トイレ、台所、洗濯…。私たちが毎日生活していく上で、水はなくてはならないもの。しかし、使われて汚れた水が、どこへ流れていくのか考えたことはありますか。実は、その水が河川、海などに流れ込み、美しい水辺を汚染する原因になっているのです。
市では、この美しい水辺環境を取り戻し、私たちのさわやかな暮らしを守るために、下水道の整備を積極的に進めています。
今回は、この下水道について、もっと皆さんに知っていただくために、8つの項目に分けてご紹介します。
1.下水道って何?
私たちの生活に使われた水や、生産に使われた水など、汚れた水を処理して、きれいで安全な水にしてから河川に流すのが下水道です。ですから、下水道は次のような役割を果たし、私たちのさわやかな暮らしを守っています。
●きれいな街に−環境保全−
家の周りに汚れた水がたまらないので、害虫や伝染病の発生を防ぐことができます。
●美しい自然に−水質保全−
汚れた水はきれいにしてから流すので、河川や海の水がきれいになります。
2.しくみは
下水道のしくみは、下の図のとおりになっています。そのため、下水道切りかえ前と後では、次のように変わります。
下水道切りかえ前
*汚れた水(生活排水)がそのまま河川へ
下水道切りかえ後
*単独処理浄化槽は必要なくなります。生活排水はすべて下水道管を通って処理され、きれいな水が河川へ
- 図表あり -
*公共桝(ます)−宅地内の排水設備と公道の下水道管をつなぐ所。取り付け管の点検や清掃のために必要になります。ここまで市が設置し、管理を行います。
*下水道管−地下を通っている管。家庭や事業所などから流された汚水を下水処理場まで流します。
*下水処理場−下水道管により集められた汚水をきれいにして、河川に流します。
- 図表あり -
3.富士市の下水道の整備状況は
富士市で一番最初に下水道工事が行われたのは、昭和33年。それ以来、下水道整備は着々と進められ、現在は、西部浄化センター、東部浄化センターと吉原終末処理場の3か所で、下水を処理しています。また、平成6年度末現在では、人口の48.6%に当たる11万3,000人が下水道を利用できるようになりました。
しかし、そのうちで、家庭の排水を下水道につなぐ工事をして、実際に利用しているのは、8万4,800人の75%にすぎません。まだ、4人に一人が切りかえを行っていないというのが現状です。
今後の下水道の計画では、平成13年度までには人口の約70%の市民が、平成22年度までには鷹岡・大渕方面などを含め、約99%の市民が下水道を利用できるよう整備を進めていきます。
4.下水道を生かすのはあなた次第
◆接続は速やかに
下水道は、下水道管が家の前に通ったというだけでは意味がありません。生活排水を下水道に流すための排水設備を下水道管に接続して初めて、街や河川がきれいになるという下水道の効果があらわれるのです。
排水設備の工事・管理は、皆さんの自己負担になりますが、河川の水の汚れは、家庭からの排水(特に台所からの排水)が主な原因になっていますので、下水道が利用できるようになったら、速やかに(2〜6か月以内)下水道に接続してください。
◆排水設備工事は指定工事店で
下水道管への正しい接続工事をするために、排水設備工事は、市が指定した工事店しかできません。必ず指定工事店に依頼してください。
◆工事の融資をご利用ください
市では、排水設備工事の費用を百万円まで無利息でお貸ししています。償還期限は、50万円以下の場合36か月以内、50万円を超える場合60か月以内です。ぜひご利用ください。
5.下水道を使用する場合は
◆こんなものは流せません
下水道は、みんなが使うもの。下水道が故障すると、汚水の処理ができなくなったり、河川などを汚染してしまったりして、ほかの人にも迷惑をかけてしまうことにもなります。ですから、次のようなものを流すと下水道管の詰まりや破損の原因になりますので、流さないように注意してください。
・ガソリン ・灯油 ・食用油 ・ビニール袋 ・紙おむつ ・生理用品 など
◆下水道を使うといくらかかるの?
各家庭で流した汚水を下水処理場できれいにするための費用や、下水道施設を掃除したり、修理したりするための費用などに使うために、下水道を使用すると、下水道使用料がかかります。
下水道使用料は、流した汚水の量(水道の使用量)で計算します。4人家族で、おおよそ1か月2,500円です。
6.下水道工事にご協力を
下水道の工事は、下水道管を道路に埋設していきます。整備工事区域に住んでいる皆さんや、通勤、通学、買い物などで通行する皆さんには、大変ご迷惑をかけますが、ご理解とご協力をお願いします。
●私道の下水道
市が行う工事は、公道のみです。私道については、一定の条件を満たす道路について、申請により助成工事を行います。
7.下水道が整備されたら
●受益者負担金
下水道が整備された地域では、衛生的で快適な生活を送れるようになります。この地域の人たちに、下水道建設費の一部を負担していただき、下水道を早く富士市全域に整備しようというのが「下水道事業受益者負担金」制度です。
受益者負担金は、下水道が整備された区域内にあるすべての土地の所有者が対象になり、下水道を使用している、していないということとは関係ありません。その土地にかかる受益者負担金は、一度だけのもので、工事が完了した翌年度にかかります。
負担金の額は、所有する土地の面積×単位負担金額です。なお、受益者負担金には、一括納付の報奨金制度や農地に対する賦課猶予制度があります。
◆平成8年度の単位負担金額
261円(土地1平方メートル当たり)
8.下水道をもっと知るために
★下水道まつり
9月10日は全国下水道促進デーです。この日にちなんで、9月23日に下水道まつりを行います。詳しくは、8月20日号の広報ふじでお知らせします。
★下水処理場の見学
下水処理場の見学を受け付けています。東部浄化センターまたは西部浄化センターへ電話で予約してください。(個人でも可、土曜日・日曜日・祭は除く)
★下水道PRビデオの貸し出し
下水道のことを知ってもらうため、ビデオを貸し出ししています。
・「さわやかなくらしのために」−排水設備について
・「よみがえる水」−下水道のしくみと働き
・「もっともっと住みよい街に」−受益者負担金について
下水道が整備されたら、一日も早く下水道につないでください。
きれいな街、美しい自然は、あなた次第。住みよい環境づくりは皆さんの協力が必要です。
問い合わせ
●受益者負担金、下水道使用料、排水設備工事、ビデオの資し出しについては…
下水道部管理課 電話51-0123 内線2511〜2516
●下水道整備工事については…
下水道部建設課 内線2504〜2509
●下水道の維持・管理、下水処理場については…
下水道部施設維持課 内線2541〜2543
●下水処理場の見学については…
東部浄化センター 電話38-3610
西部浄化センター 電話63-3005
第34回「全国下水道いろいろコンクール」
作文の部 建設大臣賞受賞
伊東智子(ともこ)さん(田子浦中3年)
- 写真あり -
下水道整備も必要だけれど、毎日の生活にも工夫を
私がこの作文を書いたのは、昨年の夏休みに静岡市にある祖父の家に遊びに行ったとき、その途中の川がとても臭かったということがきっかけでした。父から、このにおいが生活排水のにおいと聞き、下水道に興味を持ち始めたのです。
作文では、「下水道が普及すれば、こんなにおいもしないし衛生的になるので、富士市全域に下水道を整備してほしい」。また、「私たちが毎日何げなく流している汚水を、流す前にちょっと考えて一工夫し、できるだけ汚水の汚れを取り除いてから流す心がけが大切」と訴えました。
こんな大きな賞を受賞して、最初は実感がわきませんでしたが、今思うとすごい賞だったんだとうれしくてたまりません。私自身、これからも、米のとぎ汁は庭の花にまき、ごみは流さないなど、汚水を流すときには工夫していきたいと思っています。
こうなります。下水道の整備
下水道工事にご理解、ご協力をお願いします。
*国、県、市の財政事情または工事を行う上での諸事情により、整備区域は多少変更する場合があります。
- 図表あり -