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【広報ふじ平成9年】特集・食中毒に御用心!

食中毒から家族を守りましょう

気温と湿度が高くなり、食中毒の発生が気になる季節となりました。皆さんも、昨年のO157(オーいちごなな)による食中毒騒ぎは、記憶に新しいのではないでしょうか。
食中毒というと集団給食や外食が原因と思われがちですが、皆さんが毎日食べている家庭の食事でも発生するのです。
そこで、今回は、皆さんの楽しい食卓を脅かす食中毒について特集します。食中毒が発生しやすいこれからの時期、皆さんも食中毒に気をつけましょう。

 私たちが楽しく食事をするために、身につけておくと役立つ食中毒の知識。富士保健所の藤井正司さんから、O157を中心に食中毒の発生状況や症状、予防のポイントなど、お話を伺いました。

富士保健所食品衛生課 藤井 正司(まさし)さん
- 写真あり -

死者を出したO157

 昨年の腸管出血性大腸菌O157騒動は、日本じゅうを不安に陥れました。昨年1年間で、約9,500人が感染し、うち12人が死亡しました。このため、昨年発生した食中毒の件数は、ここ10年余りで最悪となりました。
 こうした状況から、厚生省は食中毒の被害を防ぐため、O157を指定伝染病に指定するとともに、大規模調理施設向けと家庭向けに分けて、食品衛生管理マニュアルを作成しました。


ことしも流行の兆し

 O157は、汚染経路や原因などにおいて不明な点が多く、また多くの種類の菌が発見されています。ですから、日本全国に広く分布している可能性が高く、「いつ、どこで発生してもおかしくない」という、依然として予断を許さない状況となっています。
 そして、ことしに入ってからも 発生が報告されるなど、ことしも流行の兆しを見せています。


特徴は強い感染力、早い増殖

 O157の怖さは、その感染力の強さにあります。他の食中毒菌では、発病するのに100万個以上の菌が必要だと言われていますが、O157は、100個程度という少ない菌数でも発病すると言われています。しかも、増殖がとても早いのが特徴です。食品を室温(20度以上)に放置すると、菌が約15分から20分で2倍に増加します。たった1個の菌がいただけで、約2時間20分後には100個以上にふえてしまい、発病する危険が出てくるのです。
 また、食中毒の主な症状は、腹痛や下痢、吐(は)き気、嘔吐(おうと)などですが、O157はこの症状に血便を伴い、ひどい場合は、ほとんど血液だけの状態となります。乳幼児や小学校低学年、お年寄りなど、体力のない人の中には、溶血性尿毒症症候群を併発し、死に至る場合もあります。
 そのほか、O157は、他の食中毒に比べて潜伏期間が長いのが特徴となっています。


家庭でも発生する食中毒

 昨年のO157騒動では、報道などで集団給食による感染が大々的に取り上げられていましたが、もちろん家庭でもO157は発生します。O157を含め、家庭の食事が原因と考えられる食中毒事例も数多く報告されています。


予防の3原則を守れば怖くない

 日常生活の中では、無数に存在する食中毒菌から逃れることはできません。しかし、O157を含めて食中毒は、それほど恐ろしいものではありません。菌は熱に弱く、75度で1分間以上加熱すると死滅します。また、消毒剤でも死滅します。
 食中毒を予防する大原則は、食中毒菌を「付(つ)けない、増(ふ)やさない、殺す」の三つです。具体的には、この3原則に基づいて作成された食中毒防止のための家庭用マニュアルに書かれている6つのポイント(4・5ページで紹介)を守れば食中毒は防止できます。
 そのほか、食中毒菌に対する抵抗力をつけることも重要です。日ごろから規則正しい生活を心がけ、健康維持に努めましょう。
 そして、もし食中毒の症状が出た場合は、大至急最寄りの病院で医師の診察を受けてください。


食中毒予防の3原則
「菌を付(つ)けない、増(ふ)やさない、殺す」
- 図表あり -


安全でおいしい給食を目指して

 市内の小・中学校や保育園などの集団給食の現場では、おいしい給食を目指すとともに、食中毒の集団発生を防ぐため、衛生面で細心の注意を払っています。 
 具体的には、調理の各工程での重要なポイントを示した「衛生管理チェックリスト」に基づき行っています。その中から主なものを紹介します。
・食材の当日納入、当日調理を原則
・調理員の前かけ、長靴などの服装を清潔に
・調理後に時間がたたないように、できるだけ給食時間に合わせて調理
・保育園では、乳幼児は抵抗力が弱いということを考慮したメニュー(例えばハンバーグは中心まで火が通りにくいので出さない)と調理方法(卵は殻を消毒してから調理)
・学校では、調理員の服装とまな板、包丁などの調理器具は、下処理室と調理室で別々の物を使用
・二次感染のないように、包丁、まな板などの調理器具は、使用した都度殺菌消毒
・野菜は、水洗いを丁寧に行い、原則として加熱処理し、生野菜は出さない
・肉・魚類の調理については、中心温度が75度以上1分間以上になることを中心温度計で確認
・子供たちに石けんでの手洗いを励行
・給食当番には、健康状態の確認と衛生的な服装について指導。保育園では、子供たちに衣服の着がえを励行
・食器、食缶は、食器消毒保管庫で熱風消毒
・万一、食中毒の疑いが出た場合に備えて、原材料から調理済みの食品を零下20度以下で2週間保存。平成8年度に各学校・保育園に保存食の専用冷凍庫を購入
- 写真あり -
( 写真説明 ) 子供たちは、給食が大好き

食中毒を予防する6つのポイント

 食中毒から家族を守る方法を、毎日の買い物から後片づけまで、6つのポイントに分けて御紹介します。皆さんはどのくらい実践していますか。この6つのポイントをきっちり守り、家庭から食中毒をなくしましょう。
 なお、井戸水を使用してる家庭では、水質にも注意してください。
*写真は、健康づくり推進員を対象に保健女性センターで行われた食生活改善講座から

1 食べ物を買うとき

●肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮な物を。消費期限のある物は、必ず確認する。
●購入したら、肉汁や魚などの水分が漏れないように、それぞれ別のビニール袋などに入れる。
●冷蔵や冷凍などの温度管理が必要な物は、買い物の最後に。買ったら真っすぐ帰る。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 肉や魚などの汁が、野菜などのほかの物につくと危険。ビニール袋などに入れて別々に


2 食べ物を保存するとき

●冷蔵や冷凍が必要な物は、持ち帰ったらすぐ保存する。
●冷蔵庫や冷凍庫の詰め過ぎに注意。7割程度に。
●冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は零下15度以下に維持するのが目安。ただし細菌が死ぬわけではないので、温度管理とともに早目に使い切るようにする。
●肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れて、冷蔵庫の中のほかの食品に汁がかからないようにする。
●肉、魚、卵などを取り扱うときは、取り扱う前と後に必ず手を洗う。
●流し台の下に食品を保存するときは、水漏れに注意。床には直接置かないように。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 冷蔵庫の詰め過ぎは冷気が効かなくなる原因

3 調理の下準備をするとき

●台所にごみがあったらまず捨てる。タオルやふきんは清潔なものを使う。調理台を片づけて広く使えるようにしておく。石けんの用意も忘れずに。
●何はともあれ、手を洗う。
●肉、魚、卵などを扱った後や、動物にさわったり、トイレに行ったり、おむつ交換をしたり、鼻をかんだりした後は、必ず手洗いを。
●肉や魚などの汁が、果物や野菜など生で食べる物や調理が済んだ物にかからないように。
●包丁やまな板は、肉や魚を切った後に一度熱湯で洗うこと。できれば、肉用、魚用、野菜用とそれぞれ別々にそろえて、使い分けるとさらに安全。
●ラップしてある野菜もよく洗う。
●冷凍してある食品を室温で解凍するのは危険、冷蔵庫か電子レンジを使う。水で解凍するときは気密容器に入れて流水で。使う分だけ解凍し、解凍したらすぐ使うこと。冷凍や解凍を繰り返すのは避けるように。
●包丁、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後はすぐに洗剤と流水で洗うこと。漂白剤に一晩つけ込むのも効果的。洗った後、熱湯をかけると消毒効果があり、煮沸すればなお確実。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 手洗いは食中毒予防の基本中の基本。しっかり石けんで洗いましょう
( 写真説明 ) 熱湯で滅菌消毒


4 調理をするとき

●調理の前に、台所を点検。タオルやふきんは乾いた清潔な物に交換し、手を洗う。
●加熱するときは、食品の「中心部を75度で1分間以上」を守る。
●料理を途中でやめるとき、食品を室温で放置するのは危険、必ず冷蔵庫に。再び調理するときは十分加熱する。
●電子レンジは、レンジ用の容器を使う。熱の伝わりにくい物は、時々かきまぜる。
●調理前、調理後の食品は室温に長く放置しない(O157は室温だと15〜20分で2倍にふえます)。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 加熱調理の基本。温度計を使ってはかるのがベスト


5 食事をするとき

●食卓につく前に手を洗う。
●盛りつけは、清潔な手で、清潔な器具を使って、清潔な食器に。
●温かい料理は、いつも65度以上に、冷やして食べる料理は、いつも10度以下が目安。


6 残った食品の取り扱い

●残った食品を扱う前にも手を洗い、清潔な器具と皿を使って保存。
●残った物は、早く冷えるように浅い容器に小分けして保存。
●時間がたち過ぎたら、思い切って捨てる。
●温め直すときは、75度以上を目安に十分に加熱する。みそ汁やスープは沸騰させる。
●少しでも怪しいと思ったら、口に入れずに捨てる。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 残り物は小分けして保存


講座に参加して…

堀内みや子さん(今井1丁目)
- 写真あり -
 今まで肉や魚の汁がほかの物につかないように、買い物の時点から別のビニール袋に入れて分けることまではしていませんでした。また、暑くなってくると冷蔵庫につい物を詰め過ぎてしまいます。これからは、気をつけたいと思います。

萩 京子さん(久沢)
- 写真あり -
 まな板や包丁の熱湯消毒は、今までもしていましたが、スポンジやたわしの消毒までは気がつきませんでした。また、鼻をかんだだけでもブドウ球菌がつく場合があるなんて知りませんでしたね。


問い合わせ
◎食中毒について
 O157予防対策富士市推進本部事務局 保健女性センター 電話64-8990
 富士保健所食品衛生課 電話65-2154
◎小・中学校の給食について
学校教育課 電話51-0123 内線2732
◎保育園の給食について
児童福祉課 電話51-0123 内線2329
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