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【広報ふじ平成8年】ハンディを乗り越えみんなイキイキ!!

県立富士養護学校(大渕)

秋晴れの青空のもと笑顔が輝き歓声がこだまする

 10月のとある快晴の一日、大渕にある県立富士養護学校で芋掘りが行われました。土の中から大きく成長したサツマイモが顔を見せると、一斉に歓声が上がります。一つ一つ丁寧に収穫したサツマイモは、2台のリヤカーに山積みされるほどの豊作でした。
 この日、芋掘りに参加したのは、高等部の1・2年生43人。養護学校の近くに住む佐野ゆき江さんが所有している畑を無償で借り、高等部1年生の農耕班が作業学習の一環として、草取りや肥料・水やりなど、丹精込めて育てたサツマイモです。
 佐野さんが提供してくれる土地や水のほか、栄養たっぷりの堆肥(たいひ)は富士宮農高の無償提供によるもの。大きなサツマイモの中には、多くの人たちの温かな善意がいっぱい詰まっています。

 富士養護学校は、平成2年に開校。小・中・高等部があり、地域の障害児教育の中心を担っています。
 また、学校と家庭との連携だけでなく、地域住民や他の学校との交流も盛んに行われています。富士地区の高校生がボランティアとして養護学校を訪れ交流を深めたり、大渕の農協青年部の人たちと年末にもちつきをしたり…。
 この学校に通う生徒は、知的障害や肢体不自由、自閉傾向など、何らかのハンディを待った子供たち。けれど、みんなとても明るく、生き生きとし毎日の学校生活を送っています。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 大収穫に沸く県立富士養護学校の皆さん
( 写真説明 ) どう?このサツマイモ大きいでしょ

重度障害者生活訓練ホーム ひかりの丘(厚原)

ハンディをものともせず自分の才能を伸ばしながら生き生きと輝く私たちの仲間
深沢恒召(つねあき)さん(入山瀬)
- 写真あり -

 ひかりの丘は、身の回りの自立を目指して、生活訓練を行う通所施設です。
 現在12人のホーム生は、重度の心身障害に負けることなく、機能回復訓練を初め、食事やトイレ、車イスの乗りおり、衣類の着脱など、日常のさまざまな場面を想定しての生活訓練に励んでいます。
 取材で訪れた木曜日は「クッキングデー」と称して、みんなで昼食をつくります。この日のメニューはとん汁。みんなで仲よく野菜を切って、具が煮えると大にぎわい。自分たちがつくった料理の味はまた格別です。

 隠れた才能に磨きをかけるひかりの丘のホーム生。趣味や特技の修練にも励みます。
 高校生のころの交通事故で右半身の機能や左目の視力をほとんど失った深沢恒召(つねあき)さんは、ハンディを負った生活の中で感じたことや見たことを、なれない左手で筆に託します。
 「ほんとは死んでいた この命。神様はみすてはしなかった」「人生は やり直しがきかない」など、自由に思いを表現する詩に心打たれます。
 また、毎日ワープロで日記をつけ、目覚ましい上達を見せる脳性マヒの男性、富士マリンプールでの水遊びや職員と一緒にホームへ寝泊まりする一泊宿泊体験にチャレンジした女性など、ひかりの丘の仲間は、ハンディをものともせず、生き生きと輝いています。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 毎週木曜日は「クッキングデー」みんなでワイワイ、昼食づくり


福祉に生涯をささげる
富士和光学園園長 北野 智照(ちしょう)さん
- 写真あり -
 「私の名前って珍しいと思いませんか。実は、出家して改名したからなんです」
 北野さんは寺の娘として生まれました。そして、大学を卒業して7年間、高校数師を勤めた後、福祉の世界へ飛び込みました。それから35年、福祉の仕事に全精力を注いでいます。
 富士和光学園(大渕)は社会福祉法人誠信会の精神薄弱者更生施設。誠信会は、ほかにも市内に誠信少年少女の家や岩倉学園、富士本学園、富士楽寿園などの福祉施設を運営しています。北野さんは当時の曹洞(そうとう)宗の管長(最高位)の引き合わせで誠信会の初代理事長と出会い、創設時から運営に携わっています。
 「よく『福祉とは人を幸せにすること」だと言われます。しかし、幸せとは、お年寄りや体の不自由な人、知恵おくれの子供たちなど、それぞれ違うものですよね。ですから、私たちは、相手が何を求めているのか、何を言いたいのかを的確にとらえ、一人一人の生きる権利を守っていかなければ…と思います。
 富士和光学園の園生は、言葉での意思疎通が上手にできません。自分の思いを体でぶつけてきます。言葉のわかる人はうそやお世辞も言えるけれど、園生はうそが言えません。だから、私たちは、いつも真心を込めて対応しています。
 また、地域のボランティアの皆さんの協力も忘れてはいけません。健常者との交流を探め、垣根のない社会になっていけばいいなと思います。
 私は出家し、ずっと結婚せず福祉に人生をかけてきました。けれど、まだまだ園生によって私自身が磨かれることも多いですね。毎日が発見の連続で、福祉の仕事は一生、勉強だと実感しています」


 私たちのまちが、心身にハンディを持つ人たちと健常者がともに手をつなぐ、笑顔の絶えない明るいまちになればいいなって思いませんか。そのためには、もっとお互いを知り、もっとお互いを思いやり、自分自身の意識を高めていくことが大切なのではないでしょうか。
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