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【広報ふじ平成6年】ゆとり

 日本人は、欧米諸国の人たちと比べると、余暇の過ごし方が下手だと言われています。
 第二次世界大戦後、日本人は一生懸命働き、日本を世界有数の経済大国に押し上げました。そのため、経済的ゆとりはできたものの、時間的ゆとりや精神的ゆとりを犠牲にしてしまったのかもしれません。しかし、最近では仕事ばかりでなく、余暇を上手に過ごしたいと思っている人もふえています。
 もっと、ゆとりある生活をするためには、どうしたらいいのか。一緒に考えてみませんか。

富士市民の余暇

 富士市は、製紙、自動車、化学工業などを中心とした工業都市。県内では、浜松市に次ぐ第2位の年間製造品出荷額を誇ります。多分、富士市民は働き者と言えるのかもしれません。しかし、仕事ばかりしていては人生の楽しみも半減してしまいます。仕事と余暇のバランスが大切です。
 平成3年に行った「市民意識調査(富士市広報広聴課)」によると、富士市民の一日の平均余暇時間は、「2〜3時間」と答えた人が全体の43.9%を占めています。また、余暇の過ごし方は、「家で休養」19.7%、「旅行、キャンプ、ドライブ」14.0%、「家族、友人との語らい」12.0%の順となっています。これを性別で見ると、女性は家族、友人との語らい、ショッピングなどが多く、男性は旅行やキャンプ、日曜大工、パチンコなどが多くなっています。

労働時間の短縮

 現在の日本は、経済的に豊かになり、賃金もほぼ欧米並みの水準に達しました。労働時間も短縮されてきており、平成4年現在で、日本人1人当たりの年間平均労働時間は、所定外労働(残業)時間の160時間を含めて2,017時間。4年前と比べて約100時間短縮しています。
 また、アメリカやイギリスは1,900時間台。フランスやドイツは1,600時間程度となっています。
 労働時間が短縮してきた原因は、全国の企業が週休二日制を導入してきたことが挙げられます。

年次有給休暇の活用

 働く人にとって、年次有給休暇は大切な権利です。平成4年現在で、日本人1人当たりの平均年次有給休暇は、約16日ありますが、実際には、その56.1%しか取得できていません。ちなみに欧米諸国の人たちは、「年次有給休暇は全部使うものだ」と考えているようです。
 では、なぜ日本人は年次有給休暇を全部使わないのでしょうか。主な理由は、「周りに迷惑がかかる」「病気などへの備え」「仕事がたまり、後で忙しくなる」などです。年次有給休暇を活用するためには、職場環境と個人の意識改革が必要なようです。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 〈富士市民の余暇の過ごし方〉


静岡県余暇プランナー 楠 昌明さん(原田)
- 写真あり -

 「静岡県余暇プランナー」は、平成4年度から全国に先駆け始まった制度。地域における県民の余暇活動を支援する人材の育成を目指し、毎年、県から30人程度が委嘱されます。
 富士市内の今年度の余暇プランナーは3人。その中から、原田にお住まいの楠昌明さんに自分自身の余暇、おすすめの余暇活動などについてお話を伺いました。

−余暇プランナーの活動について教えてください。
 余暇プランナーの活動はボランティアで、余暇に関する相談や情報提供などを行うことなんですが、とりあえず自分が経営する理髪店の店内に情報コーナーとして、市内の観光地や「歩く健康づくり1万歩コース」を紹介した冊子などを置いてみたり、ボカシ(発酵堆肥(たいひ)材)を置いたりしています。ボカシを1袋100円で仕入れて、100円で譲っているので、これも一種のボランティアかなあ。(笑)

−余暇プランナーになろうと思ったのはなぜですか。
 自分自身が、仕事するより遊ぶことの方が忙しい人間だったから、ほかの周りの人を引き込んで、自分も楽しめればいいかなと。みんなでワイワイやるのが好きなんですよ。
 それに「おもしろいこと探し」が好きで、変わった店構えや変わったメニューの店があると聞いたら、すぐに行くんですよ。とにかく話題豊富な人間になりたいと思っています。
 仕事柄か、おしゃれにも気を使っていますが、本当のおしゃれって外見ではなくて、中身です。自分自身に内面的な広がりを持たせたいと、いろいろなことに興味を持って、動き回っています。

−楠さん自身の余暇の過ごし方について教えてください。
 ギター、写真、社交ダンス、テニス、ゴルフ、釣りなど数多くの趣味があるんですが、人に教えるほど何かにずば抜けている、というものがないのが残念です。何か一つのことに、のめり込んでいる人ってうらやましいですね。
 けれど私の場合、趣味が多いので仲間も多いですよ。例えば、同じ趣味の仲間と全く違うことをして遊ぶのって、とても楽しい。つまりテニス仲間と山へ行ってバーベキューするとかね。
 とにかく、余暇について相談を受けたら、いいアドバイスができるように自分自身の「余暇」に広がりと深まりが必要だと思います。

−すてきな余暇の過ごし方についてアドバイスをお願いします。
 余暇能力(余暇を有効利用する能力)って重要です。余暇は仕事の疲れをいやすためにある、と考えられがちですが、余暇を有意義に過ごすことによって心にゆとりができて、いい仕事につながる、と考えてほしいですね。
 ただし、「余暇」に身構えなくてもいいんです。気楽に楽しめば。


 ことしから「まちかどネットワーカー(広報ふじの情報通信員)」として活躍している土屋雅子さんは、余暇を活用して旅行、花づくり、水泳などの趣味に熱中。また、教育や福祉など、いろいろなことに興味を持って活動しています。
土屋さんの「余暇」について、すてきなお話を伺いました。

土屋雅子さん(大渕)
- 写真あり -
いろいろな花を咲かせて、いろいろな人にあげるのか好きなんです。全く知らない人でも、家の前を通って「きれいですね」なんて言われるとすぐにあげちゃうんですよ。

水泳に熱中

 私は、最近水泳に凝っていて、温水プールへ週3回から4回通っています。10月から「水中エアロビクス教室」にも参加し始めました。
 水泳を始めたのは、ある日、家族で乗鞍(のりくら)高原へハイキングに出かけたのがきっかけ。空がとても青くて気持ちよかったんですが、あまり長い距離を歩けなくて、子供に引っ張ってもらったんです。それがとてもショックで・・・。
 温水プールでは水中歩行から始めました。歩いたり、泳いだり、健康の維持には、もってこいですよ。私は体が丈夫な方ではないので、今や温水プールで運動することは、「余暇」ではなく、命にかかわる「生活」になっています。

感動を体験

 家族でユースホステルの会員になっていて、全国各地のユースホステルを利用しています。ユースホステルというのは、旅を安全に楽しく、経済的にと考えられた、システムで、1909年のドイツで青少年用の宿泊施設としてつくられたのが始まりです。各施設ごとに特色があって、カヌーができたり、自然教室を開いて星の観察をしたりして、ペアレントという親がわりの管理者や利用者同士の交流が楽しめます。
 御前崎のユースホステルへ行ったときは、海ガメの産卵を見て、とても感動しました。ユースホステルは、宿泊するだけでなく、感動を体験できる施設なんです。

私の家は花屋敷

 私の家の庭には、いつも花がいっぱい。今はコスモスで足の踏み場がないほどです。そもそも3年前に大渕へ引っ越してきたのも花をつくれるほどの庭が欲しかったから。いろいろな花を咲かせて、いろいろな人にあげるのが好きなんです。近所のお年寄りにもプレゼントしていますし、全く知らない人でも、家の前を通って「きれいですね」なんて言われると、すぐにあげちゃうんですよ。(笑)


公民館活動で余暇は充実

 市内には21の公民館があります。各地域の生涯学習センターとして、市民の皆さんの学習意欲にこたえるため、子供からお年寄りまで学べる盛りだくさんの講座やイベントを開催しています。
 各公民館では、毎年成人学校を開催しており、書道や絵画、料理などを初め英語、中国語、エアロビクスやゴルフ教室など、幅広い科目が用意されています。
 鷹岡公民館では、毎週木曜日に約30人が集まって「木目込(きめこみ)人形と押し絵づくり」に励んでいます。木目込人形とは、桐の粉を固めて溝(木目)をつけた人形に美しい布を張りつけていくものですが、溝に布を押し込んで形づくるので「木目込」というのだそうです。
 吉永北公民館では、月2回の木曜日の夜に農業、会社員、専業主婦など、いろいろな職種の人が集まって「園芸」に取り組んでいます。種まきや肥料のやり方、挿し木などの講義や実習を行っています。
 そのほか、公民館では、公民館主催の講座だけでなく、自分自身の余暇時間を充実したものにしようという自主グループの活動も支援しています。
 公民館の利用料は無料です。申し込み、詳しいことの問い合わせは直接最寄りの公民館へ。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 「園芸」で自分が育てた草花を持ち寄り、品評し合います
( 写真説明 ) 「押し絵」は、綿や美しい布を使って、かぐや姫、藤娘などを表現します


温水プールでシェイプアップ

 温水プールは、大渕の総合運動公園内にあり、プールサイドは広く、天井も高いため、開放感のある空間になっています。プールの温水や館内の冷暖房は、第一清掃工場のごみ焼却によって発生する余熱(蒸気)を利用しています。
 また、温水プールでは、気管支ぜん息などの患者を対象とした水泳教室が開かれています。そのほかにも、水中エアロビクス教室や小学生、一般男女、婦人などを対象とした水泳教室も開かれています。
 水中エアロビクスは、プールの中で音楽に合わせて踊ったり、歩いたりして体を動かします。水の抵抗のため、かなりの運動量ですが、腰やひざへの負担は少なくて済むのでシェイプアップには最適。ちょっと体のラインが気になり始めたら、チャレンジしてみませんか。
*各水泳教室の募集については、広報ふじをごらんください。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 「水中エアロビクス教室」で楽しく体を動かし、シェイプアップ


ゆとり創造月間
記念講演会 マジックショー

11月30日(水曜日)14時〜16時
ラ・ホール富士 多目的ホール
 11月はゆとり創造月間。市民や企業、事業所などが協力し合い、「ゆとり創造」の実現に向けて取り組みます。
●記念講演会
 テーマ 「労働時間の短縮とゆとり創造」
 講師 石野正治さん((財)静岡経済研究所理事・研究部長)
●イリュージョンマジック
 当間林昭(とうまりんしょう)さん(静岡新聞SBS学苑奇術講師、市内在住)
定員 250人  参加費 無料
申し込み 11月22日までに電話で商工労政課(内線2591)へ
問い合わせ 商工労政課 内線2591

 ゆとりある生活をするためには、お金や時間のゆとりが必要ですが、一番大事なのは、自分自身の心のゆとりではないでしょうか。
 余暇の過ごし方が充実していれば、おのずと心にもゆとりが生まれます。
 あくせく働いてばかりいないで、たまには気楽に、ゆったり、ゆっくり「ゆとり」してみませんか。
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp
〒417-8601 静岡県富士市永田町1丁目100番地 電話 0545-51-0123 ファクス 0545-51-1456
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