岩本にある実相寺の山門をくぐると、すぐ左側に妙法(みょうほう)堂と呼ばれる小さなお堂があります。
今回はこのお堂にまつわるお話を紹介します。
岩本の妙法天狗
実相寺にある妙法堂は妙心(みょうしん)と法心(ほうしん)という兄弟の天狗(てんぐ)を祭っています。この天狗は妙法二神と言い、足と手の神様であると言われています。この二神は一時(いっとき)に千里(約4,000キロメートル)を走る力を持っていたと伝えられています。そして、足や手の病気に悩む人がこの神様に祈願すると不思議とその病気が治ると言われています。さらに、疱瘡(ほうそう)神様とも呼ばれ、天然痘がはやったときには、その治療を祈願したとも言われています。
ほかにも、この妙法堂には昔からいくつかの言い伝えが残っています。
子供が生まれると、赤飯を*すのこに盛って供えます。そして、白紙を赤い梅で染め、その紙をお堂の横にあるさるすべりの木に結ぶと、その赤ちゃんは健康に育つと言われています。
また、春の節句には、成人した人が小さいころに祝ったひな人形を持ち寄って、このお堂に供えて成長を感謝しました。
また、昭和52年から天狗のご利益にあやかり、子供の健康を祈願して、地域の子供たちを集め、マラソン大会を始めました。このマラソン大会は今でも毎年4月に行われています。
*すのこ…竹・アシを編んだむしろ
岩本地域の歴史に詳しい 落合 栄 さん(岩本)
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岩本には昔から天狗にまつわる言い伝えがいくつも残されています。この妙法天狗の話のほかにも万野の天狗岩や立願淵(りゅうがんぶち)の天狗の話も残っていますよ。
よく天狗というと、すばしっこくいたずらが好きな感じがしますが、天狗は信仰の対象になっていることも多くあります。この妙法天狗もお寺の守り神と言えるのではないでしょうか。
この妙法天狗の話は小さいころ家の人から聞きました。私もよく実相寺で遊んだものです。
これからもこのような地域の言い伝えを残し、また、まだよく知られていない民話も掘り起こしていきたいですね。
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( 図表説明 ) 地図
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