富士市 FUJI CITY Official Site

富士市
広報ふじ > 平成06年 > 平成6年8月20日 624号 > 【広報ふじ平成6年】特集 富士市高齢者保健福祉計画 安心して暮らせる長寿社会を目指して

【広報ふじ平成6年】特集 富士市高齢者保健福祉計画 安心して暮らせる長寿社会を目指して

人はだれでも年をとり、やがて老いていきます。これは、私たちが生まれたときから背負った運命であり、どうしても避けられないことです。高齢化は急速に進み、自分が健康でも、親族や近所の人などが高齢問題を抱えるケースもふえ、もはや人ごとではない時代になりました。
そこで市は、安心して暮らせる長寿社会を目指し、基本的な方針と施策の方向性を示した、「富士市高齢者保健福祉計画」をまとめました。今回は、この計画の概要をお知らせします。

平成11年度を目標に総合的に計画を展開

 富士市に限らず、日本の高齢化は世界に例を見ない早さで進んでいます。21世紀には、4人に1人が65歳以上のお年寄りになると言われています。
 このような高齢社会に向けて、国は「高齢者保健福祉推進10か年戦略(ゴールドプラン)」を平成元年に策定。これを受け、市は行政を初めとして家庭、地域など社会全体で高齢化に対応していくため、『富士市高齢者保健福祉計画』をつくりました。
 この計画は、高齢者の寝たきり予防や生きがい対策、高齢者や介護者の日常生活を支援するサービスの拡充、社会全体で支える地域保健・福祉活動の推進、高齢者の自立などを、総合的に進めることを目的につくられたもの。平成5年度から11年度までの7年間で進めていきます。
 計画の具体的展開としては、
1.健やかでぬくもりのあるまち
2.支えあいふれあいのあるまち
3.いきいきと豊かに生活できるまち
4.安全で暮らしやすいまち
の四つを中心とします。

進む富士市の高齢化とその現状

 高齢者とは、65歳以上の人をいいます。富士市では、高齢者が総人口に占める割合(高齢化率)が、平成4年4月1日現在で10.4%。この高齢化率が7%〜14%で高齢化社会、14%以上が高齢社会ですから、富士市はもう高齢化社会に入っていますし、高齢化の進行も急速です。
 ひとり暮らしの高齢者や、高齢者世帯(高齢者だけの世帯)も年々増加。また、寝たきりや痴ほう性の高齢者もふえることが予想されます。高齢者のいる世帯も4世帯に一世帯あり、高齢化に向けて私たち一人一人が自分の問題として考えていく必要があります。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 人口と高齢化率
( 図表説明 ) 高齢化の将来予測
( 図表説明 ) ひとり暮らしの高齢者数と高齢者世帯数
( 図表説明 ) ☆高齢者世帯=高齢者だけの世帯(ひとり暮らしを除く)

1.健やかでぬくもりのあるまち

これから高齢化が進むにつれ、社会的な支援を必要とする高齢者がふえていくと予想されます。
そのため、健康づくりへの支援や、高齢者に多い疾病の予防や寝たきり予防を行います。また、高齢者が看護や介護者を必要とするときの保健、福祉、医療のサービスと施設の充実を進めます。

寝たきりの予防

 「寝たきりは予防できる」「寝たきりにならない、させない」を合い言葉に、『寝たきりゼロへの10ヵ条』を広めていきます。また、高齢者が地域で健康づくりができるよう、老人クラブ、町内会などへの支援を行います。
 市内で寝たきりになった高齢者の原因で最も多いのは、脳血管障害。このため、疾病予防と早期対策に力を入れます。
 総合健診を拡大するのはもちろんのこと、健康診査の後、必要のある人には保健婦による訪問指導も実施。また、保健婦人センターでの定期的な健康相談も行い、成人病対策を強化します。
 寝たきりにならないためには、リハビリテーションも大切。身近なところで受けられるための会場の増加や、医療施設の機能を充実します。

要援護高齢者等への支援

 ひとり暮らしや高齢者世帯、寝たきり、痴ほう性高齢者へは支援が必要です。地区ごとの健康相談や、保健婦による訪問指導を実施。また、食事の世話、掃除、洗濯、入浴の手助けをするホームヘルパーを充実し、日常生活を送るのに支障のある高齢者や、高齢者を介護している家族を支援します。
 ひとり暮らしなどで家に閉じこもりがちな高齢者のために、日帰りで日常生活動作の訓練や入浴サービスが受けられるデイサービスも充実。現在デイサービスを行っているところは3か所ですが、どの地域でも利用できるように、12か所にふやしていくほか、痴ほう性高齢者専門のデイサービスセンターも設置します。
 また、長い間高齢者を介護している家族の援助となるショートステイ(高齢者の老人ホーム短期入所)は、ベッド数をふやすなどして利用しやすくします。

保健、補祉、医療の基盤整備

 保健婦人センターに嘱託医を配置したり、老人保健施設や特別養護老人ホームなどの施設の整備拡充を行います。
 また、これから在宅福祉サービスの需要増大が予想されるため、介護者の身近な相談センターとしての在宅介護支援センターの整備を行います。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 陶芸を活用したリハビリステーション(保健婦人センター)


「寝たきりゼロへの10ヵ条」

1.脳卒中と骨折予防 寝たきりゼロへの第一歩
2.寝たきりは 寝かせきりからつくられる 過度の安静 逆効果
3.リハビリは 早期開始が 効果的 始めよう ベッドの上から訓練を
4.暮らしの中での リハビリは 食事と排せつ、着がえから
5.朝起きて まずは着がえて身だしなみ 寝・食分けて 生活にメリとハリ
6.「手は出しすぎず 目を離さず」が介護の基本 自立の気持ちを 大切に
7.ベッドから 移ろう移そう 車いす 行動広げる 機器の活用
8.手すりつけ 段差をなくし住みやすく アイデア生かした 住まいの改善
9.家庭でも社会でも 喜び見つけみんなで防ごう 閉じこもり
10.進んで利用 機能訓練 デイサービス 寝たきりなくす 人の和 地域の和

2.支えあいふれあいのあるまち

 高齢化社会を支えていくためには、市民一人一人がお互いに助け合い、支え合えるような、人間性あふれる街をつくるための人づくり、意識づくりが必要です。
 そのため、この計画では地域ぐるみで高齢者を支える福祉活動の推進や、世代間交流や福祉教育を通じてのふれあいと思いやりの育成、また福祉活動へ積極的に参加してもらうため、企業・民間との連携を進めます。

福祉活動の推進

 最近は、核家族化や共働き世帯がふえたことなどにより、地域の連帯が薄れてきています。しかし高齢化社会には、近隣の助け合いが必要です。そのため、現在8地域で福祉活動をしている地区福祉推進会の組織化を地区ごとに行うほか、隣近所で助け合う小地域でのネットワークづくりを進めます。
 また、福祉活動を進める上で忘れてはならない、ボランティア活動の支援を行っていく必要があります。地域ごとにボランティアを把握するとともに、ボランティアの確保を行うことも大切。そして市民が福祉の担い手であるという認識を深め、ボランティア活動に参加してもらえるよう、ボランティア講座も開催していきます。

ふれあいと思いやりの育成

 近年、核家族化のため、児童と高齢者が接する機会が少なくなっています。このような問題を解消するため、児童と高齢者のふれあい交流の場を設けたり、放課後児童対策(児童クラブ)の活動に、高齢者との交流事業を取り入れます。
 ふれあいと思いやりの心を育てるためには、子供のころの福祉教育も重要なこと。そこで、学校での福祉教育の充実や、福祉に接する機会をふやすため、社会福祉教育実践校を拡充し、全校での福祉活動実施に取り組みます。そして、小・中学生が老人ホームのお年寄りと直接交流を行う福祉体験講座を拡充し、体験により思いやりの心を育てていきます。

企業・民間との連携

 高齢者を対象に、在宅介護や入浴などのサービス、介護機器などの商品を有料で扱うシルバー産業などと連携を図り、その専門性や技術を適切に提供できるようにします。
 企業に対しては、家庭内介護を進めるため、社員の家族が介護が必要なときに取れる介護休暇制度を導入するよう呼びかけ、企業としての福祉活動参加を働きかけます。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 中学生福祉体験講座(富士楽寿園)

3.いきいきと豊かに生活できるまち

 高齢化が進行する中で、明るく活力のある社会を保っていくためには、高齢者が積極的に社会参加をすることが期待されます。このことが、高齢者の生きがい、健康増進のみならず、文化や歴史の伝承にもつながり、活力ある社会の実現にもなります。
 そこでこの計画では、高齢者の社会参加の促進、生涯学習の推進、雇用や就業の促進を行います。

生きがい対策の推進

 高齢者の最近の学習意欲は多種多様。現在行っている陶芸・墨絵教室、シルバークッキングスクールなどのほかに、高齢者の要望にこたえた新しい学習内容を取り入れていきます。また、高齢者が気軽に楽しめるスポーツ、レクリエーション教室の開催と普及をして、健康維持と生きがいづくりに役立てます。
 逆に高齢者が、各種学級や学習活動の講師として活躍することは、生きがいだけでなく文化や歴史を次代に伝えることにもなります。長年培ってきた知識や経験を市民の学習に生かすこともできるため、講師として高齢者の登録の制度化を進めます。

生活の安定

 市内の高齢者のうち、就業している人は23.9%(平成2年国勢調査)。国とほぼ同率ですが、県より4.6%低くなっています。
 そこで、まだまだ元気で働きたい、という高齢者のために、雇用と就業の促進を行っていきます。
 シルバー人材センター(会員になると、本人の希望に添った仕事が紹介され、働くことによって報酬が得られるシステム)への加入を促進。また、シルバー人材センターの拠点となる高齢者就業センターでは、就業のための情報の収集や提供、就業に役立つふすま張り、ペンキ塗りなどの講習や技能訓練を行うほか、就業相談も行います。
- 写真あり -
( 写真説明 ) シルバークッキングスクール
( 写真説明 ) シルバー健康体操

4.安全で暮らしやすいまち

 高齢者が、住み慣れた地域で快適に生活し続けることができるまちづくりは、重要な課題です。
 高齢化社会のまちづくりとは、健常者を中心にした都市づくりから、高齢者が安心して生活できる優しい街や、高齢者に優しい住まいをつくり出すこと。この計画では、高齢者が外出しやすいような快適な都市環境づくりと、暮らしやすく安全性を考えた思いやりのある住居づくりを支援していきます。

高齢者に優しい街

 高齢者が外出しやすくするには、高齢者のことを考えた都市の整備が必要。そこで、福祉施設はもちろんのこと、公共施設や公共性のある民間建築物、公園などが、高齢者にとって利用しやすくなるよう、整備、改善のための指針を策定していきます。道路については、車道と歩道を区分し、歩道段差のスロープ化や点字ブロックの整備を行い、安全に配慮します。
 このほか、交通安全のために、高齢者移動交通教室や高齢者交通安全研修会なども開催します。
 また、火災などのときに避難が困難な高齢者の情報を、緊急指令用地図検索システムに入力し、救助、消火活動に活用します。

高齢者に優しい住まい

 だれもが皆、毎日快適で安全、安心できる住宅で暮らしたいと思っています。特に体が不自由になってきた高齢者には、住みやすい住宅の整備が必要です。
 そこで、市営住宅を建てかえるとき、浴室、トイレ、階段などを高齢者が安心して住めるよう整備します。また、身体機能の低下により、自宅での生活が困難な高齢者のために、低料金で利用でき福祉サービスを受けられるケアハウスという施設を整備します。
 このほか、高齢者と同居し、住宅改善を行う人に、資金の一部を低利で貸し付けし、住宅整備の支援を進めていきます。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 主な保健福祉サービスの整備目標(概略)


計画の進め方

 平成11年を目標に、高齢者保健福祉計画は着々と進んでいます。
 進め方は、「富士市高齢化社会対策推進会議」を中心に計画を推進。また、市民の代表からなる「(仮称)富士市地域福祉計画推進会議」を設置し、計画の推進状況の報告や、提言、助言を受けながら、より地域に密着した計画として事業を進めていきます。
 もちろん高齢化の進展状況や高齢者の状況、国や県の動向を把握しながら、必要であれば計画期間の中間で見直しを行います。また、この整備計画は、市のあらゆる計画のベースとなる「ふじ21世紀プラン」の後期基本計画(平成8年度〜12年度の計画で現在策定中)の中に位置づけられるので、ほかの計画と調整を図りながら進めていきます。
 そして何よりも大切なのが、これからの高齢化社会と福祉を支えるのは、皆さん自身ということ。計画に対する皆さんの正しい理解と協力を得るため、シンポジウムや研修会などを行い、安心して暮らせる長寿社会を目指します。

●問い合わせ 高齢者福祉課 内線2318
添付ファイル
※PDFを初めてご覧になる方は、ソフト(Adobe Reader)のダウンロードが必要です。
「Get Adobe Reader」のボタンをクリックし、説明に従いAdobe Readerをダウンロードして下さい。
Get Adobe Reader
広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp
〒417-8601 静岡県富士市永田町1丁目100番地 電話 0545-51-0123 ファクス 0545-51-1456
E-mail kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp