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【広報ふじ平成11年】すくすく子育て ふじエンゼルプラン

富士市児童育成計画

女性一人が赤ちゃんを産む人数の平均を、合計特殊出生率と言います。現在の人口を維持するのに必要な合計特殊出生率は2.08。平成9年には全国平均で1.39まで低下しています。富士市でも昭和47年をピークに出生率は低下し、少子化が現実になっています。そこで市は、市民の皆さんの貴重なご意見をいただきながら富士市児童育成計画「すくすく子育てふじエンゼルプラン」を策定しました。生まれ育つ子供たちが明るく生き生きと生活し、若い世代の人々が子育てに夢と希望を持てる、そんな社会の実現を目指しています。今回は、その内容をご紹介します。


プラン作成背景

少子化が及ぼす影響
 表1から、少子・高齢化する社会がうかがえます。子供が少なくなると、まず心配されるのが、高齢社会での労働力の不足や年金、保険などの社会保障費の増大です。
 さらに、きょうだいや隣近所など、子供同士で遊ぶことが少なくなってしまい、子供同士の関係が希薄になってしまうと考えられます。そうなると他人への思いやりや何か困ったときの対処の方法を自然に身につけるなど、子供の豊かで健全な心身の発達に影響を及ぼすと思われます。
 表2は、富士市の出生数と合計特殊出生率の推移をあらわしています。これを見ると、富士市の合計特殊出生率は全国や県の平均よりは高いものの、少子化への流れは同様に進んでいることがわかります。

子育て環境の変化
 都市化が進むにつれ、単身世帯や核家族が増加しています。一世帯当たりの人員は、昭和50年の3.8人から平成7年には3.18人に減少しています。
 また、個人の価値観は多様化し、結婚や家庭、子育てに対しての意識が大きく変わってきています。女性の就労、晩婚化も影響し、結婚しない、結婚しても子供を持たないなど、生活スタイルも多様化しています。
 市では平成9年度にゼロ〜5歳の児童を持つ母親を対象に、アンケート調査を行いました。その調査の中で、母親にとって理想の子供の数を聞いたところ、三人以上と答えた人が全体の59.8%と最も多い割合を占めました。しかし、現実的に考えた場合の産みたい子供の数を尋ねた質問では、二人と答えた人が52.9%で最も多くなりました。
 この理想と現実の差の原因を調べたのが表3です。子育てにお金がかかる、仕事と育児の両立が難しい、子育てによる精神的、肉休的負担が大きいなど、子育て環境の変化に伴って子供の数が少なくなってしまう理由が浮き彫りになっているのではないでしょうか。

今後の課題
 理想とする子供の数は三人以上という回答が最も多いことから、本来は多くの人が子供を産み育てることへの期待や喜びを持っていると言えます。子育て環境にゆとりがあれば、もう一人産みたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
 ですから、少子化のストップには若い世代の皆さんが安心して子供を産み育てることができるようにしていくことが重要な課題です。生まれた子供が生き生きと生活ができるようにする、また親の子育てに対する不安や悩み、女性に偏りがちな子育ての負担を軽減するなど、社会全体で子育てを支援していく環境を整える必要があります。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 表1 富士市の年齢3区分別の人口推移
( 図表説明 ) 表2 富士市の出生数、合計特殊出生率の推移
( 図表説明 ) 表3 理想より現実の子供の数が少ない理由


プランのあらまし

 市では、子育てを支援する社会を実現させるため、富士市児童育成計画「すくすく子育てふじエンゼルプラン」を策定しました。一般市民から公募したメンバーを含む富士市児童育成計画懇話会などから貴重な意見や要望を受けながら、十分に検討を重ね、平成11年3月に完成しました。
 プランは基本理念を軸に六つの柱から成り立っています。その基本理念と主要な施策をご紹介します。

◎基本理念
生まれ育つ子供たちが、明るく生き生きと生活できる社会

◎施策
1.子育て支援のための基盤整備
○啓発
・子育て支援の啓発
・家庭教育機能の充実
・子供の人権の尊重
・子育てへの男女共同参画の啓発
○人材確保
・人材の確保
・ボランティアの養成、確保
○子育て支援
・地域子育て支援センターの整備と支援事業の推進
・地域子育て支援体制の充実
○住環境
・持ち家取得の支援
・安全に配慮した生活環境の整備
・公共的施設への子育て支援施設などの整備促進
・遊びや交流の場の整備
・公園など、遊び場の整備促進
・児童館の整備促進
・自然環境の保全と創造

2.多様な保育サービスの充実
○保育サービス
・低年齢児保育などの多様な保育サービスの提供
・緊急時の保育支援体制の充実
・保育所の施設改善・整備促進
・保育従事者の資質の向上
・放課後児童クラブ活動の促進
・在宅保育サービスの推進

3.子育てと仕事の両立のための環境整備
○就労環境
・育児・介護休業制度などの就労環境の整備促進
・事業所内保育施設などの整備促進
・仕事と育児の両立支横車業の促進

4.子育てに伴う経済的負担の軽減
○経済的負担軽減
・教育費などの負担の軽減
・子育て費用に対する社会的支援の促進

5.ゆとりある学校教育の推進と学校外活動の充実
○学校教育
・自立と共生を目指す教育の推進
・子供のゆとりの確保
○社会教育
・社会教育施設や学校数育施設などの活用の促進
・子供による文化の継承と創出
・体験活動などへの参加促進
○地域活動
・地域健全育成活動団体などの育成支援
・非行防止や社会環境の浄化活動の推進

6.安心して子供を産み育てることができる母子保健医療体制の充実
○保健・医療
・母子保健医療体制の充実
・母子保健事業の充実
・医療費助成の充実


保育サービスなどの目標事業量

 すくすく子育てふじエンゼルプランは、十年間を計画期間として策定されました。地域子育て支援センターなどの保育事業量が具体的な数値であらわされています。

地域子育て支援センター
平成10年1か所→平成20年8か所
地域の子育て家庭の育児不安を解消するための相談や子育てサークルなどの育成・支援を行います。

○延長保育
平成10年
19時まで5か所 20時まで1か所 21時まで0か所
平成20年
19時まで5か所 20時まで2か所 21時まで1か所

○休日保育
平成10年0か所→平成20年4か所
日曜日・祝日の保育を実施します。

○障害児保育
平成10年19か所→平成20年21か所
集団保育が可能な、軽度から中度の障害を持ち保育に欠ける児童を保育します。

○乳児保育
平成10年179人→平成20年352人
ゼロ歳児保育のことです。病気などの抵抗力が弱いことなどから、特に受け入れ体制を整える必要があります。

○乳幼児健康支援保育事業
平成10年0か所→平成20年2か所
保育所へ通っている児童が病気の回復期のとき、一時的にその児童を保育するための施設です。デイサービスです。

○緊急・一時保育
平成10年1か所→平成20年9か所
保護者の就労や私的な理由などにより、断続的、一時的に保育が困難な場合に保育をします。

○児童館
平成10年1か所→平成20年4か所
児童に健全な遊びや場所を提供し、遊びを通して児童の健康と情操を育てるための施設です。

○放課後児童クラブ
地域性や対象児童の数を考慮しながら、各学校区に設置できるように努めます。

○保育ママ制度
保育に適した人を「保育ママ」として保育を委託し、在宅で児童を預かる制度です。制度の導入に努めます。

○ファミリーサポートセンター
育児の援助をしたい人と育児の援助を受けたい人が会員になり、地域で組織する子育て相互援助制度です。設置に向けて検討します。


伝法にお住まいの島村陽子さん 真理那(まりな)ちゃん・4歳 奈波(ななみ)ちゃん・1歳
安心してもう一人産みたいと思える社会的な支えを
- 写真あり -
 我が家は夫婦と子供二人の四人家族です。ちょっとした用事では、夫の母に子供を預けています。しかし以前自分が体調を崩したときがあり、一時保育制度をしばらく利用しました。急なときに一日じゅう子供を見てくれ、とても安心でしたし助かりました。ですから、そのほかにもゼロ歳児保育や放課後児童クラブなど、育児の支援が拡大されるとうれしいですね。
 一人っ子や二人きょうだいの家庭が多いと思いますが、社会的な支えがあれば、もう一人産みたいという人がふえると思いますよ。 また、今の子育て環境では働きたくても働けない人はたくさんいると思います。このプランが現実になれば、私も含めて女性が安心して働きやすくなると期待しています。


子育てに夢が持てる環境へ
私立中里保育園園長(富士市児童育成計画懇話会会長)
青野 溥芳(ひろよし)さん
- 写真あり -
 このプランの策定に当たり、富士市児童育成計画懇話会では委員の皆さんから実にたくさんの提言や要望が出されました。厳しい財政難にもかかわらず、プランにはそれらが反映されていると思います。子供にお金をかけることは、国の将来に投資することですからね。さらに、10年後の数値目標がはっきりしているのも、評価できる点です。
 今後は、このプランを着実に実現させてほしいですね。懇話会のメンバーは、プランができ上がったから終わりではなく、プランの実行を見守っていこうと考えています。子供を産み育てることへ夢を持てるようになるには、母親だけに子育てを任せるのではなく、男性も含め社会全体で支える環境になっていく必要があると思いますね。


◎計画の実行に向けて
 楽しく子育てができるようにするためには、親や家庭はもとより、行政や地域、企業も含めて子育て・支援を社会全体で取り組む必要があります。
 市では、今回ご紹介した富士市児童育成計画「すくすく子育てふじエンゼルプラン」に基づき、子育て環境の改善のために、総合的、計画的に施策を実行していきます。これからも皆さんのご理解とご協力をお願いします。

児童福祉課 内線2331
添付ファイル
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