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【広報ふじ平成9年】特集・戦争と平和

戦争の恐ろしさを伝え続ける -平和のための富士戦争展-

8月15日は終戦記念日。8月が来るたびに、皆さんは日常生活の中で忘れかけていたものを思い出すように、何かを感じるのではないでしょうか。毎年、広報ふじ8月5日号のテーマは「戦争と平和」。今回は、開催10周年記念を迎える「平和のための富士戦争展」を特集します。

 「平和のための富士戦争展」は、昭和60年に富士市が「核兵器廃絶平和都市」を宣言したことを受けて、宣言文の内容を具体的に行動していこうと、この宣言をする運動を推進してきた「核兵器廃絶平和富士市民の会」を母体とする実行委員会によって、昭和63年に初めて開催されました。以来毎年8月に開催され、これまで延べ約2万人が参観。そして、ことしで記念すべき10周年を迎えます。
 戦争展は、今までその年ごとにスローガンを定め、「アジアヘの侵略戦争」「富士市民の暮らしと戦争」「日本国憲法と平和」「核兵器廃絶と広島・長崎」といった基本的内容に、新たな内容や手法を取り入れながら、戦争の恐ろしさ、悲惨さと平和のとうとさを訴え続けてきました。
- 写真あり -


戦争展の歩み
*「 」内はスローガン

昭和63年
 富士市で初の戦争展を市役所市民ギャラリーで開催。「美しい地球に核兵器はいりません」
平成元年
 この年のみユニー吉原店で開催。アンネの日記の部屋コーナーを設置。「核兵器廃絶と平和の願いこめ、戦争の実像を見つめる」
平成2年
 戦争記録画、アウシュヴィッツのコーナーを設置。「核兵器の廃絶 平和の貴(とうと)さを広げたい」
平成3年
 満州事変から60年、静岡大空襲を特集。「平和が貴いから戦争の姿を伝えつづける」
平成4年
 従軍慰安婦を初めて取り上げる。「海外には派兵より平和憲法を送りたい」
平成5年
 すいとんの試食を実施。「いま大切、平和憲法。だから戦争の姿を伝えつづけます。」
平成6年
 絵本の中の戦争コーナーを設置し、絵本の読み聞かせを実施。「いま大切なのは平和。だから戦争の姿を伝えつづけます。」
平成7年
 終戦50年。折り鶴(づる)コーナーを設置。「戦争を語りつぎ平和憲法をアジアに、世界に」
平成8年
 ロゼシアター展示室で初めて開催。沖縄の悲劇、アウシュヴィッツの惨劇、憲法公布50
年のコーナーを設置。「戦争の姿を知り、沖縄と憲法を考える」


昨年の戦争展参観者からの声

渡辺梢(こずえ)さん(中里)
- 写真あり -
 私たちと同じ人間が、私たちと同じ人間を殺して平気でいられる戦争は、本当に恐ろしい。もう二度と繰り返してはいけない過去だと思います。戦争を体験していない私には、知識を深めることぐらいしかできないので、せめて日本のやったことを知っていきたいと思います。


青沼英司さん(岩本)
- 写真あり -
 戦争はとても恐ろしく、今、戦争に行けと言われたらと思うとぞっとします。戦争は絶対してはいけないし、核兵器などすべての兵器をなくす必要があると思います。このような戦争展は、もっと回数をふやして、多くの人に戦争の恐ろしさを知ってもらいたいと思います。


鈴木佐知子さん(平垣本町)
- 写真あり -
 展示のすばらしさに大変驚きました。小学4年生と2年生の子供と行きましたが、子供にもわかるものもあってよかったです。私自身も戦争を知りませんが、子供にも戦争の悲惨さを語っていき、平和な社会を築いていく21世紀を担う大人に成長してほしいと願っています。


伊東伸彦さん(桑崎)
- 写真あり -
 戦闘機の空襲を目の当たりにし、しかも学徒動員されたという戦争を体験した私は、8月になると戦争のことを思い起こし、この戦争展には今まで3回足を運びました。このような戦争展を多くの人、特に若い人たちに見てもらいたいと強く感じています。

戦争展を支える皆さん

実行委員長 金井政二(まさじ)さん(富士見台)
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戦争展を通じて戦争の真実を知ってほしいですね
 小学生のときから反戦平和への気持ちが強く、第1回目から実行委員としてこの戦争展に参加しています。そして、第5回目からは実行委員長を務めています。私自身、アジアヘの侵略コーナーを担当してから、知らないこと、知らされていないことの多さを強く感じ、戦争に関して勉強するようになりました。ですから、若い人もその親の世代も知らないんじゃないかと思います。これでは、真の国際人にはなれない。真の国際人になるためには、戦争の悲惨さだけではなく、日本が外国に対して何をしてきたかを知る必要があると思います。特に、アジアでは教科書や書物などで、戦時中日本が何をしたかを詳しく知らせています。知らないのは日本人だけなんですよ。ですから、この戦争展を通じて知ってほしいし、これを機会に学んでほしいと思います。
 これまでの9年間を振り返ると、ここ1、2年で急速に市民に浸透してきたなと感じますね。でも、アンケートを見る限りでは、常連もいますが初めてと答える人が多いので、まだまだ続けていく必要があるなと思っています。
 戦争展は、私たち実行委員だけのものではなく、市民の皆さんのものです。とにかく、まずごらんになってください。そして、この活動の輪がもっと広がってほしいですね。個人、団体を問わず気軽に参加してほしいと思います。
 殺人が手柄で死が名誉となるのが戦争です。こんなひどいことはありません。今後どんなことが起きようと、戦争をしてはいけません。そのためには、過去に日本が起こしたアジア太平洋戦争の真実を知ることがどうしても必要です。皆さん、私たちの活動をよろしく御支援ください。


受付ボランティア 勝地淑華(よしか)さん(水戸島)
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自分のためになった戦争展の受付
 私は、高校でボランティア部に入っていますが、去年顧問の先生からこの戦争展の受付ボランティアをやらないかと誘われて、一日だけでしたが受付を担当しました。
 受付をやっていて、小さい子供からお年寄りまで幅広い年齢層の人がたくさん来ていたなと感じました。でも、私と同じ年代の高校生があまり見られなかったのが残念でしたね。
 展示を見ての感想は、ショックの一言ですね。特に、焼けた弁当箱などの実物を見て、こんなにも無惨だったのかと悲しくなりました。そして、日本が外国にしたことについては、何でこんなひどいことをしたんだろうかと思いました。
 やはりこのような戦争については、みんなに知ってほしい。特に私と同じ年代に…。戦争展の受付を経験して、とても自分のためになりました。今後のボランティア活動でお年寄りと交流するときにも生きてくると思います。


実行委員 加藤善夫(よしお)さん(松岡)
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戦争展を開かなくてもいい平和な社会の実現を
 私は、日本史の教師をしていまして、富士の飛行場のことなど地元の戦争について調べていたこともあり、第1回目から実行委員としてこの戦争展にかかわってきました。戦争展では主に戦時下の暮らしのコーナーを担当して、富士市の戦時中の暮らしぶりや教育についての展示に取り組んできました。しかし、何せ50年以上も前のことですし、私自身戦争の体験がないものですから、展示資料を集めるのに苦労しましたね。とにかく戦争の体験がない世代の人たちにもイメージが沸くよう、具体的に当時の様子がわかるものを集めました。
 ことしで戦争展は10年になりますが、こんなに長く続けてこられるなんて思ってもみませんでしたね。特に富士市は、静岡市や浜松市と違って大空襲を受けたわけでもなく、それほど深刻な戦争体験がなかったところなので、よく続いたなと思います。
 今後は、世界でいまだ続けられている戦争がなくなるとともに、市民の皆さんに反戦平和の意識が浸透していき、戦争展を開かなくてもいいような本当の意味での平和な社会が実現すればいいなと思います。


協力委員 岡純子(じゅんこ)さん(松岡)
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親子で戦争を語り合うきっかけに
 私が所属する団体の「富士子ども劇場」が一昨年戦後50年ということでミニ戦争展を開催したことがきっかけで、この戦争展にかかわってきました。戦争展では、戦争を取り上げた絵本の読み聞かせを担当し、本を読んであげたり、本を紹介したりしました。
 戦争展にかかわってきて感じることは、子供たちが生々しい写真を見てショックを受けていたり、「戦時中は草を食べていたんだよ」と話すとびっくりしていたりと、戦争について初めて知った子供たちが何と多いのかということです。親も戦争のことを知らないし、家庭で戦争について話題になることもないのだと思います。この戦争展をきっかけにうちに帰ってから話し合う機会ができたらいいと思います。
 今後、戦争に興味のない人も気軽に参加できるような戦争展になるよう働きかけをしていきたいと思います。また、私自身もこういう戦争の実態があったことを子供たちに話していきます。


97平和のための富士戦争展10周年記念

8月21日(木曜日)〜26日(火曜日)10時〜20時(21日は13時〜)
ロゼシアター 展示室 *入場料無料
「戦争の真実を明らかにして10年 日本の過去から未来を考えよう」
展示内容
◎「戦争展」の10年
◎満蒙開拓とシベリア抑留
◎日本国憲法施行50年
◎絵本(読み)コーナー
◎日本(軍)はアジアで何をしたか
◎アウシュヴィッツ強制収容所
◎沖縄と日米安保条約
◎ビデオコーナー
◎戦時中の国民の暮らし
◎「治安維持法」とは何だったのか
◎核兵器廃絶と広島・長崎
- 写真あり -
( 写真説明 ) 10周年記念戦争展の準備を進める実行委員の皆さん

★問い合わせ★
「平和のための富士戦争展」実行委員会事務局 富士市職員組合 内線2151


皆さん、今回の特集をごらんになって、何かを感じとっていただけたでしょうか。ことしで、終戦52年を迎えますが、私たちが住む富士市でも、反戦平和を訴える活動が続けられているのです。皆さんもいま一度、戦争の悲惨さと平和のとうとさについて考えてみてはいかがですか。
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