忍び寄る覚せい剤の影(1)
青少年にまで及ぶ覚せい剤汚染
平成8年に富士警察署が覚せい剤の所持、密売などで検挙した人数は104人。県内の検挙者数の13.3%を占め、県下第1位という不名誉な結果が出ています。
富士市で覚せい剤汚染が進んでいる理由の一つとして、暴力団員の多さが挙げられます。覚せい剤使用は、サラリーマンや家庭の主婦などの一般市民にまで及んでおり、暴力団の最大の資金源となっています。
例えば、人が多く集まる場所などで、疲れたような表情の人を売人が見つけると、「疲れがスッと取れる」と言葉巧みに近づいて覚せい剤を売りつけるなど、手口は巧妙です。また、長時間眠くならずに仕事ができる、と覚せい剤に手を出してしまう人が多いのも富士市の特徴です。
最近では全国的な傾向ですが、使用者の低年齢化も大きな問題です。「一度だけなら大丈夫」「何となくおもしろそう」などとちょっとした好奇心、遊び感覚から青少年が覚せい剤に手を出すケースが増加しています。
自分や家族を守るために
一般の人は、覚せい剤に関する知識が低いため、最初は知らずに使用していた、というケースがほとんどです。しかし、青少年が覚せい剤を使用する場合は、その恐ろしさに対する無知が原因です。
覚せい剤には、疲労や眠気がなくなる覚せい作用と興奮作用があります。しかし、その一方、不眠になり体力を消耗、効果が切れると脱力感に襲われ意欲低下、乱用すると猜疑心や攻撃性が増し錯乱状態になるなど、さまざまな恐ろしい副作用が待ち受けています。
使用方法は、白濁結晶を水に溶かして静脈注射するのがほとんどですが、飲料に溶かして飲むほか、最近では加熱して煙を吸入する方法もふえています。俗称として、「シャブ」「スピード(S)」「アイス」とも呼ばれています。
もしかしたら、あなたの近くにも魔の手が伸びてくるかもしれません。たまには家族で、覚せい剤について話し合うことも必要ではないでしょうか。