神戸2丁目ににある曼陀羅祖師堂は「おまんだらさん」と呼ばれ、地域の人々に親しまれています。このお堂は日蓮宗の開祖である日蓮上人を祭るお堂です。
今回は、このお堂に祭られていた「まんだら」にまつわるお話です。
神戸の雨ごいまんだら
鎌倉時代のことです。ある年の夏、神戸地区では日照りが続き、作物は枯れ、村人は大変困っていました。そんなある日、一人のお坊さんが村を通りかかりました。村人の困った様子を見て、お坊さんは「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」と書き、「このまんだらをかけてお祈りなされ」と言い残して村を去っていきました。
村人は半信半疑でしたが、お坊さんが書いてくれた「まんだら」を村のクスノキにかけてみんなでお題目を唱え、雨ごいをしました。すると空はにわかに曇り大粒の雨が降ってきました。たちまち畑は潤い、作物もよみがえりました。村人は大変ありがたく思い、お堂をつくってまんだらを祭ることにしました。さらに、この日が旧暦の6月12日だったので毎年その日にお祭りを行うことにしました。
その後、そのお坊さんが日蓮上人だったことがわかり、村人はまんだらをもっと大切に祭ろうと相談し、三ツ倉にある日蓮宗の法蔵寺に預かってもらうことにしました。
現在は、毎年7月の第3土曜日にお祭りを行っています。お祭りのときは今でも法蔵寺にまんだらを迎えに行き、お堂に祭り、ご開帳が終わるとまた法蔵寺へ送り届けています。
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( 写真説明 ) 「おまんだらさん」と呼ばれる曼陀羅(まんだら)祖師堂
神戸で生まれ育った
鈴木 政子さん (神戸2丁目)
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まんだらを法蔵寺に預けたのは、当時この地区の家はすべて日蓮宗ではないお寺の檀家(だんか)だったからと聞いています。お祭りのとき、今ではまんだらを車で法蔵寺へ送迎していますが、昔は歩いて迎えに行き、三ツ倉からも住職さんを含む大勢の人が歩いて来てくれました。その行列の中で、まんだらを台に乗せて二人で担いで運びました。子供のころ、ご利益があるからといつも母に言われてそのまんだらを乗せた台の下をくぐりました。
まんだらには親しみがあって、私くらいの年の人はこの地区のことを「まんだら」と呼びます。今私が入っているゲートボールチームの名前も「まんだらチーム」と言うんですよ(笑)。
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( 図表説明 ) 地図