静岡県下で初めて音楽療法士の資格認定を受けた
伊藤 安一(やすいち)さん(浅間上町)
伊藤さんは、昨年3月に県下で初めて全日本音楽療法連盟から資格認定を受けた音楽療法士。音楽療法士とは、音楽を通して、知的障害児などの発達を促したり、障害を改善したりして、社会的自立の手助けをする専門家のことです。資格認定を受けるには、臨床経験を重ね論文発表や研修講座の講師を務めるなどの地道な活動が必要になります。伊藤さんは11もの論文や著書が資格認定の対象になりました。また、12年前から自宅で障害児の音楽療法を始め、現在は6人の子供たちの対応をしています。
伊藤さんは、「音楽はもともと好きでしたが、最初から音楽療法士になろうと思っていたのではありません。きっかけは、小学校教諭として勤務していたところ、異動で大淵第二小学校の施設内分教室である『ふじやま学園』に赴任したことからでした。当時は知的障害の重い子供に対する指導方法は未確立で、効率のいい指導方法は見つかりませんでした。そんなとき、音楽にヒントを得たのです。音楽は言葉と違い直接情動に働きかけるため知的障害者に受け入れやすい上に、運動を誘発します。子供の発達と運動は深い関係がありますから、音楽はとても有効な指導方法ではないかと思い、研究を重ねた結果が音楽療法士の資格認定につながったと思います。
音楽活動を通して、障害そのものを治すことはできませんが、自立への可能性を引き出していくことはできます。子供たちがどこまで伸びていくのか見守っていくのが本当に楽しみです」と話してくれました。
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( 写真説明 ) 自宅で対応している子どもの発表会で一緒にピアノを演奏