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【広報ふじ平成13年】街を潤すみんなの川 潤井川

 富士市北西から市の中心部を横切って田子の浦港へ流れる「潤井川」。川の水は農業用水や工業用水として利用されるほか、主要交通路の橋がかけられ、富士市の東西を結んでいるなど、私たちの暮らしに大きくかかわりのある川となっています。
 今回は、身近で大切な川「潤井川」を特集します。
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( 写真説明 ) 潤井川の清掃活動を行った伝法小学校3年生の皆さん(7月7日に潤井川でいかだ下りに挑戦します)

潤井川のあらまし

富士山の大沢崩れが源流
 潤井川は富士山の大沢崩れが源です。富士山に降った雨や雪解け水が溶岩層に浸透して伏流水になります。そのため、上流部では、雨が降ったときだけ水が流れる涸(か)れ川となっています。
 中流域では、淀師や富士宮浅間神社などでその伏流水が豊富な湧(ゆう)水となり、流れ込みます。富士宮市内の風祭川、神田川、弓沢川などの富士山南西ろくを流れる川の水を取り入れて流量がふえていきます。さらに、富士市内の凡夫(ぼんぷ)川などの川が流れ込み、富士市の平野部を通り、田子の浦港へ注いでいます。

長さは約25.5キロメートル
 潤井川の長さは約25.5キロメートル。降った雨の集まる面積は約222平方キロメートルにもなり、富士市の面積(214平方キロメートル)とほぼ同じくらいあります。
 潤井川は昔、古家(ふるいえ)川と呼ばれ、その名が転じて潤井川になったと言われています。古家という名は、今の田子浦付近を指す「古家郷」が由来していると考えられます。

古くから農業用水などに利用
 潤井川の中・下流域では、昔から川の水をかんがい用水として利用した歴史があります。
 今から800年ほど前には、鷹岡から伝法地区まで潤井川の水を取り入れる用水路がつくられました。鷹岡伝法用水路と言われるものです。
 江戸時代には新田開発が進み、年間の水量が安定している潤井川の水は、加島平野の米づくりに利用されてきました。元禄元年ごろに潤井川の水を引く用水路が開かれ、この用水路は上堀、中堀、下堀と言われています。こうして潤井川の水を利用し、新たに開発した土地が水田化されていきました。
 また、かつては潤井川の下流域は、富士川と潤井川の氾濫(はんらん)原で、流路が一定していませんでした。現在の場所に潤井川の流路が定まったのは、江戸時代、富士川にかりがね堤が完成したことによるものです。

明治以降は工業用水などにも
 明治以降、潤井川の水は富士地域の工業発展も支えました。別製紙業の工業用水として、またその動力源として水力発電に用いられたのです。入山瀬に進出した製紙工場は潤井川の水を利用して操業し、富士地域の近代製紙業の基礎を築きました。

たびたび洪水の被害を受ける
 潤井川は川幅が狭く屈曲していたため、たびたび大雨による水害を受けました。現在では、富士宮市の星山放水路から、大雨時には水を富士川へ流下させることができるようになり、また、河床を下げる事業などにより、潤井川流域の治水の安全度が向上しています。

潤井川を管理している 静岡県富士土木事務所 鈴木幸雄(さちお)所長
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地域の特色あふれる潤井川 皆さんと協働して整備に努めたい
 川は、「治水」、「利水」、「環境」といった役割を持っています。潤井川は大沢崩れが源流部となっているため、河川のこう配が急であり、土砂流出が著しいことが特徴です。また、富士山のきれいな湧水が流れ込むことでも、地域の特色があらわれた川と言えます。
 潤井川は昔からたびたび洪水の被害をもたらしてきました。治水面では、洪水時の水を富士川に放流する星山放水路の建設をはじめ、さまざまな河川改修事業を行いました。昨年度末で、計画区間の改修が終わり、洪水に対しての安全性が向上しました。大沢扇状地での砂防対策も進み、潤井川流域全体で災害対策が進んでいます。また、皆さんに親しまれる場にするため、天間地区の親水公園や中央公園周辺など水辺空間の環境整備もあわせて行っています。
 川は身近な自然です。景観にすぐれた潤井川が地域の皆さんにさらに利用され、親しまれ、そして愛される川になってほしいですね。これからも皆さんと協働して、潤井川の環境整備に努めていきます。ぜひ、きれいな潤井川を守るため、一人一人が川を大切にし、ごみなどで汚さないよう心がけてほしいと思います。

潤井川探訪

天間地区から田子の浦港へ注ぐ河口まで、市内を流れる潤井川と、潤井川にかかわる皆さんの声を紹介します

潤井川沿いを毎日歩いている 石場文子さん(蓼原町)
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川からの富士山の眺めがすばらしい
 ロゼシアターから中央公園付近までの潤井川沿いを、犬を連れて毎日散歩しています。周辺の歩道も整備されて明るく気持ちがいいですね。ただ草が多いのが気になりますが…。川の水もきれいです。川から見える富士山がすばらしいと感じています。


富士第一小学校5年 小林優太くん(左・蓼原) 鈴木幹人(まさと)くん(右・蓼原)
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川ではアユもとれるよ
 潤井川でよく魚を釣ったりタモでとったりしています。ウグイ、メダカ、コイ、ウナギもいるし、大きなアユもとれます。だけど、魚だけでなく花火やビニール袋などのごみもよく釣れるんだよ。僕らが大きくなっても魚がいっぱいいてきれいな川になっていてほしいな。


天間地区まちづくり推進会議議長 佐野勝彦さん(天間)
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川沿いで楽しくふれあえる場所に
 潤井川親水公園の完成を地区全体で心待ちにしていました。遊歩道で散歩する人もふえてきました。公園からは地区全体を見渡すことができ、愛着がさらにわいてきますね。
 川辺で楽しくふれあい、街を知る場所として、この公園をいつまでも大切にしていきたいですね。


潤井川の水を使って農業を営んでいる 稲垣三臣(みつおみ)さん 英子さん(松本)
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川の水にとても感謝
 潤井川の水が流れ込む中掘から水を引いて、米やイチゴ、ナシなどをつくっています。作物の成長や予防などに多くの水が必要です。水がないと生活できませんので、川の水をいつもありがたく思いながら使っています。
 昔に比べて川の水もだいぶきれいになりました。しかし、ごみが多いのには困ってしまいますね。


富士市水防団副団長 菅谷邦三郎さん(松本)
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万が一の水害に備えて警戒
 潤井川を中心に活動を行っている水防団員は約180人います。過去に潤井川は何度となくはんらんしてきました。このところ潤井川による水害は起きていませんが、いざというときに備え、台風や大雨のときに川の見回りをして警戒するほか、水防訓練などを行っています。
 潤井川とのかかわりは私の生活の一部ですね。

- 図表あり -
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( 写真説明 ) 1 ことし5月に完成した「潤井川親水公園」
( 写真説明 ) 2 お膳にまつわる伝説が残る龍巖渕
( 写真説明 ) 3 富士早川(中堀)の潤井川からの取水門
( 写真説明 ) 4 水防工法の一つ「川倉(かわくら)」の展示
( 写真説明 ) 5 中央公園付近の「かるたの小径」には百人一首を刻んだ石板が埋め込まれています。
( 写真説明 ) 6 旧東海道にかけられた富安橋。飛脚の問屋である三度屋の協力によりできた橋で、江戸時代には三度橋と呼ばれていました。
( 写真説明 ) 7 ことし2月に完成した潤(うるお)い橋は、潤井川にかかる最も新しい橋。吉原と富士の商店街を最短距離で結ぶ橋として多くの皆さんに利用されています。
( 写真説明 ) 8 潤井川の終点は田子の浦港フェリー乗り場付近。川から多量の土砂が運ばれてくるため、田子の浦港では定期的にしゅんせつを行い、土砂を取り除いています。
( 写真説明 ) 川に投げ捨てられたごみ
 私たちが生活を営むために、川の水の恵みは欠かすことができません。また、川は動植物のすむ場であり、私たちの住む街に潤いをもたらしてくれる場でもあります。
 ところが、私たちの暮らしと深くかかわっている川に、心ない人によって捨てられたごみを見かけることも少なくありません。
 7月1日〜8月31日は河川愛護・美化運動期間。いつまでもきれいな川を守っていくにはどうしたらいいのか、身近な河川「潤井川」を通して考えてみませんか。
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