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【広報ふじ平成9年】富士の民話あれこれ

和田川のおその水道
 昔の和田川は、水量が多い上に流れも速く、ところどころに深い淵(ふち)がありました。特に、現在の平家越え橋の下手には「おその水道」と呼ばれた深い淵があったと言われています。今回はこの淵に伝わるお話を紹介します。

 江戸時代のころの吉原宿は大変繁盛していました。
 吉原宿には「おその」という名前の若くて人気のある芸者がいて、みんなにかわいがられていました。ところが、おそのはいつしか体が弱くなり、働くことができなくなりました。すると主人は稼ぎがないと言って殴ったり、け飛ばしたりして毎日いじめていました。おそのは悲しくなって主人を恨みながら、ここの淵に身を投げて死んでしまったのです。
 それから間もなく、おそのの幽霊が出るといううわさが広まり、夜遅くなるとここを通る人がいなくなりました。
 この淵は東海道の吉原宿の東の外れです。幽霊のうわさで吉原宿に人が来なくなっては困るし、第一おそのがかわいそうだという声が人々の中から起きました。
 そこで、あるお寺のお坊さんがほこらを建てて「おその地蔵」を祭り、お経を読んでおそのの霊を慰めました。すると幽霊は出てこなくなったということです。
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和田川の近くで生まれ育った
佐野章吾さん(依田橋町)
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 私の父親は雑学のある人で、いろいろな話をしてくれたけど、残念ながらおそのさんの話は聞いたことがないし、おその地蔵も見たことないですね。
 でも、確かに平家越え橋の下手は川がカーブしていて、流れも急だったし、深さも水量もあったから身投げをしたら死んでも不思議はない場所でした。川は私の遊び場でしたが、そこはあまり近づきたくない場所でしたね。それに、あのあたりは人家がほとんどなくて、夜になると寂しい場所だったから、幽霊が出るなんてうわさを聞いたら、本当に怖かったと思います。
 私が子供のころの和田川は、砂利船が行き来したり、水車小屋で精米をしたりしていました。よく水車小屋までお米を運ぶのを手伝ったものです。夏にはホタルも見られたんですよ。そのころのきれいな川が懐かしいですね。
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