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【広報ふじ平成7年】富士の民話あれこれ

さかさ杉
 大渕の井上(曽比奈(そびな))に「さかさ杉」と呼ばれる大きな杉の木があります。この木は、幹が途中から六つに分かれており、枝が伸びる姿など、まるで杉の木が逆に生えているように見えます。
 今回は、「さかさ杉」の近くにお住まいの服部源一郎さんから、お話を伺いました。

 昔、大渕村の井上に、貧しいながらも仲のよい百姓夫婦が住んでいました。しかし、二人には子供がいなかったので、氏神様に毎晩お参りして、「どうか子供を授けてください」と祈ったところ、間もなく体の大きい元気な男の子が生まれました。夫婦はとても喜び、この子を大事に育てました。
 男の子は大きく成長し、力も強くなり、やがて「小生川(おぶがわ)」という相撲取りになりました。小生川はどんどん強くなって出世したので、貧しかった夫婦の暮らしは、とても楽になりました。ところが、息子のおかげで豊かになった夫婦を、村人たちは、ねたんだり、うらやんだりしていました。そんなある日、小生川は突然病気で倒れ、夫婦の看病のかいもなく息を引き取りました。やがて、夫婦の暮らしは苦しくなりましたが、だれも助けてくれる者はなく、二人は哀れな最期を遂げました。
 それから何年かして、村に災難が続きました。村人たちが氏神様にお祈りしたところ、「人をねたみ、うらやみ、見殺しにした、たたりだ」という声が聞こえました。そこで夫婦の家の前に塔婆(とうば)を逆に立て、村中で供養したら災難はおさまったということです。
 その後、この塔婆が根づいて、大きな杉の木になり、その変わった姿から「さかさ杉」と呼ばれるようになりました。


服部源一郎さん(八王子本町)
- 写真あり -
 私が聞いた「さかさ杉」の話は、もう一つあって、それは、「群馬県の方からウツギという木を買いにきた人が、急病で亡くなってしまい、村人が杉の塔婆を逆に立てて供養したら、根づいて大きな木になった」というものなんです。だから、このあたりでは「ウツギじいさんの木」と呼ぶ人もいますよ。
 また、この木の周りは、大きな杉が多いので、前の坂道は「大杉やぶの坂」と呼ばれているんです。
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