私たちの生活は、とても便利で快適になりました。しかし最近、ごみの問題や環境ホルモン、地球温暖化、水質汚染などが問題となっています。この環境問題の多くは、実は私たちの日ごろの生活と深い関係があり、私たちは環境汚染の被害者にも加害者にもなっているのです。今回は、大気汚染を中心とした富士市の環境を特集します。この機会に、自分の生活を見直してみませんか。
市に寄せられる公害についての苦情
次の表は、昭和59年から平成10年までに皆さんから寄せられた公害についての苦情の件数と内容の内訳です。
件数は、昭和60年ごろから大幅に減少しました。しかし、ダイオキシン類の問題がマスコミで頻繁に報道されるようになった平成9年ごろからから、煙やダイオキシン類についてなど、大気汚染の苦情が増加しました。ダイオキシン類は発がん性が懸念されるなど、人体にさまざまな影響を及ぼすおそれがあることからか、皆さんの関心の高さがうかがえます。また内容については、工場からの煙のほかに、最近では、事業場や一般家庭の小型焼却炉、野焼きによるものが多くなっています。
悪臭の苦情についても小型焼却炉や野焼きに伴うものが多く、ダイオキシン類の心配を含む内容がほとんどとなっています。
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大気中のダイオキシン類濃度
次の表は大気中のダイオキシン類の濃度を、救急医療センター(津田)で測定したものです。環境庁が示す基準は年平均値0.8ピコグラム(1ピコグラムは1兆分の1グラム)に対し、0.27ピコグラムと基準値を下回っています。
ダイオキシン類は、塩化ビニール、プラスチックなどを低温で燃やすと発生しやすいと言われています。
工場や事業場などの一定規模以上の焼却炉は、ダイオキシン類の排出について法律で規制され、廃棄物の野焼きも禁止されています。市は平成10年度に、これらの法律で規制された市内の工場や事業場の焼却炉についてアンケート調査を行うなど、ダイオキシン類の濃度や排出量調査を進めてきました。
また、ことしの10月1日から県の条例が施行され、焼却に関する規制が強化されます。工場や事業場ではこれまでの規制に加え、紙や布、生ごみなどの焼却について、さらに一般家庭などの小型焼却炉での焼却についても規制されます。一般家庭から出る紙や木、生ごみなども小型焼却炉や野焼きで燃やさず、きちんと分別して市の指定している日に出してください。
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( 図表説明 ) 大気中のダイオキシン類の濃度
自動車の排気ガス
大気汚染のうち、もう一つ大きな要因となるのは、自動車の排気ガスです。自動車は私たちの生活とは切り離すことが難しい、現代人のもう一つの足。しかし、自動車は工場のボイラーや焼却炉と並び、大気汚染物質の発生源になっています。
自動車の排気ガスに含まれる汚染物質には、窒素酸化物、粒子状物質(ディーゼル黒煙)、硫黄酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素などがあります。その中でも二酸化炭素は、地球温暖化の大きな要因の一つです。また、最近の調査では、自動車の排気ガスに含まれる大気汚染物質の一つであるベンゼンの大気中の濃度が、富士市も含め全国的に高いことがわかりました。
自動車の排気ガスを減らすために、近くへ行くときは自動車に乗らない、しばらく停車しているときはエンジンをとめる、車を買いかえるときは低公害車を選ぶなど、私たちにもできることがあります。市も、これまでに電気自動車を1台、公用車として使用しています。さらにこの7月、天然ガスを燃料とする低公害車を導入しました。今後も徐々に低公害車を導入していきたいと考えています。
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( 写真説明 ) 天然ガス自動車
苦情などへの対応
このほかにも、水質汚濁、騒音、振動などについて、苦情があります。市はそれらについても、調査を行い、発生源への指導や改善対策をできるだけ速やかに行っています。
また、平成10年4月から「広報ふじ」の毎月5日号で環境シリーズを掲載し、環境問題への啓発と情報を提供しています。
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次世代を担う子供たちへ
市では毎年、6月の環境月間にさまざまな行事を行っています。これらの行事を通して、大人だけではなく、子供たちにも環境問題について関心を持ってもらえたらと考えています。ことしも、次のような行事が行われました。
◎一日環境監視パトロール隊
市長を隊長とし、市内の高校生が市内の環境について実際に外へ出て調査、監視しました。
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( 写真説明 ) メダカとカダヤシの調査
◎「わたしたちと環境」展
地球温暖化などの環境問題をテーマにしたパネル展です。
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( 写真説明 ) 中央図書館にて
◎「わたしたちの環境」学習会
小学生を対象とした環境についての学習会です。実験やクイズなどを通して環境問題に関心をもってもらいます。今回は岩松小学校と青葉台小学校で行われました。
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( 写真説明 ) 自動車の排気ガスについての実験(青葉台小学校)
「わたしたちの環境」学習会を終えて…
僕にもできる環境によいこと
青葉台小学校5年 網本秀一(ひでかず)さん(大淵)
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1年間に、この地球から約4万種類もの生き物が絶滅していると聞いたときには、すごく驚きました。
でも、僕たちにも環境によいことができるとわかったので、きょうからすぐに実行してみたいです。部屋の電気やテレビなどのスイッチを小まめに消したり、冷蔵庫のドアを何度も開けないように気をつけたいと思います。
そして、僕たちが大人になったとき、ごみがなくて自然の緑が一杯の街になればいいな、と思っています。
何げない生活が環境を汚しているなんて
青葉台小学校5年 松浦春菜さん(大淵)
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私たちが、ふだん何げない生活をしているだけで環境を汚していることにとてもびっくりしました。
特に、台所の流しから油をそのまま流すと、魚がすめるくらいのきれいな水にするのにとてもたくさんの水が必要なんですね。これからは、お皿についた油も紙でふき取ってから捨てようと思います。
また、以前、廃油で石けんをつくったことがあります。いらなくなったものもすぐに捨てないで、いろいろ使い道を考えて使っていきたいです。