大淵地区八王子本町にある八王子神社は、地域の皆さんから「はちおっつぁん」と呼ばれ親しまれています。
今回は、この八王子神社にまつわる話を紹介します。
曽比奈の八王子神社
昔、大淵の曽比奈に牛や馬の商売をしている人がいました。ある日、商いの帰りに八王子というところで金の仏像を買いました。そして家の床の間に飾り、毎朝毎晩拝みました。すると、なすことすべてがうまくいき、村一番の金持ちになりました。
ある晩、夢の中にその金仏があらわれて「自分だけ金持ちになるのはよくない。みんなが幸せになれるようにしなさい」と戒めました。そこで8つのかまを重ねて中に仏像を入れ、上からかまでふたをして地中に埋めました。その上にモミの木を植え、村の神様として社殿を建てて八王子神社と名づけました。
それからは、村じゅうの作物もよく実り、みんなの暮らしも楽になりました。
あるとき、よその村人が「そんなばかなことがあるか」と、八王子神社の前を馬に乗って威張って通りました。すると突然大地がグラグラと揺れて突風が吹き、黒雲がにわかに天を覆って雷が鳴り、大雨が降りました。馬は驚いて暴れ、村人は馬から落ちて死んでしまいました。ふびんに思った人々は、死骸(がい)を馬と一緒に神社の西に埋め、馬頭観音として祭りました。
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( 図表説明 ) 地図
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八王子神社氏子総代 岩間 務さん(大淵)
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昭和30年代ごろまで水不足で困っていた大淵地区では、八王子神社の近くにある八王子ヶ池の水を生活用水に利用していました。そのため、八王子神社は水の恵みを下さるありがたい神社ということで、大淵村の氏神様として祭られていました。
八王子神社では、昔から毎年2月21日にお祭りが開かれています。昭和40年代ごろまでは青年団が踊りや演芸を行ったり、露店がたくさん並んだりと大変にぎやかでした。よく親せきや友達も泊まりに来ましたね。お客さん接待用に「はちおっつぁん貯金」といって積み立てていたくらいです(笑)。近ごろは寂しくなってきましたが、このお祭りを後世に伝えるため、八王子本町・1・2丁目の3町内を挙げて盛り上げていきたいと思います。