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伊勢塚さん
　宮下に「伊勢塚さん」というほこらがあります。ここには、お伊勢参りの途中にこの地で倒れ、亡くなってしまった人を祭ってあり、病気を治す神様として知られています。
　今回は、伊勢塚さんへの朝晩のお参りを欠かさない大石みな子さんから、お話を伺いました。

　今から300年ほど前のことです。何日も雨の日が続いたことがありました。富士川を渡る旅人たちは、渡し船が出ないので、それはそれは困りました。
　その旅人の中に、お伊勢参り途中の一人の重い皮膚病を患った年寄りがいました。どこの家でもその年寄りを泊めてはくれず、しょうがなくとぼとぼと雨に打たれながら、つえを頼りに宮下村まで来て倒れてしまいました。
　幸い、とても親切な家の人たちがその年寄りを泊めてくれました。そして、親身になって手厚い看病をしてくれたのですが、雨の中を何日も歩いて来たために弱り切っていた年寄りは、間もなく死んでしまいました。
　年寄りは死ぬ間際に「どうか私をここへ祭ってください。そうすれば、私と同じ病で苦しむ人たちを救ってあげられる…」と言い残したので、その家の人を初め、村の人たちがほこらを建ててあげました。
　それ以来、そのほこらは「伊勢塚さん」と呼ばれ、病気を治すためにたくさんの人がお参りしたそうです。
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大石みな子さん（宮下）
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　我が家の敷地内に伊勢塚さんは祭られています。伊勢塚さんをお祭りすると、皮膚病が治ると言われており、供えた水を皮膚に塗ると、よく効くそうです。
　また、大石家の祖母から聞いた話ですが、いつごろのことか、伊勢塚さんをほかの敷地へ移したことがあるそうです。すると、宮下村の多くの人たちが病気になってしまいました。そのため、すぐにもとに戻したところ、村人の病気は治ったということです。