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【広報ふじ平成7年】特集●富士市保健計画

健康が一番!

皆さんは健康に自信がありますか?
健康というのは、病気になったり、けがをしたりしたときに初めて、ありがたみを感じるものです。
お金も知識も大切だけれど、やはり健康が一番!
とても長い人生。同じ人生なら、健康で元気いっぱい楽しく生きていきたいものですね。
富士市では、おなかの中の赤ちゃんからお年寄りまでが健康でいられるよう、支援していくための保健事業の基本的な方向性を示す「富士市保健計画」をまとめました。
今回は、この保健計画のあらましを紹介します。
- 写真あり -

 「富士市保健計画」の策定に携わった萩原種次保健女性センター所長に、この保健計画について話を伺いました。

皆さんの健康づくりをお手伝いします
保健女性センター
萩原種次(たねつぐ)所長
- 写真あり -

市民が生涯を通じて健康な生活を送れるように
 平均寿命は、女性83.0歳、男性76.6歳。今や人生80年時代となるとともに、出生率も低くなっていることなどから、21世紀の初めには、人口の高齢化がピークを迎えると言われています。また、最近は高血圧症や糖尿病などの成人病に代表される慢性疾患が増加していることなど、疾病構造が変化してきており、健康問題は多様化しています。
 こうしたことから、すべての市民が生涯を通じて健康な生活を送れるよう、市民のさまざまな保健ニーズに対応でき、また富士市の実情や特性に合った保健施策の基本となる計画が「富士市保健計画」なのです。

目標は「健康で住みよいまち」
 富士市保健計画は、「健康で住みよいまち」を目標に、「人生80年時代の健康づくり」「疾病予防と早期発見対策」「世代別・疾患別保健対策」「在宅ケア体制の整備」を基本的な考え方としています。そして、この考え方をもとに、5つの柱と柱ごとの施策の方向、対策から保健計画の体系が成り立っています。
 この保健計画をつくるに当たっては、3,000人を対象にした市民健康調査を実施するとともに、健康に関する主要データから現状分析を行い、問題点を明らかにしてきました。そして、これをもとに具体的な施策の方向と対策を掲げました。
 また、この保健計画の中では、保健と密接なかかわりを持つ福祉や教育についてのことも、必要に応じて触れています。

自分の健康は自分で守る
 この保健計画は、「自分の健康は自分で守る」を基本原則に、個人でやろうとしてもできないことを行政がお手伝いしようと、健康を守るためのさまざまな条件や環境などを整備していくという考え方なのです。ですから、もっと皆さんにふだんから自分の健康について関心をもっていただきたいと思っています。
 これから、市民の皆さんにこの保健計画をもっと理解していただくよう、健康づくり推進員にも協力をしていただきながらPRしていきます。それとともに、すべての人が生き生きと健康な生活が送れるよう、我々もできるだけ多くの支援をしていくよう努力していきます。さまざまな保健事業を行っていきますので、皆さんに積極的に利用していただきたいですね。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 〔富士市保健計画施策の体系図〕

保健計画の体系の中から、「健康づくりの推進」「母子保健」「歯科保健」を取り上げて紹介します。

健康づくりの推進

 人生80年時代を迎え、若いときからの積極的な健康づくりが重要になっています。「健康づくり」に関する正しい知識を提供し、健康的な生活習慣を身につけるための活動を支援します。

市民の4割が不健康?
 生涯を通じて、豊かな生活を送るために大切な健康。でも、*市民健康調査では、4割の人が、「健康に自信がない」または「病気のため治療中」と答えています。また、4人に3人が「疲れを感じている」と疲労感を訴えています。運動の状況でも、5割の人が「ふだん運動をしていない」と答えています。さらに、健康維持のためには、「1日30食品摂取」が必要とされていますが、「どの食品もほとんど毎日食べている」人は、半分以下と少ない状況です。

健康づくりを支援
 こうしたことから、保健計画では、市民が日ごろから自主的に健康づくりに取り組めるようにするため、次のような支援を行っていきます。
●県が進めている「進んで健診」「運動と休養」「正しい食習慣」の3本柱(ふじさん運動)の普及啓発を推進します
●「歩く健康づくり」を推進するため、史跡めぐりを兼ねた「一万歩コース」を普及します
●生涯を通じて「バランスのよい食事」「適切なカルシウム量摂取」「減塩」などのよい食習慣が実践できるよう支援します

地域ぐるみで健康づくりを
 また、長年身についた生活習慣の改善を図るため、地域ぐるみの健康づくり活動を展開し、健康に関心を持つ人や仲間をふやし、健康な地域社会となるよう支援していきます。
●市が、昭和57年度から地域の健康づくりのリーダーとして育成をしてきた「健康づくり推進員」を、男性も含め、育成の強化をします
●推進員の活動のテーマ「減塩とカルシウム摂取で寝たきり・痴呆(ちほう)を予防しよう」に基づき、脳卒中と骨粗しょう症の予防活動を推進します」
●健康づくり推進指定地区(モデル地区)活動の充実を図るとともに、指定期間終了後も継続して活動が行えるよう支援します
*市民健康調査…平成5年11月に市民3,000人を対象に無作為抽出で行った調査
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地域に根差した健康づくりを
田子浦地区健康づくり推進員
リーダー
遠藤二治子(ふじこ)さん (前田新田)
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 私が、健康づくり推進員になったのは7年前で、リーダーになったのは去年からです。区長会長や婦人会長など、地区の皆さんに助けられながら活動をしています。
 田子浦地区の活動として、りすさんクラブに入っている幼児を対象に、むし歯予防教室を開催したり、各区ごとの健康講座や、一万歩コース歩け歩け運動などを行ったりしてきました。ことしは、指定地区に選ばれたので、コンピューターヘルスチェック(アンケート方式による生活習慣調査)も行う予定です。
 自分自身、大きな病気をしたことがなかったので、健康のありがたさをそれほど感じたことはありませんでした。でも、推進員になって、いろいろ健康について勉強をしていくうちに、自分も気をつけなければと思うようになりました。
 地域の人たちも、まだまだ健康に関心を持っている人が少ないのでは…。多くの人に関心を持ってもらいたいですね。そして、推進員の活動をもっと知ってもらい、「地域に根差した健康づくり」が実現できればと思っています。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 文化祭で田子浦地区に関する健康クイズを実施

お母さんと子供の保健

 乳幼児期は、生涯にわたる健康づくりの基盤となる重要な時期です。安心して妊娠・出産・育児ができ、子供たち1人1人が心身ともに健やかに成長するために、社会環境の変化に対応した総合的な母子保健事業を推進します。

子供は大切な宝物
 子供は、お父さんとお母さんの大切な宝物というだけでなく、これからの社会を担っていく大切な宝物です。子供たちが健やかに生まれ、育つような環境づくりが必要になってきます。

妊娠・出産・育児に不安を感じる女性
 富士市の出生数は、平成四年まで減り続けましたが、2年前からは増加に転じています。しかし、*合計特殊出生率は、2.08を下回っているというように、少子化が進んでいます。また、一世帯当たりの人数は平均3.2人と核家族化が進行。その上、妊産婦の高齢化が進み、30歳以上で出産する人がふえています。
 こうしたことから、妊娠・出産・育児に不安を感じている女性が多くなっています。

安心して健やかに産み育てるために
 この保健計画では、思春期から母性意識を高め、お母さんと子供を取り巻く環境を整え、安心して健やかに産み育てられるよう、次のような援助をしていきます。
●妊娠・出産に関する正しい知識などを普及するとともに、妊産婦の相談体制を充実します
●育児相談を充実するとともに、産後1か月以内の赤ちゃんの訪問指導を進めます
●子育ては、母親と父親が協力し合ってするものという考え方から、初めて母親や父親になる人のための「お母さん・お父さん教室」を充実するとともに、父親の育児参加を促進します
●母親同士が交流を通じて不安を解消し、互いに学び育ち合うため、生後2〜7か月の赤ちゃんを持つ母親を対象にした「子育て学級」を広めます
●「子育て学級」終了者を中心に、身近で気軽に相談し合える「子育てグループ」を育成します
●子育てを地域の中で支えるボランティア活動を支援します
●近い将来、父親や母親になる高校生が、命の大切さを学び、父性や母性を育てる「思春期保健体験講座」を広く行います
●小学校から高校までの性教育を充実します

子供たちが健やかに成長するために
 そのほか、3歳児健診で見つけられる肥満傾向児が年々増加。また、幼児のアレルギー疾患も増加しており、中でもアトピー性皮膚炎が約半数を占めています。
 こうした現状を踏まえ、子供たちが健やかに成長するための支援対策を進めていきます。
●乳幼児の健康診査・相談を充実し、精神的・身体的異常の早期発見に努めます
●食事、睡眠、遊びなどの生活習慣についての相談・指導を充実します
●アレルギー健康診査・相談を充実します
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( 図表説明 ) 富士市の出生数と合計特殊出生率の推移
*合計特殊出生率…一人の女性が一生涯に平均して何人の子供を産むかを示す数値。
 人口維持には2.08が必要とされています
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( 写真説明 ) 子育て学級OB会「ワンちゃんkid's」
( 写真説明 ) 思春期保健体験講座

子育てグループに参加してみませんか
【問い合わせ】
 富士市保健女性センター  電話64-8994

歯の保健

 年をとっても「健康な自分の歯で食べられる」ということが重要になっています。胎児期から老齢期までの成長段階に沿った歯科保健事業を推進します。

健康の基本は丈夫な歯
 自分の丈夫な歯でおいしく食べることは、年齢を問わず生きがいであり、健康の基本となるものです。また、歯は、話をしたり、運動をしたりするときなどに大切な役割を果たします。このように、歯は豊かな人生を送るためにとても重要なのです。

90%以上の人がむし歯保有者
 富士市の国民健康保険医療統計で見ると、1歳から69歳まで、「歯と歯の支持組織の疾患」による受診件数と医療費(通院分)が、ともに3位以内に入っています。
 また、小学3年生になると、むし歯を持っている人の率は90%を超えてしまいます。そして、40歳ごろからは、むし歯や歯周疾患(歯槽膿漏(しそうのうろう)や歯肉炎)により、歯の喪失が目立ち始め、28本から32本あった歯が、80歳では平均4本しか残りません。

生涯自分の歯で食べられるために
 こうした現状から、生涯自分の歯で食べられるようにすることを目標に、次のような施策を進めていきます。
●80歳になっても自分の歯を20本以上残す「8020(はちまるにいまる)」運動を広めます
●妊婦に対して、生まれてくる子供の歯の質をよくするために、バランスのとれた食事の指導をします
●母乳保育の推進と、甘味制限の大切さや段階的なブラッシング法などの指導を充実します
●2歳児と保育園・幼稚園児の「むし歯予防教室」を充実します
●子供のころから歯に関する正しい知識と関心を高めるため、普及啓発を行うとともに、学校で歯科保健指導を行います
●歯周疾患予防のための「歯科健康相談・教育」を行います
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( 図表説明 ) 富士市のむし歯罹(り)患者率 (平成6年度)
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( 写真説明 ) 1歳6か月児健診でブラッシング指導


好き嫌いせずよくかみ、歯を磨く
平成7年度「いい歯のお年寄り8020コンクール」静岡県知事賞受賞
坂上一栄(さかがみいちえい)さん (岩本)
★84歳で、自分の歯28本、むし歯ゼロ
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 おかげさまで今までむし歯になったことはありません。でも、小さいころは、歯に無とんちゃくでしたね。ただ、甘い物なんか食べられなかった時代で、昆布やめざしをよく食べていたのがよかったのでしょうか。
 30年前ころからは、「起床後と毎食後、1日4回歯を磨く」「食事は好き嫌いをせず、よくかんで食べる」「牛乳を毎日飲む」ということを習慣づけて、歯に気を使っています。
 歯が丈夫で本当にありがたいです。かたい物でも何でも食べられて、体もとても健康ですよ。私の一つの財産と思っています。これからも、歯を大切にするという気持ちを持ち続けて、健康で長生きできたらいいですね。
計画の進め方
 富士市保健計画は、健康で住みよいまちを目指して、平成11年度を目標に進めていきます。ただし、これからの社会情勢の変化などに対応するため、必要に応じて見直しを行っていきます。
 また、この保健計画は、市民の皆さんを初めとして、国・県の関係機関や各種団体、健康づくり推進員などに協力していただきながら、積極的に進めていきます。

問い合わせ
富士市保健女性センター
 保健予防係 電話64-8992
 成人保健係 電話64-8993
 母子保健係 電話64-8994
添付ファイル
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp
〒417-8601 静岡県富士市永田町1丁目100番地 電話 0545-51-0123 ファクス 0545-51-1456
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