「墨に五彩あり」広見荘で墨絵を教える
芦川政太郎(まさたろう)さん (富士岡)
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子供のころから習字が好きで、墨と筆には昔から慣れ親しんでいた芦川さんが、広見荘の墨絵教室の門をたたいたのは今から7年前。年賀状と掛け軸が、墨絵を始めたきっかけでした。
芦川さんは、毎年、自筆で何百枚もの年賀状を書いていましたが、あるころから紋切り型の決まりきった文章だけでなく、絵なども添えてみたいなと、感じ始めました。
また、掛け軸が好きだった芦川さん。最初は見るだけだったのが、掛け軸の中の書画も自分の作品にしたいと思うようになったのです。
目標を持って墨絵を始めただけあって、芦川さんの腕の上達は目覚ましいものがあったようです。何と始めてから2年後の平成2年には、病弱だった先生の代理で、時々ほかの生徒に墨絵を教えるまでになりました。
そして平成6年4月、芦川さんは正式に、墨絵教室と、墨絵教室のOBで結成されている墨絵クラブ「五彩会」の指導者となりました。
五彩とは、「墨に五彩あり」という言葉から引用されたもので、墨絵をかくときの墨の濃淡をあらわしています。墨絵は墨の濃淡だけで、さまざなものに彩りを与えます。芦川さんが教える墨絵は、一筆の筆先に墨を調整し、塗り重ねしないのが基本。筆先から生まれる墨の濃淡に生命が宿ります。
「私は、生徒の皆さんに作品を発表する場を数多く与えるよう心がけています。そして『創作』すること、つまり独自の作品をつくることのだいご味を味わってほしいですね。
生徒さんが墨絵を通して生き生きとした姿を見せてくれることが、私にとっても生きがいになっています。今は、私の人生の中で一番充実していますよ」芦川さんはひとみを輝かせながら、こう語ってくれました。