -


吉原地区
◆キーワードは商店力
 魅力ある商店、さまざまな業種が集積し、生活者が楽しく、便利に買い物ができるような理想的な商業地づくりを行うとともに、定住者の増加を意識したまちづくりを進めます。
◆目指せ市民の観光地
 宿場町としての歴史や富士山の景観を活用し広域からの集客を図るとともに、市民が「非日常」を求めて集まってくるような、市民にとっても観光要素の強いまちづくりを進めます。
◆人に優しい商店街
 高齢者や子どもが安心・安全に買い物ができ、まただれでも安心・安全な生活ができるようなまちづくりを進めます。

◎業種構成の見直しと個店の魅力向上
 ・業種構成の見直しや不足業種を空き店舗へ誘致
 ・各商店の専門店化や特色づけを促し、個性的で魅力ある商業集積地の形成
 ・開店・閉店時間の見直しなど、サービス向上と消費者ニーズへの対応
◎吉原宿の再生
 ・「吉原宿」をアピールするソフト事業の実施
 ・店舗の外観整備
 ・由緒ある木造建築物の再建など吉原宿の街並み復元
 ・日常的に吉原宿の歴史をアピールできる「博物館」の整備
 ・富士山を眺望できる各種観光資源の整備などによる「吉原宿」の再生
◎地域への定住促進と、安全・安心な暮らしの提供
 ・既存の建物のリフォーム、商店街の階上部分の活用や再開発事業などによる住宅供給を行い、地域内への定住を促進
 ・地域内への総合医療機関の誘致
 ・巡回バス運行や岳南鉄道の機能強化による公共交通整備を要望
- 写真あり -


鷹岡地区
◆交通の便がよく、歩いて買物ができる街
 吉原地区、富士地区などほかの地区との連絡性を高めるとともに、入山瀬駅を中心に、歩いて買い物ができる街を目指します。
◆魅力ある街
 既存資源の見直しや活用を行い、観光地としての魅力を加えることで、地区全体の魅力向上を目指します。
◆フレッシュ鷹岡 再出発
 特産品の見直しや新たな拠点整備などによる地区のブランド力の向上を目指します。
◆地域密着型の街
 地域に根差した、地域住民のための商業環境づくりを進めます。

◎入山瀬駅を起点とした整備と商業機能の再構築
 ・JR入山瀬駅周辺の環境整備を行い、高齢社会に対応した、駅を中心とする商業機能の再構築 
 ・入山瀬駅と住宅地を結ぶ巡回バスの運行
 ・JRへの乗りかえ需要を創出し、地域への流入客を獲得
 ・入山瀬駅周辺への商店の誘致
 ・入山瀬駅周辺での青空市などを展開
 ・入山瀬駅と吉原本町駅を結ぶ軌道系アクセスを整備し、市内をめぐる環状鉄道網整備の働きかけ
◎既存資源の見直しによる新たな魅力の確保
 ・曽我寺や曽我まつりなど曽我物語由来の資源の活用
 ・日本で初めて機械化された製紙工場にちなんだ博物館の整備
 ・地域の特産品である「サツマイモ」や「ゆで落花生」を利用した新たな商品を開発し、地域ブランドを確立
- 写真あり -

市全体の商業環境の将来イメージ

商業まちづくり構想を踏まえ、市全体の方向性を考えました

■主要商業地区
(富士駅北、富士駅南、吉原、鷹岡各地区)
 4地区がそれぞれ特色ある商業環境整備を行うことにより、周辺住民のみならず市全域、さらには広域を商圏とする商業地が構築されます。
 上記のような取り組みは、それぞれ広域からの集客も期待できます。同時に、業種構成の見直しなどにより、周辺住民の利便性も高まることになります。

■ロードサイド商業地区
(ロゼシアター周辺、国道139号沿道地区など)
 自家用車依存の高い消費者に対して、利便性を提供する商業地として残っていくことが予想されます。
 しかし、これらの地区については、行政として、特定の性格づけや事業展開を行うことは避け、民間による土地開発にゆだねることが妥当と考えます。
 ただし、大店立地法や都市計画の適切な運用により、道路交通や居住環境に影響を与えるような土地利用については、抑制していくことが望まれます。

■その他の商業地区
 現在住宅立地が進行しながら商業機能が乏しい地区については、主要商業地区への交通アクセスを改善するとともに、中小小売商業機能の適正な配置と機能向上を誘導・支援し、各地区の住民の日常的な行動範囲における適切な商業機能の提供を図ります。
 現在は、各地区で点在している商店の再配置・集団化や業態転換、不足業種の誘致、小・中規模スーパーの立地支援などが考えられます。
 基本的な目標は、「日常必要なものは生活圏でそろえることができる」です。

問い合わせ 商業労政課 電話 55-2777
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