忍び寄る覚せい剤の影(3)
恐ろしい依存症
「覚せい剤の使用は、身体に害がある」ということは、だれもが漠然とながらもわかっていることでしょう。しかし、覚せい剤使用の本当の恐ろしさは、意外と知られていないものです。
覚せい剤を使用すると、眠気や疲労感がなくなり、気分が高揚し、頭がさえたような感覚になります。しかし、それは一時的なもので、薬の効果が切れると、激しい疲労感や不安感に襲われます。そこで、これらの不快感から逃れようとしたり、最初に味わったいい気分を求めたりするようになります。これを「精神的依存症」と言います。また、使用をやめると、発熱したり関節が痛んだりするようになります。これを「身体的依存症」と言います。
このような依存症になると、いくら使用をやめて病院で治療を受けたとしても、完全に治癒することが難しくなります。ほぼ、正常な状態にまで回復していたにもかかわらず、ストレスや睡眠不足などが原因で、突然幻覚や妄想などの異常体験が再現されてしまうことがあります。これを「再燃現象」と言います。
覚せい剤使用の本当の恐ろしさは、この再燃現象が後々まで残るということです。使用しなくなれば、治ると考えられがちですが、それは明らかに間違いです。しかも、依存症になる程度は人によって異なり、一回の使用でも依存症に陥ってしまうこともあります。「一回だけなら大丈夫」「いつでもやめられる」と、覚せい剤を甘く見てはいけません。たった一度きりの使用でも、大きな代償を支払わなくてはならなくなるのです。
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( 写真説明 ) 若者たちをねらう覚せい剤の魔力(本文とは関係ありません)