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【広報ふじ平成10年】表紙 歌に平和の祈りを込めて 親と子のぞうれっしゃ合唱団

戦争の悲惨さと平和の大切さを伝える

 昭和20年8月15日に長かった戦争が終わりました。戦争中には、多くの生命や財産が失われ、悲しい話もたくさんありました。
 その中の一つとして、名古屋の東山動物園の人気者だった象の話があります。戦争は人間だけでなく動物たちも巻き込んだのでした。
 戦後、この話を歌声に乗せて、いつまでも忘れないようにしようと一つの合唱曲ができました。その歌が「ぞうれっしゃがやってきた」です。
 そして、いつまでも平和が続くように願いを込め、10年前から歌い続けているのが「親と子のぞうれっしゃ合唱団」なのです。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 日本平動物園にて


 「親と子のぞうれっしゃ合唱団」は実際にあったお話をもとにつくられた11章からなる合唱曲「ぞうれっしゃがやってきた」を歌い続けています。
 代表の内田和美さんに、活動についてお話をお聞きしました。

「親と子のぞうれっしゃ合唱団」代表 内田和美さん(原田)
- 写真あり -
●「親と子のぞうれっしゃ合唱団」はいつから活動しているのですか。
 昭和63年に市立鷹岡保育園で、園児の演目の一つとして、発表会で歌ったのがきっかけでした。その後、核兵器廃絶平和都市宣言四周年記念公演「演劇と音楽の夕べ」に参加し、子供たちの中からもっと続けて歌いたいという声が挙がり、合唱団として活動が始まりました。毎年3月には11章全部を聞いてもらう自主コンサートを行ったり、平和に関するイベントに参加したりしています。

●なぜ「ぞうれっしゃがやってきた」という歌にこだわっているのですか。
 この歌は第二次世界大戦中、実際に名古屋の東山動物園であった話をもとにつくられています。とても現実味がありますし、「戦争反対」といった直接的な言葉は使われていませんが、「戦争は嫌だ」ということを広く伝えることができる歌だと思うからです。私、初めてこの歌を聴いたときは、背中がぞくぞくしてきて泣き出してしまったんですよ。全章歌うと45分にもなりますが、本当にいい歌です。それに、子供から大人まで一緒に歌える上に親しみやすく、わかりやすい歌だからということもあります。また、この歌をきっかけに親子で平和に対する共通の思いができればとも考えています。

●これからの目標を聞かせてください。
 私たちはこの歌に「人間の本当の優しさ、強さ、戦争の恐ろしさ、平和の大切さ」などの思いを込めて歌っていきたいと思っています。また、何も罪のない動物を殺さなくてはならない状況をつくったのは、私たち人間であり、加害者であったという事実もきちんと理解してもらいたいですね。単なる戦争中のかわいそうな話として終わらせたくはないのです。
 そして、「戦争は絶対に嫌だ。これからも平和がいいね」という思いが、少しずつでも浸透していけばと思います。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 平成4年には実際にぞうれっしゃを走らせ、名古屋の東山動物園まで行きました。


「ぞうれっしゃがやってきた」のお話 合唱構成の台本から
 名古屋の動物園に、サーカスから譲られた4頭の象がいました。名前をアドン、エルド、マカニ−、キーコといい、多くの子供たちの人気者でした。
 そのころ、日本は中国と戦争をしていました。やがて、日本は世界を相手に戦争を始めました。戦争は次第に激しくなっていきました。
 そんなある日、「危険な動物は殺すように」と軍から命令が下ったのです。「もしも動物園に爆弾が落ちて、動物が逃げ出したら人を襲うだろう。殺せ!」。たくさんの動物が次々に殺されました。しかし、動物園の園長さんは「象だけは、なんとかして守りたい。平和な日が来て、また子供たちと遊べる日まで」と、ないしょで象を飼い続けました。しかし、暖房が消えた部屋でキーコが死にました。おなかをすかしてアドンが死にました。苦しかった戦争がようやく終わったとき、日本中の動物園で生き残っていた象は、エルドとマカニ−だけでした。
 戦後、日本中の子供たちから「生きている象が見たい」という声が挙がりました。この熱意はやがて大人たちの心を動かし、名古屋の動物園まで象に会いに行くための特別仕立ての象列車が走ったのでした。


勇気・愛・平和
合唱曲「ぞうれっしやがやってきた」についての感想や、戦争と平和などについて、お聞きしました。

ぞうれっしゃよ はしれ
合唱構成「ぞうれっしゃがやってきた」より  清水則雄 作詞

1.
僕たちの胸から まっすぐにのびたレールは
はるかな野山を越え 象たちのもとへ届く
冷たい冬が過ぎ 春を迎えたように
今こそ伝えよう あふれる喜びを
長い戦争を生き抜いた象たちに
象たちの命を守った人たちに
象列車よ急げ やみを裂いて走れ
象列車よ急げ 空を駆けて走れ
2.
僕たちの胸から あふれでた熱い思いが
一つに集まって 走らせた象列車
小さな僕たちでも 心を一つにすれば
夢だってかなうと 信じよう今こそ
夢を戦争でなくした人たちも
新しい時代を生きていく人たちも
象列車よ急げ やみを裂いて走れ
象列車よ急げ 空を駆けて走れ

子供たちに平和を伝えたい 合唱団員 鈴木洋子さん(久沢)
- 写真あり -
 この合唱団に参加したのは、親子で歌えることに加え、以前広島平和記念資料館を見学し、二度とこんな悲惨なことを繰り返してはいけないと思っていたからでした。
 しかし、戦争を経験し、悲惨さを直接知っている人は少なくなってしまいました。私も、この歌を知るまで戦争中に動物を巻き込んだ悲劇があったなんて全く知りませんでした。参加したことで、私も子供も戦争や平和について興味を持つことができました。
 これから平和を守っていく子供たちに、平和の大切さを教えるのは、私たち大人です。この合唱団は大人と子供が一緒に「ぞうれっしゃがやってきた」を歌い、平和を愛する心を育て、それを伝えていきます。この歌を多くの人に聞いてもらい、平和について考えるきっかけにしてもらえたらと思います。


戦争がなかったら殺されなかったのに
合唱団の児童・生徒の皆さん
- 写真あり -
・罪がないのに殺されちゃってかわいそう。
・園長さんはすごく勇気があると思う。
・動物を殺さなくてはならないなんて、戦争は怖いし、したくない。
・ぞうれっしゃで名古屋の動物園に行きたい。
・園長さんや動物園の人たちの愛情が、エルドとマカニーの命を救ったのだと思う。
・もう二度と戦争が起こらないように努力していかなければ。
・この歌の優しさを伝えていきたい。


コンサート感想アンケートより
◆動物たちの話は知っていましたが、改めて戦争の無意味さ、平和のありがたさを実感しました。 (50代 女性)
◆戦争のことが少しわかりました。コンサートを続けてほしいです。 (10代 女性)
◆歌の途中でピストルが五発鳴り、この音は忘れてはいけないと思いました。 (30代 女性)
◆一人でも多くの子供たちに命のとうとさを、ぞうれっしゃの歌で知ってもらいたいです。 (70代 男性)


無料でお貸しします 広報広聴課 内線2822
★ビデオテープ
・教えられなかった戦争−侵略・マレー半島(110分)
・証言 侵略戦争 人間から鬼へ、そして人間へ(43分)
・核戦争後の地球 第一部「地球炎上」(30分)
・核戦争後の地球 第二部「地球凍結」(30分)
・火垂(ほた)るの墓(90分)
・にんげんをかえせ(20分)
・君知ってる?首都炎上 アニメ東京大空襲(18分)
・はだしのゲン(90分)
・はだしのゲン2(90分)
・ヒロシマに一番電車が走った(30分)
・つるにのって−とも子の冒険−(27分)
・見上げればひまわり−千恵子さんとともに−(30分)
・チェルノブイリ・クライシス 史上最悪の原発事故(57分)
・さよならカバくん(25分)
・おばけ煙突のうた(42分)
・十六地蔵物語(26分)
・沖縄 第一部「一坪たりともわたすまい」(75分)
・沖縄 第二部「怒りの島」(120分)
・おかあさんの木(22分)
・なっちゃんの赤いてぶくろ(18分)
・青い目の人形物語(30分)
・対馬丸(75分)
★十六ミリ映画フィルム
・核戦争後の地球 第一部「地球炎上」(30分)
・核戦争後の地球 第二部「地球凍結」(30分)
・おこりじぞう(27分)
・おかあさんの木(20分)
・100番目のサル(20分)
・核戦争(15分)
( )内は放映時間


'98平和のための 富士戦争展
“おじいちゃん、おばあちゃんが若かったころ、日本は戦争をしていた”
8月10日(月曜日)〜15日(土曜日)10時〜20時
ロゼシアター展示室 ≪入場無料≫
展示内容
●原爆(広島・長崎)と核兵器廃絶
●日本(軍)はアジアで何をしたか
●戦場に散った画学生・曽宮俊一(そみやとしいち)
●日本国憲法と日米安保条約
●対馬丸と学童疎開
●家永教科書裁判
●沖縄は「戦場」になった
問い合わせ 「平和のための富士戦争展」実行委員会事務局 (富士市職員組合 内線2151)


 私たちは戦争が引き起こした悲劇を伝え、平和を守っていかなくてはなりません。そのためにも、戦争で何が起こったのかを知ったり、なぜ世界で戦争や紛争がなくならないのかを考えたりしなければいけないのではないでしょうか。
 毎年8月は、平和に関する催しが多く行われます。家族や仲間で参加してみませんか。もう一度戦争と平和について考えるきっかけにしてみてください。
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電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
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