【広報ふじ平成10年】特集1 子供たちの心が見えますか
皆さんは、子供たちの心が見えますか。子供たちをめぐる悲しい事件が続き、子供たちの心が見えないと不安に思っている人も多いのではないでしょうか。富士市でも、子供の数が減っているのにもかかわらず、非行件数が増加傾向にありますし、不登校の数も減っていないのが現状です。もはや、子供たちが抱える心の問題は、よそごとではなくなっています。富士市の子供たちの心を探っていくとともに、私たち大人に何ができるかを一緒に考えてみませんか。
〈子供たちの気持ち〉
特別のことがなければ絶対に殴るな。
自分のいいところを見つけて。
話をちゃんと聞いて。
今から高校のことなんて言うな。自分の小さいときや人と比べるな。
なるべくほっといて。
うるさく言わないで。もう少し自分のことばかり考えないで、私のことも考えて。
勉強勉強とどならないで。
自分がムカついているからって、子供に当たらないで。
学校をもっと楽しくして。学校に落ちつく場所をつくって。
子供の気持ちをもっとわかって。
大人に子供の将来を決める権利はない。いい学校に入れたいというのは親の勝手、ただいい学校に入れたとしても、子供自身が生きがい(将来の夢)を持っていなければ何もならない。
子供にばかり注意するが、子供に言うことは大人も守って。
自分の考えを子供に押しつけないで。
心配してくれるのはわかるけど、もっと信用して。
人を見かけで判断しないで。
宿題なくして、受験なくして、塾なくして自由にして。
(P4・5アンケート調査「自由意見」より)
市民の皆さんからのご意見より(9月5日号で公募)
◎私はいじめを受け転校しました。あのときの私はひねくれてて、絶対に他人を信じようとはしなかったし、どうしようもなくて。でも今は違います。あれから6年たってやっと、生きていてよかったと思える自分になりました。今の大人社会に言いたいことがあります。見なかった。見ようとしなかった。私たちのことを。少年犯罪も起きてしまうまで、だれも私たちのSOSを聞こうとしなかった。いらない者は捨てるのですか。上から見おろすように、私たちを見る。私たちは精いっぱい牙(きば)を向く。けれどもそれでは何も変わらない。それでもいつか変わっていくことを信じている。(吉川あきさん 中学3年)
◎自分たちでつくった子供なんですから勇気と自信を持って体当たりしていってほしいです。それが親の義務だと思います。また、何か事が起きると先生や学校、教育委員会、警察などのせいにしてしまう親もいます。自分の子供は親が命をかけてでも守ってやらなければだれが守ってくれますか?(伝法 30代 男性)
◎人を死に至らせるほどの強い攻撃性はそう簡単に生じるものではない。なのに事件は現実に起きている。物と金のみを追い続けている大人の競争社会に子供たちが巻き込まれているあかしではないか。教師、家庭、地域が次世代を担う少年たちに対する「和」の心についての土壌づくりが必要であろう。(今泉 70代 男性)
◎子供たちの心が見えるかの前に、まず自分の心が見えているでしょうか。自分の心を知らなければ、子供の抱える苦しみや寂しさ・心を見ることも理解することも難しいような気がするのですが。(川島由美子さん 中里)
◎乳・幼児期の親子の密接な関係を基礎にしてこそ、子供も親も明るく育ち、社会人となっても世の中笑顔で生きていけるでしょう。(中村秀子さん 本市場新田)
◎同じ年ごろの子供を持つ友人たちと会うと、決まって話題は塾や受験の事になります。親の期待が大き過ぎるのです。子供は重くのしかかってくる期待に押しつぶされそうになっている。どこかで逃げ道をつくってあげないとかわいそう。私は「心身ともに健康」が何よりだと思っています。その子供に備わる能力を認めてあげ親なりに応援して見守ってあげる。そして、自分の進むべき道を探して歩んでいってほしいと思っています。(今泉 30代 女性)
◎最近の子供は耐性力・自制力がないところから「ムカつき」、「きれる」行動につながっていくように思います。これには厳しさをしつけたいと思います。それには、大人がまず自己中心的な行動をやめて、他を思いやり、自己に厳しくありたいと思います。(松岡 50代 男性)
◎「今の子供は外で遊んでいる子がいない」とよく耳にするが、簡単に軽く口にしないでもらいたいと思う。だって、遊ぶ場所がないだけでなく、子供の遊んでいる姿を温かく見守る大人が少ないんだから。一般市民の皆さんにも子供に対し、優しい目で見て接して小さい子供を煙たがらないようにしてもらいたい。(松岡 30代 女性)
◎近年、家庭にも教育界にも広く見られる、子供の言いなりを受け入れようとする風潮が、子供の心をますます見えにくくしているように思えてならない。このような子供の心を見ようとしても、そうやすやすとは見せてくれるはずがない。しかし、理解しようとする大人の心を子供は理解しようとする。子供の心は、文字を通して意見を出し合っても、見えてくるものではないようである。(後藤純一さん 大淵)
「あなたの気持ちを聞かせてください」をテーマに、アンケート調査を行いました。
市内小中学生に協力していただいて、富士市の子供たちが日ごろ何を考え、何を思っているかを尋ねました。
データ
対象 市内25小学校5年の1クラスの全児童853人
市内14中学校2年の1クラスの全生徒509人
調査期間 平成10年9月5日〜11日
アンケート調査結果
数字は、左側小学5年生、右側中学2年生(百分率、残は不明分)
問1 毎日が楽しいですか。
とても楽しい 26.9 26.3
まあまあ楽しい 53.6 58.7
あまり楽しくない 9.0 12.8
まったく楽しくない 0.9 1.2
問2 自分の自由になる時間がありますか。
大いにある 18.2 13.8
まあまあある 55.0 64.4
あまりない 16.6 20.4
まったくない 0.7 1.0
問3 ストレスがたまる(イライラする)ことがありますか。
よくある 14.0 23.0
ときどきある 41.7 52.7
あまりない 29.3 21.2
まったくない 5.4 2.9
問4 グラフ1
問4-1 グラフ2
問4-2 グラフ3
問5 自分を抑えられないことがありますか。
よくある 3.3 2.2
ときどきある 11.8 13.5
あまりない 51.5 63.5
まったくない 24.0 20.4
問6 グラフ4
問7 一緒にいると気持ちが落ちつく人はだれですか。(複数回答)
父母 45.8 33.6
きょうだい 23.8 23.0
祖父母 16.2 10.4
友人 49.9 74.3
先生 5.6 2.4
保健室の先生 3.4 1.0
その他 3.4 5.3
特にいない 11.7 14.5
問8 気持ちが落ちつく場所はどこですか。(複数回答)
自分の家 63.5 69.2
友人の家 14.0 14.5
学校 8.8 9.4
塾 2.9 4.9
遊園地 6.3 5.7
公園 9.6 6.5
自然の中 33.5 29.5
その他 7.2 13.4
特にない 5.5 8.5
問9 将来の夢がありますか。
大いにある 36.5 31.8
まあまあある 35.7 41.1
あまりない 13.1 20.0
まったくない 4.6 5.7
問10 富士市は住みよいですか。
とてもよい 36.6 21.4
まあまあよい 45.1 59.7
あまりよくない 6.9 13.8
まったくよくない 1.5 3.7
ストレス、ムカつきを感じている子供たちは半数以上
問3でストレスがたまることがあるか尋ねたところ、「よくある」あるいは「ときどきある」と答えた人が、小学生が55.7%、中学生が75.7%と半数を超えていました。また、小中学生で20%も差がありますが、中学生の割合が高くなるのは行動範囲が広がるためと思われます。
間4でムカつくことがあるか尋ねたところ、「よくある」あるいは「ときどきある」と答えた人は、小学生が65.4%、中学生が78.0%と、中学生の方が割合が高くなっています。
そして、問4-1でムカつくことの理由を尋ねたところ、小学生では、「きょうだい関係」が最も多く、「友人関係」「勉強に関すること」の順になっています。中学生では、「友人関係」が最も多く、「親子関係」「部活に関すること」の順になっています。また、「きょうだい関係」以外はすべて小学生に比べて割合が高くなっています。それだけ自我が目覚めて自己主張が強くなったと考えられます。
さらに、問4-2でムカついたときの解消方法を尋ねたところ、小学生では、「ゲームをする」が最も多く、次に「テレビを見る」が多くなっています。中学生では、「人に話す」が最も多く、「遊びに行く」「寝る」の順になっています。「人に話す」がもっと多くなって、対人関係の中で解決してほしいものです。また、「運動をする」「部活動にうちこむ」という割合が低く、ゲームなどの疑似体験でしか発散できないということには問題があるのでは…。そして解決できずに「人や物にあたる」ということには非常に問題があると思われます。
- 図表あり -
( 図表説明 ) グラフ1 問4 ムカつくことはありますか。
( 図表説明 ) グラフ2 問4-1 どんなことでムカついたことがありますか。(複数回答)
( 図表説明 ) グラフ3 問4-2 ムカついたときの解消方法はどれですか。(複数回答)
悩みの一番の相談相手は、小学生では父母、中学生では友人
問6で深刻な悩みをだれに相談するか尋ねたところ、小学生では、「父母」が50.2%と最も多く、「友人」44.4%、「先生」「特にいない」の順になっています。中学生では、「友人」が70.3%と最も多く、「父母」34.8%、「特にいない」「先生」の順になっています。また、小学生に比べて「父母」と答える割合が低くなり、「友人」と答える割合が高くなっています。しかし、小学生でも半数は親に相談しないという現状です。
問7で一緒にいると気持ちが落ちつく人を尋ねたところ、小中学生とも「友人」が最も多いが、「父母」「きょうだい」「祖父母」の割合が比較的高く、家族への信頼感は高いと考えられます。しかし、「父母」の割合が小学生で45.8%、中学生で33.6%と、親と一緒にいると半数以上はほっとできないと答えているのは気になります。
問8で気持ちが落ちつく場所を尋ねたところ、「自分の家」と答えた人が6割を超えていて、自宅でくつろいでいるというのは好ましいと思われます。しかし、問4でのムカつきの解消方法から考えると、自分の家といっても自分の部屋などで一人になれるところを指しているのかもしれません。ただし、問6と問7と合わせて、「特にいない」「特にない」と答えた人が気になるところで、相談相手がいない、気持ちが落ちつく人がいない、自分の居場所がないという子供たちが多くなりつつあるのは問題だと考えられます。
(分析…教育委員会、家庭児童相談室)
- 図表あり -
( 図表説明 ) グラフ4 問6 深刻な悩みにぶつかったとき、だれに相談したいと思いますか。(複数回答)
青少年相談所から
だれにも起こり得る問題行動。サインの早期発見・即時対応を
青少年相談所 佐野良夫 所長
- 写真あり -
青少年相談所に寄せられる相談件数は、不登校に関する相談を中心に年々ふえています。不登校の原因としては、まず、人間関係のつまずきが挙げられます。これは、好ましい人間関係づくりのためのさまざまな体験が不足していることが背景として考えられます。また、極めて少ないですが、問題行動を起こしている子供についての相談もあります。最近の問題行動は、決まりを守るという意識の低下が原因として考えられます。
不登校や問題行動を起こす可能性は、だれにでもあります。それは、近ごろの子供たちの訴えの中に、イライラする、ムカつくといった内容が多くあることからもうかがえます。したがって、子供たちに対しては日ごろから、大きな心で接するとともに、子供の立場に立ったかかわりをすることが大切です。
子供たちが不登校や問題行動を起こすのは、よく「突然」と言われています。しかし、問題行動を起こす前には、登校を渋るなどの何らかのサインがありますので、それを早く感じ取り、すぐに対応をとることが必要です。
子供たちとの心をつなぐ活動 私たちができること
大淵中学校PTA活動 継続的な働きかけが子供たちを変える
大淵中学校PTA会長 小山博行さん(大淵)
- 写真あり -
大淵中学校PTAは、子供たちを守り、子供たちが楽しい中学校生活を送れるようにと、下校時巡視パトロール、夏休み巡視補導、地区懇談会、朝のあいさつ運動、アンケート調査(親と子の関係について)など活発な活動を行っています。
また、神戸市の事件があった平成9年からは、PTA会員全員に「パトロール中」と書いてある巡視ステッカーを配布して、運転するときには車につけてもらうように協力を呼びかけています。
今から10年ほど前、全国的に中学生が荒れていた時期がありました。大淵中では、当時のPTAが立ち上がり、子供たちの心の問題は親にも責任があるとし、臨時総会まで開いたそうです。そこで、「伝統ある大淵中を…」について話し合い、子供たちにも直接熱く語りかけたと聞いています。そして、このとき始められたPTAのさまざまな活動が今まで継続されてきました。
おかげで、現在の大淵中はとても安定していて、子供たちから何ごとにも前向きな姿勢が感じられるようになりました。
子供たちは、毎日元気にあいさつを交わし学校へ通っています。私たちPTAも、子供たちと本音で話し合うために勉強し、子供たちと一緒に成長していきたいですね。そして、この活動を代々継続していってほしいと思っています。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 朝のあいさつ運動
( 写真説明 ) 夏休み巡視補導
吉原東中学校 郷土芸能を通じた地域との交流
佐野紘史(ひろし)君(3年・富士岡)[右] 鈴木利哉君(3年・比奈)
- 写真あり -
吉原東中学校では、平成8年度に県教育委員会のスクールフロンティア推進事業の指定を受けたことをきっかけに、郷土芸能に全生徒が取り組んでいます。郷土芸能は、その地城に伝わる第六天太鼓、富士岡神楽(かぐら)、大龍(だいりゅう)の舞の三つです。最初は保存会の皆さんが学校へ指導に来てくれました。その後、地元の保存会が行う練習に熱心に参加する生徒もふえてきました。
この取り組みは、運動会、文化発表会、豆まき大会など、学校行事を適して発表しています。さらに、今では学校から離れ、PTAの協力も得ながら、祭りをはじめ地域のさまぎまな行事へと発表の場を広げています。
保存会の皆さんは自分たちにとって身近な存在となっています。気軽に何でも話せて、皆さんからは学校で教えてくれないことも教えてもらって、とても勉強になります。
最近、地域のお祭りなどへ出かけて発表する機会がふえてきました。最初は恥ずかしかったけれど、今では地域の人に喜んでもらえてとてもうれしいです。それに、吉原東中生徒が全員で取り組んでいるので、学年に関係なく、みんなで一緒にやっているという感じで満足感があります。
これからも、郷土芸能は東中の伝統にしていってほしいし、自分たちも続けていきたいと思います。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 富士岡神楽の練習風景
富士中央小学校 コーラスを通して親子が心をひとつに
近藤智美(ともみ)さん(6年・松本)[右] 佐野朱音(あかね)さん(6年・松本)
- 写真あり -
富士中央小学校では、平成5年の開校のときから、ノーチャイムを実施しています。これは、子供たちの自主性を重んじて、子供の生活を大事にしたいという願いが込められていて、子供たちはその願いにこたえています。
また、富士中央小のPTAは、親子レクリエーション大会など、親子で楽しめるような活動を行っています。中でも親子コーラスがこの学校の特徴です。
PTA会長の山崎恵章(よしあき)さんは、「大人と子供は声の質が違うのでコーラスは難しいと言われるため、親子コーラスは珍しい存在。しかし、ここでは、上手に歌うことよりも、みんなで歌を楽しむことを目的にしています。そして、一つの曲を気持ちをそろえて歌うことにより、みんなと会話以上のつながりが出てきます。音楽を通して親も子も心豊かになってきますよ」と言います。
ここには、在校生とその親だけでなく幼稚園の子や中学生、先生もいてみんなで一緒に歌を歌うのがとても楽しいです。特に、親と一緒に何かをやるなんてことはほとんどないのでうれしいです。それとここではいつもとは違う親の姿を見られて、新しい発見もありました。もう一緒に歌えるのも今だけかなと思って、この時間を大切にしていきたいと思います。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 親子コーラスの練習風景
富士こどもネットワーク 子供たちの心の居場所づくりを実現
富士こどもネットワーク代表 瀧元高子さん(本町)
- 写真あり -
「富士こどもネットワーク」は、子供をめぐる環境をよりよくしていきたいと願う人が集まって平成8年に結成されました。定例会を開催するほか、インターネット上に「こどもネット会議室」を開設したり、こどもネットワーク通信を発行したりと、積極的な活動を行っています。そして、ことしになってグループを母体に、市内で初めての登校拒否を考える会「風」を設立。また、5月には富士第一小学校横にプレ児童館「にこはうす」を設立しました。現在、会議室への男性参加者もふえ、年齢層にも広がりを見せています。
「にこはうす」は、だれでも立ち寄れる自由な空間です。ここには、毎日2、30人の子供たちが来ます。中には、無表情な子、暴れる子などもいます。でも、みんな親や先生に話せないこともいろいろ話してくれます。子供たちはいつでも行けて、安心できる居場所を探しているのだと思います。
この活動を通して、子供たちの心がだんだん見えてきたような気がします。一見不可解な子供の行動は、それが子供たちの叫びSOSなのだということが、言葉になくても肌で感じます。私たち大人がいかに本音で向き合うかが大切になってくると思います。ただ、この活動は個人の力では続けることが難しいので、こういう活動がもっと全市的に広がっていってほしいですね。また、行政の援助もぜひいただければと思っています。
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( 写真説明 ) 「にこはうす」で遊ぶ子供たちと会員の皆さん
私たちの心ひとつで子供たちを守れる
子供の話に耳を傾け、「私メッセージ」で
親業(おやぎょう)訓練シニアインストラクター 齋藤みづ江さん(国久保3)
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親は子供のためといっても子供の足を引っ張っていることもあるのです。いかに効果的な接し方をするかが問題となってきます。
まずは、子供の話に耳を傾けることです。「猫よりひどい親もいる」と言うんですが、猫は子供の愚痴にニャーと受けとめるけれどもそれすらできない親もいます。子供が安心して話せるようにしてほしいですね。
次に、「あなたメッセージ」ではなく、「私メッセージ」にすることです。親がよく使う言葉に「早く」「頑張って」「勉強しろ」がありますが、「あなた○○して」と、この主語はみんな子供で「あなたメッセージ」なんですね。「○○だから私は○○してほしい」など、親の本音を子供に語っていく「私メッセージ」にすれば親の気持ちが伝わっていくはずです。
また、人それぞれ価値観が違います。子供の個性を生かすよう、子供がしたいことをできる環境をつくってあげてほしいですね。
親子関係がうまくいっていないと、子供は意欲的に生きられません。良好な関係をつくるために親が変わっていけば子供も変わっていきます。少しずつでもいいから変わっていくことが必要だと思います。
子育ては不安がつきものですが、その時期はたった一時期です。父親も母親もその時期を本当に大事にしていただきたいと思います。
地域みんなで子供たちを見守って
富士市生涯学習推進会青少年育成部 望月博征(ひろゆき)さん(入山瀬2)
- 写真あり -
近ごろは、子供と接する機会がほとんどないですね。たまに、子供に会ってもあいさつもできないような関係になっています。昔は、近所の子供たちが何をしているかわかったものですが…。地域は通学するときだけのものになっていて、地域と子供たちの関係は希薄になっているような気がします。ですから、子供がたばこを吸っていたりしても、注意する人はあまりいませんね。みんな自分の子供だけを見るのに精いっぱいです。
しかも、地域ではテレクラ、有害図書など子供たちを取り巻く環境に多くの問題を抱えています。身近なところで悲しい事件が起こらないようにするためには、地域がみんなで子供たちを見守っていかなければいけないと思います。そのためには、多くの人が子供に意識を向けてほしいし、どんな子供にも隔たりなく接してほしいですね。
また、子供が遊べるたまり場をつくりたいですね。そこにお年寄りなど地域の人が中に入っていき、何でも話ができるようになるのが理想的。それから、地域で子供たちとふれあう活動を進めていくことが必要ではないでしょうか。それも大人がおぜん立てしたものではなく、それぞれの役割の中で子供たちが計画から携わっていき、大人がサポートするという活動を広げていくといいと思います。
子供たちのサインを絶対見逃さないで
吉原ジュニアリーダースクラブ
金岡元春(かねおかげんしゅん)さん(日大三島高3年・吉原4) 吉川千晶さん(富士東高3年・今泉7)
- 写真あり -
アンケートの結果(4ページ・5ページ参照)を見て、この結果は何となくわかるような気がします。
自分たちが中学生だったとき、やはりあまり親には相談しなかったですね。逆に何でも親が干渉してくるので反抗的でした。それに親に弱みを見せるのがいやで、親の前でいい子を演じていたように思います。
ストレスやムカつくことについては、その解消方法が問題だと思います。自分たちはジュニアリーダーという活動にのめり込んでいて打ち込むものがあったので、嫌なことはみんな忘れちゃいましたね。
自分たちも経験があるけれど、子供って嫌なことがあったりすると無口になるなど態度であらわすんです。そういうときは、親でも友達でも気づいてもらって、何があったのか聞いてほしいんですね。さまざまな事件が起きていますが、そういう子供は自分の穀にこもっていたんだと思います。にこにこしていて口に出さないでいると、あの子はいい子と思われるだけです。自殺したり犯罪を起こしたりするくらいなら、勇気を出してせめて態度や表情に出した方がいい。サインを出せばだれかが助けてくれます。だから、周りもそのサインを絶対見逃してはいけないんです。そう考えると、一人でもいいから何でも話せる人がいるといいと思います。
子供の心の危険信号 こんなサインにご注意!
感情の起伏が激しい
生活が不規則になる
家族との対話を避ける
ペットなどをいじめる
成績が急に落ちる
うそをついたり、ごまかしたりする
部屋に閉じこもる
体の不調を訴える
- 図表あり -
★ここで紹介したサインは一部に過ぎません。また、これらのサインのある子供のすべてが問題行動を起こすわけではありません。<日本広報協会発行の情報ブックレット「子どもの心に向き合う心」を参考>
家庭、学校、地域が協力して子供を育てるという気持ちが大切
太田 均(ひとし)教育長
- 写真あり -
アンケートの結果についてですが、全体的に富士市の子供たちから前向きな姿が感じられました。中でも、「毎日が楽しい」「富士市は住みよい」と答えた子供が多かったのはうれしいですね。気になることとしては、自由意見の中で、大人に対して「自由が欲しい」と答えている子供が多かったことと、少しですが、「まったく楽しくない」と答えた子供がいたことでしょうか。
学校の取り組みとしては、先生方が子供とできるだけ多く接するようにして、子供の心を理解するように努めています。そのために、よく先生方に「子供の目をのぞいてください」と言っています。また、子供たちを呼び捨てにしないで「さん」「君」づけをしたり、大声でしかることを気をつけたりと、子供の人格を尊重するようにしています。さらに、学校生活の基本である「わかる楽しさを味わえる授業」にしようと努めています。そのほか、保健室では、体だけでなく心のケアができるようにしていますし、相談室の充実も図っています。特に、10月からは「心の教室相談員」を市内全中学校に配置しました。相談員は、草花栽培やパソコンなどの特技や趣味を生かした活動を通じて、子供たちと親密にふれあうことによって、子供たちのストレスを解消したり、相談に乗ったりしています。このように、市では学校全体で子供たちが相談できるような環境をつくることを目指していきます。
また、生涯学習推進会が中心となって、学校、保護者、警察などと連携をとりながら、青少年育成サポート事業も行っています。具体的には、子供を地域の一員と考え、地域ごとに子供たちが集団の中での遊び方、人間とのつき合い方を学べるような活動です。
子供たちが心も体も健やかに育っていくためには、子供のことを家庭だけ、学校だけに任すのではなく、家庭と学校そして地域が協力し合って市全体で一人一人の子供を育てるという気持ちが大切になってきます。
子供たちには、その年齢に応じてきちんと守らなければならないルールがあって、それを守った上に自由があるということをわかってほしいですね。そして、何か困ったことがあったらぜひ一人で悩んでいないで悩みをだれかに話してほしいと思います。
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- 図表あり -
皆さんは、子供たちの心が見えますか。いえ、実は見える見えないかが問題ではなく、子供たちにかかわるすべての私たち大人の、子供たちへ向かう心がどうなのかが問題なのかもしれません。そう考えると、身近にいる子供たちの心もまた違って見えてくるのではないでしょうか。富士市の子供たちが心も体も健やかに成長するよう、富士市全体で温かい目で見守っていけたらいいですね。
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