皆さんは、自分の「健康」について、どのくらい意識していますか?
中高年にとどまらず、若い年代にまで広がりを見せる生活習慣病(糖尿病や高血圧症など)は、壮年・中年期の死亡や平均寿命に影響を与えるなど、社会問題化しています。
そこで市では、心子どものころから好ましい生活習慣を確立し、健康な生活を送るための健康づくり計画「健康ふじ21計画」(以下、健康ふじ21)を策定しました。これにより、壮年・中年期の死亡の減少と健康寿命の延伸を目指すとともに、健康にかかわる市民の自主的な行動を支援し、一人一人の生き生きとした生活の実現をめざします。
富士市民の健康状態は…
市で実施している平成12年の基本健康診査の受診率は、約3割程度にとどまりました。さらに、診査の結果は「異常なし」が9%と、非常に低いものです。
一方、標準化死亡比*を見ると、ほとんどの疾病において富士市の死亡率は県の平均を上回り、死亡率の高さは県内で2番目と、非常に悪い状況です。このように、富士市民の健康状態は決してよい状態であるとは言えません。
*県と比べて、富士市の死亡率がどのくらい高いかを表したもの。年齢構成の違いを補正して比較したもので、百より数値が大きい場合は県の平均よりも死亡率が高く、小さい場合は死亡率が低いことをあらわしている。
- 図表あり -
( 図表説明 ) [疾病ごとの富士市の標準化死亡比](平成3年〜平成7年)
( 図表説明 ) [富士市のがん部位別死亡割合](平成11年)
( 図表説明 ) [基本健康診査の結果](平成12年)
◎米国ガン協会と世界がん研究の共同開発による報告書「食品・栄養とがん予防」では、がんにならないための国際的ガイドラインとして、平成9年10月に「がんにならないための14か条」を発表しました。
(14か条は、http://www.02.246.ne.jp/~sophia/index.htmlでごらんいただけます)
「健康ふじ21」の将来像
「健康ふじ21」の推進によって目指す将来像は「みんな健康でいきいきと暮らせる富士市」です。
先に述べたような現状を改善し、この将来像を実現するために、個人・地域・行政が一体となった健康づくりを推進します。
◆健康に対する自己評価
自分が健康かどうかを判断するのは自分自身であり、「自分らしく、充実した日常生活を過ごしているかどうか」が大切です。
◆九つのキーワード
○食○運動○心の健康・痴呆(ほう)予防○生きがい○健康な地域づくり・健康診断○酒・たばこ・薬物○自然を活(い)かす○ふれあいと安心○歯の健康
◆ライフステージに応じた健康づくり対策
同じ市民の中でも、生活の状況や健康づくりで重視することは、年代によって異なります。このため、市民の生涯を、「子ども(19歳未満)」、「若者(19〜29歳)」、「壮年・中年(30〜64歳)」、「高齢者(65歳以上)」の四つに区分し、それぞれの健康課題に応じた対策を推進します。(4・5ページ参照)
◆1次予防の重視と2次予防の確立
「1次予防」とは、生活習慣を見直し、食生活、運動、休養など、バランスのとれた健康的な生活を送ることで、事前に発病を予防することです。
「健康ふじ21」は、これまでの健康診断などによる病気の早期発見・早期治療を行う「2次予防」の確立とともに、1次予防に重点を置き、若い世代からの生涯にわたる健康づくりを進めます。
1次予防
食生活、運動、休養などのバランスのとれた健康的な生活を送り、発病を予防すること
↓
2次予防
健康診断などにより、病気の早期発見・早期治療を行うこと
↓
3次予防
病気の治療とともに、機能回復、機能維持、再発防止を図ること
子どもの健康
安心して子育てができ、子どもたちが健やかに成長できるように
自己評価
●子どもと過ごす毎日を楽しいと感じている(保護者)
●心身ともに余裕がある(保護者・子ども)
●自分を「健康」だと思える(子ども)
キーワード
食・栄養・生活リズム、運動、思春期の性、妊娠・出産、育児不安、虐待、むし歯、アレルギー
ワンポイント
子どもの生活習慣病が増加しています。また、小児期の肥満が成人の肥満に移行する確率が高いということも踏まえ、肥満予防をはじめとする対策の充実を図る必要があります。
知ってますか ローレル指数
ローレル指数とは、身長と体重の割合から、肥満の有無を判定するものです。
この数字が160以上の場合は太り過ぎ、百未満ではやせ過ぎの傾向がありまあす。
- 図表あり -
健康になれたのは、祖父のつくつてくれた野菜のおかげ
小学校6年間を皆出席 矢崎 智久君(伝法)
- 写真あり -
幼稚園のときは、休むことが多かったと親から聞いています。しかし、小学校には1日も休まずに通いました。あっという間に6年間が過ぎたという感じです。
僕は野菜が大好きで、祖父がつくってくれる野菜をたくさん食べました。健康で、6年間休まずに学校に通えたのは、そのおかげかもしれません。
中学に入ってからも、今のところまだ1日も休んでいません。中学校の3年間も、休まずに頑張りたいです。
若者の健康
将来に向かって希望を持ち、はつらつとした生活ができるように
自己評価
●自分を「健康」だと思える
●仲間との交流が持てる
●主体性をもって行動する
キーワード
食・栄養、運動、心の健康、たばこ、飲酒、薬物、自殺、事故
ワンポイント
青年期は、喫煙の習慣が定着する時期である反面、この時期に喫煙習慣をつけないことが、最も有効な禁煙対策と考えられます。また、たばこの害は、吸っている本人だけの問題ではありません。
このため、喫煙の健康への影響についての認識を浸透させるほか、分煙などの環境条件の改善が必要です。
知ってますか 喫煙が及ぼす健康への影響
「喫煙=肺がん」を連想する人は多いのではないでしょうか。しかし、喫煙による健康への影響はこれだけではありません。ぜんそく、気管支炎などの呼吸系疾患から、心臓病、脳卒中、胃潰瘍(かいよう)、歯周病など、さまざまな病気を引き起こす原因になります。
体を動かすことを楽しんでいます
ジャズダンスのレッスンに通う 田口智美(ともみ)さん(吉原5)
- 写真あり -
高校卒業以来、ジャズダンスを続けています。ジャズダンスにはいろいろな動きがあり、柔軟性だけでなく、筋力も必要になります。私は体を動かすことが大好きなので、ジャズダンスは、「運動」というよりも「楽しみ」の一つですね。
自分の健康管理で気をつけていることは、「うがい」をしっかりすることです。仕事でほこりっぽい所にいることが多く、小さいときから鼻炎などの症状をもっているので、特に気をつけています。
壮年・中年期の健康
社会の中心となって、生き生きと生活ができるように
自己評価
●自分を「健康」だと思える
●趣味や楽しみを持って生活できる
●生き生きと働くことができる
キーワード
食・栄養、運動、飲酒、たばこ、歯の健康、健康診断、肥満、糖尿病、高血圧、がん、自殺
ワンポイント
適度な飲酒は、緊張感を和らげるなどの効用も大きい一方、過度の飲酒は、肝疾患や糖尿病などの原因にもつながります。壮年期以降は、男性を中心に多量飲酒などの傾向が見られることから、アルコールと健康との相関係や、適度な飲酒の知識の普及を図る必要があります。
知ってますか? 飲酒の適正量
日本酒、焼酎は1合、ビールは中瓶1本、ワインはグラス1杯(120ミリリットル)が1日の飲酒適正量です。適正量を知り、飲み過ぎで体を害することのないように心がけましょう。
これでは多量飲酒です!!
日本酒は3合以上、ビールは中瓶3本以上の場合、多量飲酒になります。
スポーツを始めてから、体が軽くなりました
青葉台地区体育指導員 寅澤(とらさわ)政博さん(大淵)
- 写真あり -
体育指導員になり、5年目になります。それ以前は、スポーツはあまりしていなかったんですよ。今は、仲間とのインディアカやニュースポーツの指導などで、週3回はスポーツをしています。
スポーツを始めてからは体調もよく、体が軽くなりました。また、ストレスの発散にもなりますね。スポーツは、楽しまなければ長続きしません。ニュースポーツの講座の皆さんにも、体を動かすことを楽しんで、長く続けてもらえたらと思います。
高齢者の健康
健康な高齢者がふえ、障害があっても地域で生活できるように
自己評価
●「生きがい」を持てる
●「人とのふれあい」が楽しめる
●やりがいのある「仕事」を持っている
キーワード
食・栄養、運動、心の健康、歯の健康、がん、事故、痴呆(ほう)、結核
ワンポイント
高齢期は、老化による身体の衰えとともに、社会や人とのかかわりが薄くなることによる心の健康の問題が起こりやすい年代です。高齢者一人一人が生きがいや楽しみを持って暮らせるよう、生涯学習の活動やボランティア活動、就労などを通じた社会参加の機会の確保が重要になります。
知っていますか? 悠容(ゆうよう)クラブ
悠容クラブは、高齢期の生活を健康で豊かなものにするために、地域の高齢者が自主的に結成した団体です。60歳以上の人ならどなたでも入会できます。
クラブの活動内容は…
教養活動、健康増進、社会奉仕活動、地域社会との交流、レクリエ−ション活動など
富士市悠容クラブ連合会(フィランセ東館)電話 64-9038
外に出て、いろいろな人とふれあうのが楽しいです
公民館講座などでさまざまな活動をしている 秋山 容子さん(天間)
- 写真あり -
以前から、公民館の講座には参加しています。公民館は近くて行きやすく、職員の方から気軽に声をかけてもらえるのもうれしいですね。今は、キューティードールやファミリーバドミントンなどをやっていますが、皆さんとのふれあいがとても楽しいです。
私は周りの人に恵まれ、いろいろと声をかけていただき、誘っていただいたおかげで外に出る機会がふえました。何事も、みんなと一緒に楽しく活動できるということは、幸せなことですね。
「健康づくり推進員」をご存じですか?
市民の健康づくりを地域ぐるみで進めるため、市では、健康づくり推進員の養成を行っています。これまでに、1,800人以上もの推進員が養成され、現在では500人近くが地域などで活躍しています。
推進員は、町内会長から推薦されたボランティアで、各町内(区)で1〜2人。自分自身や家族の健康づくりに取り組むとともに、地域の健康づくりのお手伝いをしています。
●例えば…
健康づくり推進員の活動は、まず「みずから健康になること」。健康づくりの推進は、自分の健康を見直すことから始まります。
また、各地区において老人健康相談、親子料理教室、運動教室などを開催したり、地区の文化祭に参加して、手づくり料理の試食や体脂肪測定などの健康づくりコーナーを設け、健康づくりや健康づくり推進員の活動のPRを行ったりしています。
このように、皆さんの地区でも、多くの推進員がさまぎまな活動をしています。
「健康ふじ21市民啓発講座」を開催します
「健康ふじ21」について、広く市民の皆さんに知っていただき、健康づくりを実践していただくため、左表の日程で「健康ふじ21市民啓発講座」を開催します。
「健康ふじ21」の説明と意見交換会のほか、血管年齢測定や血圧測定などを行います。ぜひご参加ください。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 各講座とも、当日直接会場へ。A:10時〜11時30分 B:13時30分〜15時 C:19時〜20時30分
このほか、「健康についてみんなで考えよう」と題して、市政いきいき講座も行います。(市政いきいき講座については、7月20日号の広報ふじで紹介します)
多くの人に、推進員になってほしい
健康ふじ21策定時の健康づくり推進員リーダー 漆畑 達子さん(一色)
- 写真あり -
健康ふじ21には、計画の段階から参加させていただきました。驚いたのは、想像以上に市民の健康状態がよくないということ。さまざまな現状を知り、自分には何ができるのかを考えるようになり、いい経験になりました。
推進員になってからは、健康診断を受けたり、食生活などについて勉強をしたりするなど、健康問題への関心が高まり、健康であることの大切さを感じるようになりました。
ですから、一人でも多くの皆さんに、健康づくり推進員の仲間になっていただきたいと思います。健康について考えたり、勉強したりする機会を持ち、そこで得たものを家族や地域へと広めていくことで、健康で明るい人たちがふえていくといいですね。
自分自身を「健康」だと評価できるように
保健福祉センター成人保健担当 佐野 京子 主幹
- 写真あり -
日本での生活習慣病は増加の一途をたどっています。そこで、21世紀における国民健康づくり対策のため、国では、平成12年に「健康日本21」を策定。この地方計画として、県では「しずおか健康創造21」、市では「健康ふじ21計画」を策定しました。
「健康ふじ21計画」では、少子高齢・人口減少時代向けて、壮年・中年期の死亡を減らすことが重要なことであると認識しています。そこで、計画では、1次予防と、2次予防の確立を重視した健康づくりの支援施策を定め、個人だけでなく、地域や行政など、さまざまな機関や団体が一体となって健康づくりに取り組むようにしています。
市民の皆さんには、それぞれの暮らしの中で、「がんにならないための14か条」をはじめ、自分に合った健康づくりに取り組んでいただきたいですね。自分の生活習慣を見直すことで、自分で自分を「健康だ」と評価できる人がふえていってほしいと思います。
問い合わせ 保健福祉センター 電話 64-8990