中島の子育て地蔵
富士の中島に、富士川のはんらんで流れ着いたと言われる「子育て地蔵」が祭られています。今回は、子供について御利益があるという「子育て地蔵」のお話を紹介します。
昔、富士の中島にカヤ積み揚がありました。昔の家はほとんどカヤぶき屋根だったので、人々は富士山のすそ野からカヤを刈り、1か所に積んでおいたのです。
あるとき富士川がはんらんし、カヤ積み楊に80センチメートルくらいのお地蔵さんが流れ着きました。お地蔵さんは長い年月をかけて流れ着いたらしく、汚れていて、首も取れていました。そんなお地蔵さんを見つけた村人は大変かわいそうに思い、取れていた首の代わりに、丸い石を乗せ、社(やしろ)をつくってお地蔵さんを祭りました。そして、カヤ積み場の周辺をお地蔵さんの地所にして、そこからとれるお米をお地蔵さんへの年貢として、お祭りも行うことにしました。
そんなある日、子供ができずに困っている村人がお地蔵さんに「子宝に恵まれますように」とお参りしました。すると、すぐに子供が授かりました。また、子供の体が弱くて困っていた村人が「子供が丈夫になりますように」とお願いすると、間もなく子供はすっかり元気になりました。
それからいつの間にかこのお地蔵さんは「子育て地蔵」と呼ばれるようになったのでした。
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( 写真説明 ) お祭りに公開される「子育て地蔵」
( 写真説明 ) みこしを担ぐ前の祈とうと子供たち
中島下区老人会会長 鈴木 巖(いわお)さん
氏子総代 岡根谷(おかねや)正夫さん
中島下区区長 平井 良弘さん
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私たちが子供のころは縁日のお祭りという感じが強く、浴衣を着てお小遣いをもらってお菓子などを買うのがとても楽しみでした。
今ではお地蔵さんのお祭りを、中島上区と中島下区が交代で毎年7月22日に行っています。露店がたくさん並び、子供たちが太鼓をたたいたり踊りを踊ったりと、年々にぎやかになりますよ。このお地蔵さんはその名も「子育て地蔵」なので、いつの時代も子供に囲まれてにぎやかなのかもしれませんね。
それに今でも子供のことでお参りする人をよく見かけます。また、このあたりの家では「子育て地蔵」のお札を張っている家も多いんですよ。