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【広報ふじ平成7年】富士の民話あれこれ

いぼとり不動
 原田地区の滝川にある永明寺(ようめいじ)東側の池に、こんこんとわき出る水を頭からかぶって立っている不動様があります。
 この不動様は、「いぼとり不動」と呼ばれ、お参りすると、いぼが取れると言われています。
 今回は、原田地区に生まれ育った鈴木宏音(ひろね)さんから、お話を伺いました。

 昔、滝川付近に、いぼが体じゅうにできている娘がいました。どうにかして、いぼを取りたいと、いろいろな医者にかかって薬をつけてみましたが、どうしても治りませんでした。
 あるとき、永明寺の和尚さんに相談したら、「池の中の不動様にお願いしてみなさい」と言われ、21日(3掛ける7)の願をかけて、毎日はだしでお参りをしました。
 そして、ちょうど満願の21日目の明け方でした。娘の夢まくらに不動様が立って、「池の水をかけなさい」とお告げになりました。
 娘は、起きるとすぐに不動様の池へ行き、夢中で体じゅうに水をかけました。するとどうでしょう、いぼは、みるみるうちにすっかり取れて、とても美しい娘になりました。
 それから後、村の人たちは、この不思議な不動様を「いぼとり不動」と名づけて信仰しています。
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鈴木宏音(ひろね)さん(宇東川東町)
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 14、5年前、息子の左ひざに大きないぼができました。私は、幼いころから「いぼとり不動」の言い伝えを聞いていたので、その話を思い出し、息子のいぼを治したい一心で、不動様へお参りしました。
 2回ほどお参りして、不動様が頭からかぶっている水を、息子のひざに塗ったところ、何と息子のいぼは取れてしまったんです。実を言うと、今でも信じられないくらいです。
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