皆さんにとって、川はどんな存在ですか。川は私たちの生活に欠かせない大切なものなのですが、川は余りにも身近にありすぎて、深く考えたことはないのでは…。7月と8月の2か月間は、河川愛護・美化運動期間です。これを機会に、川について考えてみませんか。
水を治める
川は、台風や豪雨のとき幾度となく暴れ、人々の生命や財産を奮ってきました。しかし、堤防や護岸を築くことによって、水を治めてきました。
かりがね堤(古郡氏三代の築堤の碑)
江戸時代の初め、古郡氏三代が60年かけて逆L字型の堤防をつくり、富士川の洪水を治めたという話は有名です。この堤は、富士市の治水事業の偉大な歴史を刻んでいます。
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原田雨水貯留池
松原川流域では、市街化が急速に進んだことなどから、下流部では大雨のとき、たびたび浸水被害が生じていました。そのため、治水対策として、雨水貯留池が平成7年に完成しました。
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富士早川(宮島)
富士早川のたび重なるはんらんを防ぐため、川の改修工事を行い、川底を下げ、川の幅を広げています。
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水に親しむ
最近では、コンクリートで固められただけの川よりも、自然に優しく潤いのある川が求められています。
新堀(松岡)
水辺に降りて水に親しめるよう整備されています。
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山根荒川(比奈)
川にくいを打ったり、入り江にしたりして、魚などの生物がすみやすいようになっています。
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水を使う
農業・工業・防火用水として利用されています。特に、製紙工場では水を多く使うことから、川の水が必要不可欠となっています。
田子浦公民館東側用水路 田んぼには欠かせない川の水。
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富士市の河川
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( 図表説明 ) *このほか、名前のない小河川や水路が数多くあります。なお、富士市には2級河川はありません。
安全で皆さんから愛される川づくりを
河川課 明石忠勝課長
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昔の人は、川の傍(かたわ)らで、川の水の恵みを受けて生活を営み、川と深くかかわってきました。また、川は動物や植物にも生命の源として恵みを与えてきました。現在でも、川が果たしている役割は、治水、用水、親水などさまざまあります。市では、これらの役割をより生かすために、国や県と連携してさまざまな事業を行ってきました。
しかし、川は私たちの生活に密着しているものであるにもかかわらず、最近は空き缶などのごみが捨てられて、汚れた状態になってしまいました。これでは、川に親しみが持てず遠い存在となりがちです。富士市では、富士山の地下水が豊富なことから、川の水は飲料水にはなっていませんが、他地域の人たちにとっては川の水は命の水なのです。いま一度、川の大切さを再認識して、みんなで力を合わせて、川を守っていきましょう。
河川の管理や改修には膨大な費用がかかりますが、市民の皆さんの生命、財産を水害から守ることをまず念頭に考え、安全で皆さんから愛される川づくりを目指していきます。
7月1日〜8月31日は河川愛護・美化運動週間
川をきれいにする。川をよごさない
◎街頭PR
とき 7月22日(火曜日)16時〜17時
ところ 静岡銀行吉原支店前、JR新富士駅前、JR富士駅前
◎親と子の河川美化ポスター展
各保育園児がかいたポスターを展示。
とき 8月1日(金曜日)〜10日(日曜日)
ところ ロゼシアター 1階ガレリア
*そのほか、魚の放流や河川パトロールなどを行います。
田宿川を守る人々
田宿川の周辺に住む皆さんは、今泉6町内河川委員会を中心に、田宿川を守るためのさまざまな取り組みをしてきました。その努力のかいあって、田宿川は平成3年には、優れた水辺に贈られる「静岡県のみずべ百選」として認定されました。また、平成6年には、富士市民憲章推進協議会から、明るい地域社会づくりに貢献したとして今泉6町内河川委員会に表彰状が贈られました。
ここでは、田宿川を愛し、守り続ける人たちの取り組みを紹介します。
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( 写真説明 ) 年に7回ほど、町内を挙げて川に入って清掃を行っています
( 写真説明 ) めっきり水量が減ってきたため、川底にも草が生えるようになってきました。清掃では、草取りも重要な作業となっています。川の近くに住む一人は、「5、6年前までは、休日にはわき水が出ていたけれど、今はあまり出ていません。水がないと生活にも潤いが出てこないし、防火用や農業用の水のことも心配になってしまいますね」と話してくれました。
( 写真説明 ) できるだけ自然を残そうと、4年前、河川委員会の手によって川べりにショウブが植えられました。そのかわり、草も取らなければならないとのことですが、コンクリートの護岸より優雅で心を和ませてくれます。
( 写真説明 ) ポイ捨て防止の看板があるにもかかわらず、川には缶や瓶などのごみがいくつも見られました。清掃に参加した一人は、「いつも缶や茶わんのかけらが落ちています。川はごみを捨てやすいのでしょうか」と嘆いていました。
( 写真説明 ) 栄町公園から川に降りられるよう、矢板で足場が整備され、水に親しめる空間として、子供たちの格好の遊び場となっています。
田宿川の思い出を語る
外山勇さん(今泉7丁目)
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昔の田宿川は、広くて水が飲めるくらいきれいでしたね。三日市浅間神社の池にわき出ている水が流れてきて、水も豊富だったし…、ハヤやウナギ、ズガニもいましたね。周りも一面田んぼで、自然そのもの。よくここで泳いだりして遊んだもので、懐かしい思い出となっています。でももう、昔の面影はありませんね。
みんなで協力して自分たちの川を守る
今泉六町内河川委員会委員長 小澤進さん(今泉5丁目)
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このあたりは、13年前まで台風で年じゅう床上浸水の被害に遭っていました。また、そのころの田宿川は、見るも耐えられないほど汚くて、ひどい状態でした。それで17、8年前から今泉地区の町内がいくつか集まって、川の悪いところを直したり、清掃をしたりしてきました。そして、約10年前今泉六町内河川委員会を結成し、田宿川を初め和田川、今泉用水路などの河川にかかわる活動を本格的に行うようになり、一斉清掃やたらい流し川祭り、コイやマスの放流などを行ってきました。
こうしたみんなの努力のおかげで、他地域の人たちからこの川の水はきれいだとよく言われるようになりましたね。みんなの力で自分たちの川を何とかしようという気持ちが大切なんだと思います。
ただ、川を自分のものだと思っている人が多いですよね。川にごみをポイ捨てすれば、それが海に流れていって船や魚などに被害が出るなんて何にも考えていないと思います。自分勝手なことはせず、もっと川のことをまじめに考えてほしいですね。
今後、川の水はもっと貴重なものになっていきます。これからも行政に働きかけながら、川の整備を行っていきたいと思っています。
たらい流し川祭り
子供のころから川を愛し、この田宿川のきれいな泉を守り育てていく伝統を育成しようと毎年行われているお祭りです。小学生から大人までが、一寸法師になった気分でたらいの船をさお一本で操り、ゴールに向かって競争します。
7月27日(日曜日)9時〜 田宿川流域にて
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河川についての問い合わせ 河川課 内線2461