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【広報ふじ平成7年】富士の民話あれこれ

からかさ木
 丘地区の傘木(からかさぎ)町内に、「からかさ木」と呼ばれる木があります。
 木が立っている場所は、巻狩りで訪れた源頼朝(よりとも)が、木を傘がわりに雨宿りした所だと言われており、地名の由来にもなっています。
 今回は、からかさ木を管理している望月忠男さんから、お話を伺いました。

 鎌倉時代、源頼朝は、富士山のふもとで巻狩りをよく行いました。巻狩りとは、けものを四方から取り巻き、捕らえることから、そう呼ばれています。
 巻狩りの途中、たくさんの家来を連れた頼朝が、ある村落に入りました。すると、空が急に曇って、雨が降ってきました。
 たまたま近くに大きな木があり、頼朝はその木の下に駆け込みました。まるでからかさのように枝を広げた木は、人が雨宿りするのに好都合の木でした。
 頼朝は、そこを通りかかった年寄りに、「この村の名は、何と言うのか」と尋ねました。すると年寄りは、「この村には、まだ名前がついていません」と答えました。そこで頼朝は、「この木は、からかさのかわりになってくれた。村の名は、これから『からかさ木』としたらどうじゃ」と言いました。
 年寄りは早速、村人にこの話をしました。そして、この日から村の名は、からかさ木村と呼ばれるようになったのです。
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望月忠男さん(傘木)
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 昭和41年の台風26号で、先代の木は倒れてしまいました。今の木は、先代の根元から生えていた4代目なんですよ。
 この木はタブの木といって、枝が自然とからかさのように広がります。以前は、このあたりにも多く生えていて、製紙の原料としても使われていたそうです。
 「からかさ木」は、伝法の一万歩コースのポイントにもなっていて、最近は訪れる人も多くなりました。
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