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【広報ふじ平成8年】富士の民話あれこれ

かんかん堂
 伝法滝下(伝法一丁且)の、もと鎌倉街道といわれていた道路際に、かんかん堂と呼ばれるところがあります。
 今はもう、お堂は残っていませんが、そこには、大きな題目碑と芭蕉(ばしょう)の句碑が建てられています。
 今回は、かんかん堂の隣に住む古郡(ふるごおり)国雄さんから、お話を伺いました。

 かんかん堂は、地元の豪族だった後藤六左衛門という人の弟、惟善(これよし)が、善入庵(ぜんにゅうあん)というお堂と3基の題目碑を建てたところです。
 昔、このお堂が古くて壊れそうになったので、村人が再建しようとしたところ、題目碑の下の土の中からすべすべした浜石がたくさん出てきました。そして、その石全部にお経が書かれていました。
 そこで、村人は穴を掘って、その石を入れ、上に大きな石をかぶせておいたということです。
 三つ並んでいる真ん中の題目碑を小石でたたいたり、小石を投げつけたりすると、不思議なことにこの碑だけが、カンカンという金属的な音を立てました。そんなことから、地域の人に「かんかん堂」と呼ばれ、親しまれています。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 地図
- 写真あり -


古郡国雄さん(伝法一丁目)
- 写真あり -
 今は、碑の下をコンクリートで固めてしまったので音はしないけど、昔は本当にカンカンと音がしました。
 このお堂へ彼岸の中日にお参りすると、どんな病気でも治るといわれていて、昔はたくさんの人がお参りに来たものです。そして皆、小石で音を鳴らしていったので、真ん中の碑だけ、のっぺらぼうになってしまったんですね。
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