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【広報ふじ平成9年】富士の民話あれこれ

浮島沼の沼のばんばあ
 浮島沼が広々とした大沼だったころ、夕方から夜にかけて、低く太いうめき声が沼のどこからともなく聞こえました。これを沼の周辺の人たちは、「沼のばんばあ」と呼んで恐れていました。今回は、「沼のばんばあ」のお話を紹介します。

 昔々、浮島村にかわいい子供連れのおばあさんがやってきました。おばあさんは、村人たちから物をもらいながら、暮らしを立てていました。
 村人たちは、かわいい子供に同情して物を与えていましたが、たび重なるにつれて、おばあさんを毛嫌いするようになりました。そこで、おばあさんは、人里離れた沼のほとりに住むことにしました。
 そして、長雨の続いたある年の6月、特にひどく降った雨のため、おばあさんの家は、一晩のうちに流されてしまいました。流れはどんどん速くなり、子供の姿も見えなくなりました。おばあさんは、流されながらも子供の安否を気遣い、「ボー、ボー」と子供を呼び続けました。でも返事はありません。そして、大きなうねりにのみ込まれ、子供もおばあさんも、とうとう死んでしまいました。
 それからというものは、夜になると、おばあさんが子供を呼んだ「ボー、ボー」という声が沼から聞こえるようになりました。村人たちは、この声を「沼のばんばあ」と呼び、恐れていたということです。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 昭和15年ころの浮島沼。当時、この周辺の水田は、腰から胸まで埋もれてしまう水田がかなり見られ、ドブッタなどと呼ばれていました。
( 写真説明 ) 現在の浮島地区の田植え


浮島沼の近くに住む 高橋武次郎さん(境)
- 写真あり -
 私が子供だったころは、浮島沼が遊び場でしたね。夏になると、フナやドジョウ、ウナギをとって遊んでいました。でも、昔の沼は深みがところどころにあって、とても危険でした。
 それで、祖母からよく「暗くなると沼のばんばあに連れていかれて、お尻のこう門を抜かれちゃうよ」と脅されたものです。事故に遭わないよう、深いところには気をつけるようにということと、稲を傷めたりしちゃだめだよということだったのですね。また、だだをこねたりして怒られたときにも言われました。今から考えると、「ボーボー」という声は、食用ガエルの声だったんじゃないかなと思います。
 この話は、もう知っている人も少ないのでは…。今の子供たちは、忙しくて沼で遊ぶこともしませんね。
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