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【広報ふじ平成12年】特集・消防団 地域を守るみんなの火消し屋

 かけがえのない人の命と貴重な財産を奪う恐ろしい火災。これから寒くなり空気が乾燥するにつれて火災が発生しやすくなります。
 もしも近くで火災が起こったら…。サイレンが鳴るや否や、一刻も早く現場に駆けつけ、消防署員とともに消火活動を行っているのが消防団です。
 今回の特集では、火災から地域を守ってくれる消防団を紹介します。

富士市の消防団
明治時代から活躍
 富士市の消防団の前身は、明治時代、各村で消防組が組織されたことにさかのぼります。その後、昭和14年、警防団今の制定により、消防組は警防団に改編。消防団令、次いで消防組織法の制定により、昭和23年に旧吉原市・旧富士町(旧富士市の前身)・旧鷹岡町それぞれに消防団が組織されました。

6方面隊、26個分団で編成
 昭和41年、2市1町の合併とともに、消防団を統合。24個分団、団員約1,000人で組織が編成されました。その後、指揮命令系統の明確化を図るため、近隣の数分団で構成される方面隊制度を採用。また、広見地区に第25分団、富士南地区に第26分団が新設され、現在、富士市消防団は、6方面隊26個分団で編成されています。
 各分団の詰所には、消防ポンプ車、可搬式小型動力ポンプなどが備えられており、万が一、火災が起こった場合に、いつでも出動できる準備を整えています。

現在、798人の団員で活動
 消防本部が常備消防機関であるのに対し、消防団は非常備の消防機関。消防団を構成する消防団員は平成12年10月1日時点で、798人(定数900人)。それぞれの団員は、職業につきながら、必要なときに召集され、消防署員とともに消火活動に当たるなど消防活動に従事しています。団員は非常勤の特別地方公務員の身分ですが、報酬・手当はごくわずかな額。活動はボランティア的要素が強いものになっています。

◎消防団分団の配置図
- 図表あり -
( 図表説明 ) *各分団の詰所の位置を示しています(数字は分団名)。

消防団一口メモ
◎消防団はなぜ「出場」?
 火災の広報で流れる「消防団第○分団出場」。消防署員はいつ発生するかわからない災害などに備え常時出動体制をとっているため、「出動」という言葉を使います。しかし、消防団員は自分の職業を持っていて、災害を知ると同時にその場から団の詰所や現場に駆けつけて活動を行いますので、「出場」という言葉を使います。
◎消防団の第1出場と第2出場とあるけどその違いは?
 比較的小規模な火災の場合、出火場所の担当区域の消防団に「第1出場」をかけ、出火場所を担当する分団が出場します。しかし、住宅や倉庫などの大きな火災では、市内全域に放送を流し、「第2出場」をかけ、近隣の5〜6個分団に協力を要請します。

活躍してます。消防団

消防団の活動は火災現場での消火活動だけにとどまりません。万が一の出場に備え、たゆみない訓練や点検、地域行事への協力などさまざまな活動を行っています。

火災現場
- 写真あり -
( 写真説明 ) 火災現場に到着すると迅速な消火準備
( 写真説明 ) 現場近くの交通整理も消防団員の役割
( 写真説明 ) 消火活動終了後は詰所に戻ってホースなどをきちんと清掃

地域・訓練活動
- 写真あり -
( 写真説明 ) 全団員が一堂に会する消防出初式
( 写真説明 ) 地区の運動会にも散水で参加
( 写真説明 ) 訓練大会で日ごろの訓練の成果を発揮
( 写真説明 ) 各分団、毎月日を決めて行っている訓練や器材の点検、打ち合わせ


消防団活動に携わって…
私たちの活動で被害を最小限にしたい
第1分団分団長 渡辺 俊一(しゅんいち)さん(活動歴35年・吉原2)
- 写真あり -
 分団に出場要請があったときは、迅速に現場に向かえるよう心がけています。詰所にすぐに来られない団員には直接現場へ行くよう指示しています。
 現場では、延焼などの被害を最小限にとどめるため、本部の指示を受けながら消化活動を支援する活動が中心となります。現場では危険が伴います。団員にけががあったら大変ですから、分団長として団員の安全確保には十分気を配らなければいけないと思っています。
 冬の現場では、寒くて手がかじかんで感覚がなくなることもあるほどです。消火活動が長くなりホースが凍ってしまったこともありましたよ。現場での活動は大変な仕事ですが、被害を最小限に食いとめられてよかったと言われたときなどはほっとしますね。

消防団活動は生活の一部
第14分団 部長 稲葉 朗宏(あきひろ)さん(活動歴16年・蓼原)
- 写真あり -
 近所の分団長に誘われ入団しましたが、最初は務まるか心配でした。活動になれ始めたのは2年目くらいから。小型ポンプ操法の一員として声をかけていただいて、それからのめり込みました。数年前、市の訓練大会の小型ポンプ操法の部で優勝したときの感激は今でも忘れられません。こうした訓練は実際に現場で役に立っています。
 活動で家をあけることも多く、深夜の火災でも、すぐ出場できるよう準備をしています。こうして活動を続けていられるのも、家族の協力のおかげですね。私にとって消防団の活動は生活の一部になってしまっているようです。

活動を通じ地域の役に立ちたい
第8分団団員 小松崎 修(おさむ)さん(活動歴半年・富士岡)
- 写真あり -
 地域の方に誘われて、ことしの四月に消防団に入団しました。年代の違う皆さんと接することができ、よい人生の勉強になっています。
 まだ実際に火災現場での経験はありませんが、入団して、火災発生のサイレンには敏感に反応するようになりました。訓練では思った以上に体力を使うのできついのですが、自己管理にも気をつかうきっかけにもなりましたね。
 自分の住む地域が大好きです。入団した以上これからも団活動に積極的に携わって少しでも地域の役に立てればと思っています。      

インタビュー 家庭・地域・職場・OB 消防団活動を支えて

【家庭】
家族にとって消防団はなくてはならない存在
第23分団団員家族 長谷川 松江さん(久沢)
- 写真あり -
 分団の出場を知らせるサイレンが鳴り、パッと目を覚まし出かけていく夫を見ると、火事がたいしたことなければと思いながら見送ります。帰ってくるまで無事であるか心配になりますね。
 夏祭りや安全大会、防災訓練などの地区の行事や訓練・点検といった消防団活動に夜出かけることも多くあります。子どもが小さいころは、夫が活動に出かけてしまうと大変でしたね。でも今では、仕事から早く帰ってきたときなどは「きょうは消防団かな」と言うのが家族での合い言葉になっていますよ。
 仕事で忙しくても活動に参加しているのは、気心の知れた仲間たちの存在が大きいようです。分団の結束もかたく、家族ぐるみの交流も楽しみの一つになっています。消防団は、私たち家族にとってなくてはならない存在になっています。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 将棋で遊ぶ団員の裕則(ひろのり)さんと宏樹くん


【地域】
消防団は地区の守護神のような存在
原田地区 生涯学習推進会会長 小川 喜一(きいち)さん(原田)
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 原田地区には第7分団があり、地区のまちづくり総合パレード、鎧ケ淵親水(よろいがふちしんすい)公園まつり、体育祭、文化祭といった地区の行事に年間を通して積極的に参加してくれています。また、たくさんの消防団員や団出身者が、生涯学習推進会の役員など地域のリ−ダ−として活躍しているので、地区とのつながりも密着していますね。
 地区の中心に詰所があるので、いざというときに消防団の存在は心強く、実際に地区に火事があったときには「消防団が近くにいてくれて助かった」といった声も聞かれましたね。また、冬の夜警の音を聞くと消防団が守ってくれていると実感します。災害から地区を守る守護神のような存在ですね。ただし、頼りすぎて、みずからの防災意識が薄れてもいけませんが…(笑)。
 東海地震など災害があったときのために、地域の自主防災が大切になります。消防団の皆さんの経験や知識を自主防災活動にさらに生かしていただけるようこれからも期待しています。


【職場】
地域のための重要な活動を応援
ジャトコ・トランステクノロジー(株)試作部試作課長 野中 高則さん
- 写真あり -
 会社に自衛消防隊があり、会社の消防団活動への理解も高いと思います。私の所属部署には分団員が二人います。時には明け方の出場で出勤がおくれてしまうことがあったり、訓練などで残業できずに早く帰らなければならなかったりすることもありますが、地域のための活動ということで職場では理解しています。二人が団で培ったチームプレーの精神は、実際の仕事でも生きています。これからも応援していきたいですね。

南自動車工業(株) 工場長 鈴木 博さん
- 写真あり -
 第10分団の団員が工場で働いていますが、サイレンで出場の放送があると、送り出しています。昼間の火事で現場へ行ける団員は限られているため、急いで現場へ直行していきますよ。負担がかかる活動ですが、地域のためによく頑張ってくれていると思います。仕事は翌日にカバーしてくれています。
 工場では塗装など火気に注意しなければならない作業も多くあります。消防団活動で得た経験をもとに、防火・防災面で周りにいろいろ声かけやアドバイスをしてくれるので、とても助かりますね。


【OB】
消防団の活躍にこれからも期待
富士市まとい会 小長井 茂さん(平垣本町)
- 写真あり -
 富士市まとい会は、分団長以上を経験した消防団員OBなどから成っている会です。新入団員の勧誘をしたり、出初式や訓練大会に応援に行ったりするなど団の活動を支援しています。
 私が消防団に入ったのは昭和27年。当時の富士町には、本部と私が所属した分団しかポンプ車がなく、離れたところの火災にも出場していました。狩野川台風の災害救援活動は強く印象に残っていますね。
 団を退いた今でも、火災の広報や消防車のサイレンに反応してしまいます。ほかの会員もそれぞれの地域で火災が起こったときには、現場に駆けつけることもあるようです。会としてもこれから、長年の経験を生かし、災害時のボランティア活動に力を入れて、地域の役に立ちたいと思っています。
 昔と今を比べても訓練内容に多少の変化こそあれ、地域を守る消防団の使命は変わりません。市民の安全を第一にいち早く消火できる消防団としてこれからも活躍してほしいと思います。


課題に取り組み、消防団の活性化を
富士市消防団長 羽切(はきり) 透さん(水戸島)
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「団員確保」が大きな課題
 特に火災が多くなるこれからは、地域の夜警など防火啓発活動を行ったり、現場での活動が多くなったりする時期です。現場で効果的な活動をするために、各分団では日ごろからの訓練を重ねています。
 現在、定員に対し100人以上の団員不足が生じているなど、消防団が直面する大きな課題は人員の確保です。また、団員の平均年齢が高くなってきており、若手団員の確保が急務となっています。さらに、会社勤務の団員の比率も高まり、昼間の火災出場に影響が出てくる不安もあります。今後は機動力と迅速な対応が可能な団員確保の強化にも力を入れなければならないと感じています。そのためには、消防団活動の重要性を皆さんに知っていただくようPRしていきたいと思っています。

活動によって得られる経験が財産に
 「消防団の訓練など大変では」という声を耳にすることもありますが、いろいろな皆さんとの交流など、活動によって得られる多くの経験は、有形無形の大きな財産となります。
 消防団活動は、市民の生命や財産を守る大切な任務。これからも地域と一体になった消防団にしていきたいですね。


消防団との連携を密にして非常時に備えていきたい
富士市消防本部 勝又 利行 消防長
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日ごろからの防火意識を
 消防本部では毎年春と秋の2回、火災予防運動を通して市民の皆さんに、みんなの力で火災のない安全な街をつくるよう呼びかけています。消防職員によるひとり暮らしの高齢者家庭の防火診断などを行うほか、消防団員の皆さんにも協力していただき、周辺地区の住宅防火指導などを行っています。火災がふえる時期を迎えるに当たり、家庭や職場などでまず火を出さない心がけをしていただきたいと思います。

大きな消防団の力
 火災などの災害現場にあって、地域について詳しく、消防知識や技術を身につけた消防団の力は、延焼の防御、負傷者の救出などに欠かすことのできないものです。
 さらに、長時間かつ広範囲な災害となる地震や風水害などが起こったとき、本部だけで対応することは不可能です。市内全域を800人の団員でカバーする消防団はとても心強い存在です。職業につきながらも、さまざまな活動に活躍してくれてありがたいですね。これからも消防本部と消防団の連携を密にして、非常時への備えを十分にしていきたいと思います。


消防団員募集
 富士市消防団では、消防団員を随時募集しています。市内在住の18歳以上で、熱意のある健康な人なら入団できます。消防団に入団するには、地域の消防団員または地域の町内会(区)長へお申し出ください。
- 写真あり -

消防団についての問い合わせ 消防本部管理課 電話51-0123 内線3333
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp
〒417-8601 静岡県富士市永田町1丁目100番地 電話 0545-51-0123 ファクス 0545-51-1456
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