曽我十郎橋付近
スケッチ画と文
富土市美術協会 村林克津男さん
富士市中島187-9
- 図表あり -
( 図表説明 ) 地図
- 写真あり -
凡夫川は、身延線の入山瀬駅に差しかかるガード下を流れ、潤井川に注いでいる。上流には、あの曽我兄弟のあだ討ちで有名な曽我寺がある。
私は勤め先の関係で、何年かを朝な夕なに電車の車窓からこの風景を眺め、一度描いてみたいと思っていた。富士のすそ野らしく荒々しい彫りの深い沢も、今では民家や工場に囲まれてわずかにその面影を見るのみだが、朝の逆光も日の沈む夕景も美しく、私の絵心をそそる場所である。
800年の昔、このあたりは草原か雑木林でもあったのであろうか。はるかに伊豆の海を眺めながら、巻き狩りで多くの若武者たちが駒を駆けさせた辺だと想像するだけでも楽しいが、今は紙の都として煙突が林立し、富士市を栄えさせている。
スケッチの日は、川辺のそこここから春の息吹が聞こえてくるようなひとときであった。