年々増加している悪徳商法による被害。その手口はより巧妙になり、内容も複雑化しています。
悪徳商法は許されるものではありません。しかし、消費者も、だまされるのが嫌ならば、物事を見極める確かな目を持たなければなりません。
ここでは、富士市で起きた実例を紹介します。「私に限って、悪徳商法なんかにはだまされない」と豪語するあなた、うっかり落とし穴にはまらないよう、御用心!!
- 図表あり -
( 図表説明 ) 消費生活センターに寄せられた年度別相談件数
訪問販売等に関する法律が一部改正されました
○電話勧誘販売が新たに法規制の対象になりました
悪質な電話勧誘販売とは
突然、勤務先などに電話がかかってきて、業者から「行政書士や旅行業務取扱主任などの国家資格が簡単に取得できます」と言われます。それに対して「結構です」とか、あいまいな返事をしてしまうと、後日、関係書類一式が送られてきます。そこで、業者に電話をして「講座の申し込みはしていない」と言うと、「既に登録されているので解約はできない」と言われ、高額の受講料を請求された、というような手口の商法です。
このようなケースは、そもそも契約が成立していません。しかし、こうした消費者トラブルが多くなっていることから、次のように法改正されました。
販売業者は…
氏名などの明示、契約締結意思のない人への継続的勧誘・再勧誘の禁止、事実に反する説明やおどして困らせる行為の禁止、契約内容を記した書面交付などが義務づけられました。
消費者は…
「クーリング・オフ」(※)ができるようになりました。(訪問販売と同様、書面をもらった日から8日間)
○連鎖販売取引(マルチ商法)の規制が強化されました
連鎖販売取引(マルチ商法)とは
商品やサービスの販売組織の会員が、新たな会員を勧誘し、その会員がさらに新たな会員を入会させる、ということの繰り返しにより組織をピラミッド式に拡大していくというシステム。入会の際には高額な商品を購入するなどの金銭的な負担が必要となっていることが特徴です。また、人を紹介することによりマージン収入がある、などとだれでも簡単に高収入を得られるかのような説明がなされますが、実際には説明どおりの収入を得られることは、ほとんどありません。
改正のポイント
●禁止行為のうち、事実に反する説明やおどして困らせる行為について、規制対象者が連鎖販売を行う人全体に広がりました。
●「クーリング・オフ」期間が14日間から20日間に延長されました。
※訪問販売などで結んだ契約を、頭を冷やして(クーリング)考え直し、消費者の方から無条件解約(オフ)すること
気をつけて! あれや これやの こんな手口
訪問販売や電話勧誘などで、言葉巧みに高額商品やサービスを勧められ、ついその気になって契約してしまう。平成7年度、富士市消費生活センターに寄せられた相談件数は何と670件。過去最高の件数に上りました。
その中から、特に最近ふえつつあるケースを紹介すると…。
【学習指導を強調し、高額な学習教材を販売】
まず、家庭教師らしきセールスマンが家にやってくる。「責任を持って指導するので合格目指して頑張ろう」と親身になって話すので信用して契約。その後、一度に大量の学習教材が送られてくるが、最初に「責任を持つ」と言ったセールスマンはなかなかやってこない。学習教材の山だけが残ってしまったので解約したい。
ポイント
●この場合、8日間以内の無条件解約(クーリング・オフ)が可能。学習塾や家庭教師ではなく、一度に大量の教材を販売することが目的。家庭教師だけなのか、学習教材の勧誘なのか、最初に販売目的や商品をよく確認しましょう。
【高齢者をターゲットにした催眠商法】
安売りや講習会などの名目で人を集め、会場で日用雑貨を無料で配り、雰囲気を盛り上げて興奮状態にし、最後に羽毛布団などの高額商品を売りつける…というのが催眠商法の手口。最近では、「家庭で手軽に指圧と温熱治療ができる」というマッサージ器(電気指圧器)に関する相談がふえている。その場の雰囲気で効用を信じ、契約してしまったが、家で使ってみるとあまり効果を感じない。高額なので返品したいのだが…。
ポイント
●クーリング・オフが可能。その場の雰囲気にのまれ、無料で景品をもらったという負い目で購入してしまうことは避けましょう。
【若者をねらうアポイントメントセールス】
電話で「旅行やブランド品が安くなります。直接会って説明したい」と言われ、出かけていくと、「会員になると特典があり、旅行に安く行けるし、いろいろな物が割引価格で買える。小遣いの一部をクラブに納めるだけで一生会員権が使える。生活に役立つビデオソフトもつくので入会すると得です」との説明を受けて契約。しかし、その後、高額なビデオソフトの契約だったことがわかり、解約を求めたが拒否された。
ポイント
●突然の電話で「あなたは選ばれた、絶対に得する」などというのは、呼び出すための口実にすぎず、ビデオソフトやダイヤモンド、パソコンなどを売るのが目的です。特に若者を狙った商法で、喫茶店などで何時間も数人の販売員に勧誘され、疲れ果てて契約することになります。割引会員権の利用価値は、あまりありません。このように、電話でアポイントを取り、販売目的を告げずに消費者を呼び出すアポイントメントセールスは、事務所や店舗などで契約した場合でも、クーリング・オフが適用できます。
消費生活相談
勧誘を受けて迷ったとき、契約してしまったけれど解約したいときなどは、すぐに保健女性センター2階消費生活センターへ。
相談方法 電話または来所
とき 毎週月曜日〜金曜日 9時〜16時
電話 64-8996