今、私たちの社会の中で、市民の要求に市民がこたえる新しいサービスの形が生まれています。その活動を担っているNPO。私たちにとって身近な、さまざまな活動を行い、社会に大きく貢献しています。今回は、このNPOについて紹介します。
◎NPOとは…
社会の中のさまざまな問題について、自分たちの手で何かをしようという市民が集まってつくる組織が、NPOです。NPOとは、「非営利組織」の略です。テレビなどでよくNGOという似た言葉を聞きますが、これは「非政府組織」の略です。その団体が「非営利」、「非政府」のどちらを重視しているかによって使い分けています。
非営利とは、利益を上げないということではなく、上げた利益を社員(株式会社でいえば株主)に与えないことをいいます。利益を次の事業に使うことも、事務員などを雇うこともできます。つまり、NPOとは、「社会貢献活動を目的とし、株主や出資者に配当を行わない会社」ということになります。
社会貢献活動というと福祉や環境の分野のイメージがありますが、社会教育、まちづくり、文化・芸術、スポーツ、災害救援など、さまざまな分野でNPOは活動しています。
- 図表あり -
( 図表説明 ) NPOの概念
◎NPO法人とは…
NPO法人とは、「法律によって法人と認められた団体」です。例えば商店の場合、個人商店から合名・合資・有限・株式会社までいろいろな形があります。商店がどういう形をとるかは商店自身が決めるように、NPOがNPO法人になるかどうかもNPO自身が決めるものです。
◎行政とのかかわり
例えば、高齢社会への対応ということで考えてみると、高齢者が市内に何人住んでいるのかといった情報の正確な把握については、市民活動では限界があります。しかし、高齢者一人一人がそれぞれに何を感じ、何を必要としているのかといった個々の要求にこたえる対応は行政では限界があります。
つまり、NPOと行政とのかかわりは、お互いの長所を生かし、短所を補える関係にあるといえます。
◎これからの可能性
現在、個人の価値観は非常に多様化し、まさに十人十色のライフスタイルが展開されています。けれども、行政は多数の意見に応じ、全体に対して公平なサービスを行わなければなりません。これに対し、市民活動では自分たちが選んだ特定の事柄について、相手の必要性に応じたサービスを行うので、少数意見にも
対応していくことが可能です。
- 図表あり -
( 図表説明 ) これまでの公共的サービスの担い手
( 図表説明 ) これからの公共的サービスの担い手
◎市民の力を地域や社会に
変わり続ける社会の中で、地域やそこに住む人の立場から、積極的に地域や社会に参画していく市民の力が今後ますます必要になります。市民は社会サービスの受け手であると同時に、サービスの担い手にもなり得るのです。また、市も市民のみなさんとの協働を推進していきます。
次ページでは、既に活動をしているし内外のNPO法人を紹介します。
NPO研修講座『NPOって何?』が行われました。
社会的にさまぎまな貢献をしているNPO。しかし、まだ一般的によく知られていないのが実状です。そこで市では、NPOについて知ってもらおうと、1月24日・31日、2月7日・14日に研修を行いました。この研修の実施に当たっては、市内のNPO法人である「ふじ環境倶楽部(くらぶ)」に業務を委託して行ってもらいました。
研修には、延べ約70人の皆さんが参加しました。NPOの使命や法人格取得についてなどの講義と、グループに分かれてのワークショップが行われました。また、事例発表では、市内外で活躍するNPO法人の発表が行われ、さまざまな分野での活動が紹介されました。(次ページで紹介)
- 写真あり -
( 写真説明 ) NPO研修講座「NPOって何?」
皆さんの意見が励みになりました
石坂にお住まいの 片桐由紀子さん
- 写真あり -
NPOという言葉は、新聞などで目にしていましたが、どういうものなのかは知らなかったので、この研修に参加してみました。
福祉や文化などのさまざまな分野で、市内でも既に大勢の皆さんが志を持って活動していることを知り、とても驚きました。参加して、本当によかったと思います。短い時間でしたが研修に参加した皆さんの意見も伺うことができ、これからの生活にとても励みになりました。私は富士市なぎなた連盟に所属しているので、スポーツを通して社会に何か貢献できたら、と希望を持ちました。