お菊さんと一町六反
比奈にある市立昭和幼稚園の片隅に「お菊塚」があり、毎年6月上旬には、園児と父母による「お菊まつり」が行われています。
江戸時代にまつわる働き者のお菊さんと一町六反の話を紹介します。
東国のお菊さんは、若いころ遊ぶことが大好きで、毎日毎日遊びほうけていました。しかし、ある晩、死んだ父親の夢を見て今までのことを反省し、働かなくてはいけないと決心しました。
東海道を西に下って比奈村まで来たお菊さんは、景色のよいこの村が気に入り、住むことにしました。そして、百姓の手助けをして、朝から晩まで村人が驚くほどよく働きました。
いつしかお菊さんは、村人にかわいがられ、そのうち自分でも田を買って一町六反の田をつくるようになりました。
その日もお菊さんは、朝早くから田植えをしていました。もう少しで終わろうというとき、太陽が西の山に沈もうとしていました。「ああ、お天道(てんとう)さまが、もう少し待ってくれたらなあ」。するとどうでしょう。沈みかかっていた夕日が、西の山から顔を出してきたではありませんか。「ありがたや。ありがたや」と言って、田植えが終わると、お菊さんはそのまま倒れて死んでしまいました。
それから後、この付近の田を、だれかれとなく一町六反と言うようになり、お菊塚が建てられたということです。
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( 写真説明 ) 昨年のお菊まつり
昭和幼稚園PTA役員 高橋富美子さん(比奈)
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ことしのお祭りは、6月6日に行う予定で、園児が折り紙でお飾りをつくったり、お供え物をしたりします。また、私たちPTA役員も協力して、この園に代々受け継がれているPTA手づくりの大型紙芝居も行います。
この民話は、園歌の3番の歌詞にもなっていて、子供たちからも「働き者のお菊さん」の話として親しまれています。この民話を通して「頑張って働くことはよいことだ」ということが子供たちに伝わり、我慢強い子供になってくれたらいいなと思っています。また、この地域の民話として、幼稚園の子供から親に、そして地域の皆さんに広まっていくといいですね。
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( 写真説明 ) 大型紙芝居